度々このブログでは、マイクロフォーサーズのF1.4はフルサイズのF2.8のボケ量とほぼ同じ、つまりフルサイズとマイクロフォーサーズのボケ量の差は2段とお伝えしてきました。なので、マイクロフォーサーズでF1.2ならフルサイズでF2.4の絞り値になります。そうお伝えするとピンとくる人もいらっしゃると思いますが、実際に写真を見てみないとピンとこないという方も多かったので、今回は写真つきでご紹介してみようと思います。
※後半には、マイクロフォーサーズのF0.95のボケ量もご紹介します。
42.5mm 1.2でどの程度ボケるのか?
まずはタイトル通り、マイクロフォーサーズでF1.2はどの程度ボケるのか?ということです。フルサイズ換算だと85mm F2.4と同等のボケ量になりますが、実写ではどれぐらいなのか?まずはパナソニックのLEICA DG NOCTICRON 42.5mmのレンズを絞り開放で撮影した写真を何枚か見ていきたいと思います。
※木の車が凡そ30cmだったので、横幅70cmぐらいの被写体になります。ポートレイトでバストアップを撮るぐらいのイメージですね。バスアップで少し背景が離れていたら十分ボケるような印象です。
※ポートレートの半身です。背景のボケ量は個人的には丁度いいぐらい。
※ポートレートを撮影するなら半身とバストアップの間ぐらいでしょうか。少し遠い背景なら大きくボケます。
如何でしょうか。42.5mm F1.2でも十分にボケると感じる方もいらっしゃれば、やはり今ひとつボケないと感じる方もいらっしゃるかもしれません。撮影したいイメージや好み次第なので感じ方は人それぞれだと思いますが、個人的にはあまり大きくボケすぎるのは嫌だったので、フルサイズを使っていてもF2.4ぐらいを多用していました。 なので、42.5mm F1.2は丁度使いやすいレンズですね。
ちなみに、マイクロフォーサーズのベース感度はISO200で、被写体によっては屋外で絞り開放で撮影ができないというケースもあるかもしれませんが、ミラーレス一眼は電子シャッターを使ってシャッタースピードを速くすることができるのでほとんど心配ないでしょう。
参考になる記事の紹介
さて、今回の記事を書くにあたって少し調べたらマイクロフォーサーズの背景のボケ量を考える上で参考になる記事があったので紹介しておきます。
まずはこちら。
こちらではオリンパスのM.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PROのレポートが書かれています。下記の写真は記事から引用させて頂いきましたが、絞り値はF1.2だそうです。
フルサイズ換算では50mm F2.4で撮影したボケ量と同じです。上の画像では背景が少し離れていることもありますが、個人的には十分ボケているなと感じますね。ただ、人によっては室内ではフルサイズのF1.4で撮影したくなるケースがあるかもしれません。
下の画像は、僕が25mm F1.4のレンズで絞り開放で撮影した写真です。
※横位置で撮影して正方形にトリミング
1枚目の背景が暗い写真は、背景が少し離れているので適度にボケていますが、2枚目3枚目のように背景が近いとあまりボケません。フルサイズならF1.4まで開けることで、室内で背景が近いシチュエーションであっても上の写真よりも2段分背景をボカすことができます。
ただ、フルサイズの一眼レフでF1.4のレンズの組み合わせになるとカメラとレンズの総重量が重くなってしまったり、F1.4の絞り値だとピント精度が不安です(全ての一眼レフの精度が悪いという意味ではなく、精度が良いカメラとレンズの組み合わせになる確率を考えると不安という意味です)。唯一フルサイズミラーレス一眼を販売しているソニーのカメラならピント精度もかなり高いので安心できますが、レンズの重さは純正であってもシグマのレンズであっても約800gとどうしても重くなります。
フルサイズでF2以下の絞り値を多用したいならフルサイズ一択になるかもしれませんが、フルサイズでF2~2.4ぐらいを多用するならマイクロフォーサーズで軽量化を図る方が良い選択になるかもしれません。
続いてはこちら。
こちらの記事では、85mm F1.2のレンズを使って、F1.2〜F2.8までの絞り値を変えて背景のボケ量がどれだけ変わっていくのかを紹介されています。一部引用させて頂くとこんな感じです。
出典:お勧めポートレート用レンズ(ボケ易い単焦点レンズのベスト15)
この比較を見てみると、横位置でポートレートを撮影する場合自分だったらどれぐらいのボケ量が欲しいか?という参考になりますね。フルサイズのF2.4はマイクロフォーサーズのF1.2と同等なので、このボケ量で満足できなければフルサイズのF1.4のレンズを買う方がいいと思います。
マイクロフォーサーズのF1.4以下のレンズ一覧
さて、ここまでマイクロフォーサーズの25mm F1.2、42.5mm F1.2 がどの程度ボケるのかを実際に写真を見ながらご紹介してきましたが、大体のイメージは掴んで頂いたかと思います。思ったよりボケるんだな、と感じた方はもしかしたらマイクロフォーサーズに向いているかもしれませんね。
ちなみに、ここでマイクロフォーサーズのF1.4以下のレンズを紹介しておきます。
LEICA DG SUMMILUX 12mm / F1.4
M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
LEICA DG SUMMILUX 25mm / F1.4
M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO
Contemporary 30mm F1.4 DC DN
LEICA DG NOCTICRON 42.5mm / F1.2
M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
一覧を見てみると、35mm判換算で
- 24mm
- 35mm
- 50mm
- 60mm
- 85mm
の焦点距離で、フルサイズのF2.4又はF2.8のボケ量をマイクロフォーサーズで得ることができます。ただ、それ以外の焦点距離では選択肢がありません。なので、35mm判換算20mm、35mm、100mmm以上のレンズでフルサイズのF2.8のボケ量を得られるレンズが欲しいならマイクロフォーサーズ以外のカメラを選択しなければいけません。
マニュアルフォーカス限定ならF0.95という選択肢も
ただ、マニュアルフォーカスでもいいのであれば選択肢はもう少し広がります。コシナからは、
というレンズが販売されています。マイクロフォーサーズのF0.95は、フルサイズで凡そF2です。フルサイズのF2というと結構ボケることが想像できると思いますが、実際に写真を見てみると、
25mm F0.95
25mm F0.95
25mm F0.95
42.5mm F0.95
最初の3枚は25mm、最後の1枚は42.5mmで、全て絞り開放です。個人的にはこれぐらいボケれば十分ですね。ノクトンのレンズは絞り開放ではふんわり柔らかい描写をし、少し絞ればキリッと写るので、使い分けができます。最大撮影倍率も高いので、被写体が小さくても不自由しません。詳しくは下記の記事にしているので、興味がある方は併せてご覧下さい。
ただ、オリンパスの25mm F1.2 PROはボケ味がいいので、半段ボケるノクトン 25mm F0.95と比較してもぱっと見の差がありません。
《オリンパス25mm F1.2 PROはノクトン25mmF0.95以上のボケ味》という記事でも解説しているので併せてご覧頂きたいのですが、オリンパスのF1.2シリーズのPROレンズはボケ味を追求した設計になっているので、F0.95の半段の差を光学設計技術で縮めています。PROシリーズは値段が高いですが、AFと防塵防滴が必要なら25mm PRO。AFも防塵防滴も必要ないならノクトン 25mmという選択肢になるでしょうか。
ノクトンのレンズはマニュアルレンズなのでAFが使えませんが、ピーキングや拡大機能を使えば正確なピント合わせができますので、静物相手なら不自由はしません。用途に合わせて、F0.95シリーズにするのか?F1.2シリーズにするのか?選択肢が分かれるところでしょうね。