マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

12-100mm F4 PROが取材撮影に向いている5つの理由




 

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滋賀県大津市にある三井寺。その中では、昔から本家力軒で弁慶力餅という大津名物のお餅が売られていますが、先日力餅と販売する茶屋がリニューアル。ということで、E-M112-100mm F4 PROで取材に行ってきました。

 

そこで改めて、12-100mm PROは本当に取材に向いているなと実感したので、今回は取材撮影というテーマで12-100mm F4 PROをご紹介。

 

①24mmスタートの高倍率ズームだから引きに強い

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場所は三井寺境内にある微妙寺横に新たにオープンした茶屋。その前で、滋賀のメディアに囲まれてマイクを握るのは、地元で和菓子を製造販売する叶 匠寿庵の代表取締役 柴田氏。力餅のリニューアルをするにあたり、叶 匠寿庵の協力を得たということで最初に挨拶をされていました。

 

この時、レンズの焦点距離は35mm判換算24mm。ワイド側いっぱいで撮影しています。そして、この場所から1歩前に降りて柴田氏のアップの写真を撮影。

 

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↑まずは換算140mm程で、後ろの看板を入れながら。

 

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↑そして換算200mmの一番望遠側で撮影。

 

24mmで撮影してから1歩前に出ているとはいえ、引きの写真からこれだけアップで撮れる高倍率ズームの便利さはやはりありがたいですね。とくに、こういう撮影だと他のカメラの前を横切って近づいて撮影などはできないので、必然的に自分の立ち位置から引きとアップの撮影をしなければいけません。

 

また広角の24mmと28mmは写る範囲が思ったよりも違います。望遠と違ってその差は意外と大きいです。

 

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先ほどの写真は24mmですが、28mmだとこれだけ写る範囲が狭くなってしまいます。一般的な高倍率ズームは35mm判換算28-300mmなどのレンズが多いので、35mm判換算24mmで撮影できるこのレンズは重宝します。

 

②高倍率ズームで1番写りが良く、望遠側がF4と明るい為ISO感度を落とせる=望遠側でもトリミング耐性がある

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高倍率ズームの中では、画質は頭1つ分は抜きん出ており、広角側でも望遠側でも絞り開放からよく写ります。その為、他のメーカーだったら望遠側で少し絞らないといけないなどと気にかけることが一切ありません。

 

また、通常の高倍率ズームの望遠側は絞り値はF5.6ぐらいなのが一般的ですが、12-100mm PROなら望遠側でもF4。1段分明るく撮れるということは、他のレンズよりも1段分ISO感度が下げられるということ。ISO感度を下げることができれば、無駄に画質が悪くなるのを防げます。

 

望遠側でも解像度は高く、F4で撮れる。つまり、他の高倍率ズームよりも画質面では有利になります。その為、多少望遠側が200mmと少し物足りなくても、高解像度の写真が撮れるので少しぐらいならトリミングしても大丈夫。

 

フォトショップの新機能である【ディティールを保持2.0】の設定でピクセル数を少し増やしてやれば、フォトショップが自動的にディティールを維持できるよう演算処理をしてくれるので、トリミングによって減ったピクセル数も少しカバーすることができます(もちろん、オリジナルのディティールには敵わないので、補助的な機能です)

 

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③雨でも安心して撮れる

オリンパスの防塵防滴は本当に安心して使えます。僕の12-100mmも何回か雨に打たれていますが、 撮影後にきちんとメンテナンス(水気を拭き取り、キャップを全て外して一番望遠側にして防湿庫に)してやることで故障せずに普通に使えてます。ボディも同じですね。ちょうどこの日も雨に打たれながら撮影でしたが、カメラとレンズは何も問題ありませんでした。

 

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④横幅10cmぐらいまでアップで撮れるのでマクロレンズが不要

僕がこのレンズを使うようになってから意外と重宝しているのが、ハーフマクロレンズの役割を果たすこと。12-100mmの最大撮影倍率はワイド側で約0.6倍。テレ側で約0.4倍です(35mm判換算表記です)。焦点距離を50mm(35mm判換算100mm)に合わせた場合は、凡そ0.5倍。これは横幅9cmぐらいのものがフレーム一杯に写るということです。

 

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最近撮った写真で一番接写したのはこちら。滋賀の朝恋トマトの取材で伺った時のものです。ここのトマトは今まで食べたトマトで一番美味しかったですね。ハウス内の温度、湿度を数値でしっかり管理し、美味しいトマトになる環境を常に維持されていました。滋賀県だけでなく他府県の高級レストランなどに出荷されているそうで、トマトに拘りたい方は是非取り寄せてみてください。

 

さて、トマトのこの写真でも接写するのに困りませんでした。この写真は35mm判換算200mmで撮影しているので、アップにする場合はこれがギリギリ限界だと思いますが、これだけ接写できれば十分。

 

被写体に近づけば近くほど背景がボケるので、逆に少し引いて撮影しトリミングすることで被写界深度を稼ぐことも多々あります。その為、このレンズで接写に困ったことはありません。もちろん、ケースバイーケースでマクロレンズが必要になることもあると思いますが、通常の撮影なら不自由はないはずです。

 

⑤三脚なしで撮影ができる

12-100mm PROにはレンズ内手ぶれ補正の機能があり、このレンズ単体でも手ぶれ補正の効果は十分ですが、最新機種であるE-M1 MarkⅡで使うことで数秒ぐらいの手持ち撮影が 可能となり三脚が不要になります。取材時に三脚があるのと無いのとでは、フットワークは大きく変わります。 

 

E-M1 MarkⅡの値段が高いなら初代E-M1でも構いません。この組合せでも、1/4ぐらいなら手持ちで撮影できるので灯篭がたくさんあるお祭りぐらいの明るさでも三脚不要で普通に撮れます。

 

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店内の写真も、1/4まで手持ちで撮れるなら十分撮れます。下の写真は、自然光がほとんど入っていない店内の写真ですが、

 

  • F5.6
  • 1/6秒
  • ISO 200

 

で撮影しています。

 

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※こちらの写真は7-14mm PROで35mm判換算14mmで撮影。12-100mmではここまで広々とした写真は撮れないので、撮影時の明るさと設定のみ参考にしてください。

 

被写体ブレを防ぐ為にシャッター速度を上げる場合はそもそも三脚はいらないですし、スローシャッターで撮りたい時も手持ちでいけるとなると三脚は不要になります。

 

5秒・10秒といったスローシャッターで撮るなら話は別ですが、通常の取材の撮影なら初代E-M1と12-100mm PROの組合せでも問題ありません。実際、E-M1を使い出してからは三脚をほとんど使っていません。住宅の撮影でも手ブレせず1/3秒ぐらいのシャッター速度で撮れるので、テンポ良く撮る為・微調整をしやすくする為に基本手持ちで撮影しています。

 

万能すぎる12-100mm F4 PROの欠点は値段が高いこと

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このレンズがいかに優秀か、使ってみなくてもその良さが伝わるように書いたつもりですが、如何でしょうか?先日の《EOS RとZ7を見て仕事の撮影はマイクロフォーサーズがベストと再確認した話》でも触れましたが、このレンズは写りが良いので商品や料理撮影で普通に使ってます。

 

取材もストロボライティングの撮影もこのレンズで対応できてしまうので、仕事の約半分はこのレンズで撮っていますが、強いて欠点を上げるなら値段が高いことでしょうか。新品なら12万、中古で10万ぐらいします。ただ、他の高倍率ズームレンズではここまでの万能性はないので、僕の用途ではこのレンズ一択です。

 

 

マイクロフォーサーズはトータルバランスが良いので、フルサイズでボディにコストをかけるなら12-100mmに投資する方が実際の撮影はすごく楽になると思います。大きなお店だと試し撮りができると思いますので、機会があれば是非手に取ってみてくださいね。