- ①誰でも必須になる「超広角レンズ」
- ②人が見る自然な角度で撮れる「標準レンズ」
- ③少し被写体をクローズアップで撮影する「中望遠レンズ」
- ④適度な背景を写し込み雰囲気を伝える「広角〜準広角」
- ⑤広角から望遠まで、レンズ交換なしで表現を変えられる「高倍率ズーム」
- レンズ毎に写り方が違うことを意識しよう
僕の撮影の仕事で半数近くの割合を占めるのが取材系の撮影です。大体60〜90分ぐらいで人物・室内、商品や料理、その他イメージカットなどを撮影することが多く、いくつかのレンズを使い分けて撮影していきます。今回は、取材撮影でよく使うレンズとその使い方をご紹介。
①誰でも必須になる「超広角レンズ」
以前のこちら記事でも書いていますが、僕の場合取材撮影で必ず使うレンズです。飲食店や店頭販売をしているお店、美容系のお店、住宅系の取材や撮影はほぼ100%使います。よく見る、空間を広々と切り取る撮り方ですね。
また、主役の背景を広く写し込む撮り方や、遠近感を強調したダイナミックな表現ができるのも特徴です。
超広角レンズに関しては先程ご紹介した以前の記事で詳しく解説しているので是非ご覧になってみてください。
ちなみに、僕が使っているのはオリンパスの7-14mm F2.8 PROですが値段は中古でギリギリ10万円ほどのレンズです。防塵防滴で、F2.8と明るくどんな撮影にも対応できる為値段相応の価値はありますが、コスパで考えるなら、
フィルターが使える風景写真向けの LAOWA 7.5mm
※MFレンズの為ピントは自分で合わせる手間はあるが、手前から奥までピントを合わせるパンフォーカスで撮影するならピントは固定になるので、ピント合わせの手間は無くなる。又ンズ情報などはない。
※僕は7-14mm F2.8 PROのサブレンズ、プライベート用に所有。
※防塵防滴はなし
予算優先・小型軽量優先なら OLYMPUS 9-18mm
※広角側が9mm(35m判換算18mm)なので、7mmスタートのレンズと比べて写る角度は少し狭くなる。ただ、超広角ズームレンズとしては1番値段が安く卵サイズなので小型軽量としてはベストなレンズ。
※防塵防滴はなし
住宅撮影向けの Panasonic 7-14mm
※7mmの超広角としては1番安いレンズ。電子接点によりにレンズの歪曲補正が可能となり、柱は真っ直ぐに写る。風景などはもちろん住宅撮影にはピッタリのレンズ。但し、OLYMPUSのカメラで使う場合は変なゴーストが発生するので、このレンズを使うならボディもPanasonicに統一がオススメ。
※防塵防滴はなし
この3つの選択肢があります。どれも一長一短ありますが、ご自身の撮影スタイルや撮影する被写体に合わせてチョイスしてみてください。
値段は高いが一番風景撮影に向いている Panasonic 8-18mm
ちなみに、こちらのレンズも選択肢としてはアリですが値段が高めです。ただ、フィルターが使える防塵防滴のレンズになるので、風景撮影には一番向いています。 ただ、仕事で撮るとなるとコスパはPanasonic 7-14mm F4が一番バランスが良いと思いますね。
②人が見る自然な角度で撮れる「標準レンズ」
超広角レンズはどんな人にも必須アイテムとなると思いますが、標準レンズもその1つ。買う順番としての優先度は超広角が1番ですが、次に挙げるとしたら標準レンズでしょうか。
写る角度は対角線に約45度。空間を広く切り取るというよりは、一部分を切り取る撮り方になります。
人物を撮る時も、近すぎず遠すぎず丁度良い距離感を保てるのが特徴です。また、室内で使う場合は後ろに下がれる距離は限られています。そのような環境の中で撮影する場合は、中望遠だと被写体がアップになりすぎて困るケースが多くあります(写る角度は約30度)。そういう意味でも、写る角度が適度に広い標準レンズが使いやすいので先に標準レンズを揃えてしまう方がオススメです。
僕が使っているのは25mm F1.2 PROですが、こちらは中古でギリギリ10万円を切ってくるレンズです。予算があるなら迷わずオススメするところですが、標準レンズでまずオススメしたいコスパ抜群のレンズはPanasonic 25mm F1.7です。
適度な小型軽量で、写りは好みで分かれるものの良し。値段も1万円代と安く、マイクロフォーサーズユーザーの間では誰もが知っているコスパの良いレンズです。同じカテゴリにはOLYMPUS 25mm F1.8がありますが、値段がPanasonicに比べて少し高く、人によっては小型過ぎてフォーカスリングが回しにくかったりします(親指だけで軽い力でピント調整できる点はメリットでもあります)。
値段の安さもあり、マイクロフォーサーズのカメラを買う時は迷わずとりあえず買ってくださいと言いたくなるレンズですね。
③少し被写体をクローズアップで撮影する「中望遠レンズ」
超広角レンズの次は標準レンズを揃えるのがオススメです。理由は、室内では後ろに下がれないことが多く、ある程度広く撮れる標準レンズが扱いやすいからです。ただ、商品や料理をシンプルに撮影する場合は中望遠が一番撮りやすいと感じます。
人の目でみる「遠近感」に近い表現ができる
中望遠は35mm判換算でおよそ70〜135mmと少し幅広いですが、人が実際に目で見る遠近感に一番近くなるのは約90〜100mmです。写真で表現される遠近感がより自然に写る為、被写体をシンプルに写す場合は一番撮りやすく感じます。
被写体によっては、遠近感を強調する為に標準や広角レンズで撮ることもありますが、料理や商品を撮影する場合は自然な写りをする中望遠レンズが一番多くなります。とくに、被写体がいくつか並ぶ時などは、標準レンズでも遠近感が強調されて後ろが小さく見えてしまうので、中望遠で撮りたくなりますね。
中望遠レンズを引きで使う
もちろん、アップだけでなく少し離れた場所から空間を切り抜く撮り方もありです。
広角レンズは遠近感が強調されますが、中望遠は自然な遠近感で描写されます。なので、被写体の良さや自分がピンときた空間をシンプルに切り取ることに向いています。
僕が普段使っているレンズはOLYMPUS 45mm F1.8。パナソニックからも42.5mm F1.7が出ていて、値段も大きく変わらないので悩むところですが、若干ボケ味の良いOLYMPUSを使っています。ただ、フードが付属していなかったり、接写に弱かったりするので、無難にいくならパナソニックの42.5mm F1.7の方がオススメですね。
④適度な背景を写し込み雰囲気を伝える「広角〜準広角」
超広角、標準、中望遠と揃えたら、次は準広角です。
レンズは焦点距離によって写る角度が違います。広角になればなるほど写る角度、背景の写り込む角度が広くなり、望遠になればなるほど写る角度・背景の写り込む角度は狭くなります。
広角は背景の写り込む角度が広いというということは、それだけその被写体がどのような空間に存在するかを表現しやすくなるということです。なので、どの背景がどの程度写り込むのかを計算して撮影しなければいけません。
例えばこちらの人物写真は、35mm判換算で30mmの準広角で撮影しています。主役を少し左に寄せて横で撮影していますが、右奥にAzzurroとお店の名前が見えます。これは、計算してこの位置に綺麗に収まるようにレンズを選択し撮影しています。
また、背景下にジェラートが見えているのも意図的です。これにより、1枚の写真で「Azzurroというジェラートのお店」で撮影したことが分かります。
もしこれを、50mmの標準レンズや90mmの標準レンズで撮るとお店の名前やジェラートが綺麗に収まらず、ただ人物を撮った写真になってしまいます。
上の写真も、標準や中望遠で撮影してしまうとただ背景がボケたリンゴのスイーツになってしまいますが、35mm判換算30mmの準広角で撮影することで、店内の雰囲気がより分かる写真になっています。
僕は普段よく使うのはPanasonic 15mm F1.7(上の2枚の写真もこのレンズで撮影)。このカテゴリのレンズとしては一番安いレンズではないかと思うので、迷わずオススメです。
⑤広角から望遠まで、レンズ交換なしで表現を変えられる「高倍率ズーム」
今まで紹介してきた、広角、標準、中望遠のレンズは、それぞれ写り方や使い方が違いました。その写り方の違いを、一本のレンズで実現できるのがズームレンズです。中でも広角から望遠までを一本のレンズで可能とするものを高倍率ズームレンズと言います。
上の2枚の写真は、12-100mm F4 PROで一番広角側と一番望遠側で撮影した写真です。上が望遠、下が広角ですね。同じレンズでも、ここまで表現方法を変化させることができます。とくにレンズ交換が頻繁にできない撮影の場合はとても重宝しますね。
続いて上の2枚の写真も同じく、一番広角と望遠で撮影したもの。上が広角、下が望遠ですね。風景であっても人物であって、食べ物や料理であっても、多くのシーンで活躍するレンズです。
一般的に高倍率ズームレンズは、その利便性と引き換えに写りはそこそこ。なので、大きく使用する写真や商品、料理、プロフィール写真などを撮影する場合にはあまりオススメできません。
ただ、先程ご紹介した12-100mm F4 PROは高倍率ズームでありながら凄く写りが良いので、僕は普通に商品撮影や料理撮影でもよく使っています。高倍率ズームでここまで写りが良いレンズは他に無い上に、手ぶれ補正も強力なので1本持っておくといろんなシーンで重宝しますよ。
もし安価に済ませると考えると、TAMRON 14-150mm がオススメです。どちらにせよ、持っておくと便利なので絶対にオススメです。
レンズ毎に写り方が違うことを意識しよう
ズームレンズは、大きく写すか小さく写すか?という単純なものではありません。レンズの焦点距離が変われば写り方が変わります。そしてその写り方の違いで表現方法が変わってくるので、適材適所でレンズを選択する必要があります。
- シンプルに被写体を切り取るのか?
- 少し背景を広めに写し込んで主役とその背景の雰囲気を切り取るのか?
- 広々とした空間を切り取るのか?
自分が撮りたい写真を撮る為にも、レンズの特徴を理解し使い分けるようにしたいですね。
最後に、望遠レンズは必要ないのか?
全て書き終わってから望遠レンズの記載がないのに気づきましたが、実は僕は年に数回しか望遠レンズを使いません。取材撮影や料理・商品の撮影となると、35mm判換算で100mm以上はほとんど使わないからです。なので、書き終わるまで望遠レンズの存在をすっかり忘れていました。
もちろん、望遠レンズでしか撮れない被写体や表現方法はあります。お祭りであったり、イベントの写真、車や電車、人や自転車のレースなどなど。
撮影するジャンルによっては望遠レンズが必須になる人もいるので、用途次第では最初に望遠レンズを買う方がいいケースも。まずは自分自身の用途をしっかり考えてみましょう。
ちなみに、僕が持っている望遠レンズはOLYMPUS 40-150mm F2.8です。ハーフマクロレンズとしても使え、テレコンバーターを使えばさらに望遠になります。1本でいろんな使い方ができるので持っているんですが、残念ながら使うのは年に数回です...笑