マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

マイクロフォーサーズのE-M1でシグマの18-35mm F1.8を使ってみたが...




マイクロフォーサーズとフルサイズは、被写界深度の差が2段分あります。なので、マイクロフォーサーズでF2.8通しのレンズを使った場合は、フルサイズでF5.6のボケ量になります。

 

実験:α7ⅡでISO800以上で撮るならISO感度を2段落とせるE-M1のISO200の方が低ノイズ という記事も書いている通り、逆に言えばフルサイズと同じ被写界深度を得ようとした時に、マイクロフォーサーズなら2段分絞り値を開けられるので、ISO感度も2段落とせます。その為、マイクロフォーサーズで自分が得たい被写界深度で撮影できるレンズがあるなら、フルサイズもマイクロフォーサーズも高感度撮影ではあまり差がありません。

 

ただ、フルサイズでF2.8やF4の通しのズームレンズを使う時と同じボケ量を得たい場合、マイクロフォーサーズでは非常に悩ましい選択となります。フルサイズのF4通しのズームと同じボケ量になるレンズとしては、オリンパスの一眼レフ用レンズである14-35mm F2、又は35-100mm F2というレンズがありますが、高価で重い、生産終了しているという点を考えると非常に悩みます。フルサイズでF2.8通しのレンズと同じ被写界深度で撮れるレンズは、マイクロフォーサーズでは選択肢すらありません。

 

なので、フルサイズでF2.8通し、F4通しのズームレンズと同じボケ量を得たい場合は、素直にフルサイズかAPS-Cのカメラを使われることをオススメするぐらいですが、一応もう1つの選択肢があります。

 

そんな中で登場したKIPON EF-MFT AF 電子アダプター

 

 

このアダプターは、キヤノンEFマウントのレンズをマイクロフォーサーズで使えるようにするアダプターです。僕はキヤノンのTS-E 45mmのアオリレンズをこのアダプターで使っています。ファームウェアが最新の2.6になってからは手ぶれ補正も安定するようになり、他のレンズでも快適に使えるようになったという声が多数みられますね。

 

さて、ここからが本題となりますが、このアダプターを使ってシグマの18-35mm F1.8が使えないか?とふと気になり、先日試してみました。このレンズが快適に使えるなら、フルサイズで 36-70mm F3.5というレンズを使うのと同じボケ量になり、多くの方にとって朗報となるからです。

 

AFは少しのんびり迷いながらもピントが合うが…

結論から言うと、AFは残念ながら使えませんでした。AFは少し迷いながらもピントは合います、ただ、精度は5割といったところで安定しません。もちろん、人によってはマニュアルでピントを合わせでもいいという人もいると思うので、そういう人にはオススメかもしれませんね。

 

ちなみに、絞りや手ぶれ補正は安定して動作するので、使えるかどうかはAFを必要とするかどうかというところでしょうか。ただ、マイクロフォーサーズ用の単焦点レンズを3つ持ち歩く方が約400gと18-35mm F1.8の810gの半分の重さになるので、小型軽量重視なら18-35mm F1.8は悩ましい選択となります。

 

物理的に可能かどうかは分かりませんが、もし純正で14-35mm F1.8というレンズが小型軽量で出てきたら、バッグの端に追加できるという人も多いと思うので、シグマのアートとコンテンポラリーのように小型軽量優先のレンズと性能を追求したレンズの2本を出してほしいものです。性能重視でPROレンズで出すなら大きく重くなるのは誰でも想像つくと思うので、絞り開放の画質等はある程度犠牲にしてでも小型軽量優先のレンズを開発してほしいですね。

 

アダプターのバージョンアップで18-35mm F1.8が快適に使える可能性も

さて、今回のテストでは残念ながら使えないという判断になりましたが、今後アダプター自体のファームウェアが更新された場合は18-35mm F1.8が快適に使える可能性も出てくるでしょう。キヤノンのレンズも、バージョンアップすることで使えるレンズがどんどん増えていったことを考えると、ファームウェアの更新に期待です。

 

ただ、ファームウェアの最後の更新は2016年1月頃で、この記事を書いている時点で1年半が経っています。もう更新されないのかなと若干不安になります...。

 

むしろ、シグマからマイクロフォーサーズ用のアダプターを出してくれたり、マイクロフォーサーズ用のレンズをもっと充実させてほしいと思いますが、出荷台数的に考えるとどうしても後回しになるのでしょうね。

 

個人的には、シグマのレンズはミラーレス一眼でこそ活きてくると思います。一眼レフではどうしても精度の面で不安が残るので、いくら写りが良くても不安を抱えながら撮影しなくてはいけません。ですが、ミラーレス一眼ならコントラストAFで精度面の不安が解消されます。ソニーのフルサイズミラーレス一眼用のレンズ開発は今後進んでいくようですが、マイクロフォーサーズの開発も是非進めてほしいですね。