写真上達の本質を考えてみる

写真講師を続けてきたカメラマンの思考を記事にしていきます

実験:α7ⅡでISO800以上で撮るならISO感度を2段落とせるE-M1のISO200の方が低ノイズ?


先日、こんな記事を書きました。

 

 

フルサイズとマイクロフォーサーズを比べた場合、同じ被写界深度を得ようと思ったらマイクロフォーサーズは2段分絞り値を開けられます。つまり、ISO感度を2段落とすことができるのですが、そうなった場合は高感度撮影時におけるフルサイズの優位性は相殺されます。

 

ではどれぐらい相殺されるのか?ということを、E-M1・α7Ⅱ・α7RⅡのDxomarkのスコアを通して比較してみました。結果は、フルサイズでISO800以上で撮る環境で、且つマイクロフォーサーズで2段分ISO感度を落とせるような撮影であれば画質的に差が無くなるというものでした。もちろん、

 

  • ISO800以下の撮影が多い場合
  • フルサイズでF1.4のボケ量を得たい場合
  • フルサイズでF2.8のズームを使いたい場合
  • シャッター速度を上げて被写体の動きを止めないといけない場合

 

などでは、フルサイズの優位性がある・又はフルサイズ一択という選択肢しかないケースもあります。逆に、この4つの項目に当てはまらないなら、マイクロフォーサーズも有力候補となってきます。

 

ただ、この記事はとあるSNSで数十人にシェアされ数百人の方がリンクをクリックされたのですが、その際に

 

  • こんな記事馬鹿らしくて読む気にもなれない。スコアなんて当てにならないし、フルサイズの方がいいに決まってるでしょ
  • この人はオリンパス大好き人間なんだろうな
  • 富士フイルムはフルサイズ並なのに眼中にないのかな?

 

という意見が出てきたので、富士フイルムのX-T2やE-M1系、α7シリーズとの実写で比較してみることにしました。

 

※ちなみに、否定的な意見があるものの、記事をきちんとご覧になった方はどういうケースの撮影ならフルサイズがいいのか?マイクロフォーサーズがいいのか?ということを理論的に理解して頂いたようで、参考になったという声の方が多かったです。

 

結論:高感度性能をフルサイズに求めるならα7RⅡレベルのカメラが必要かも?

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さて、あまり回りくどく伝えるのも好きではないので早速結論からお伝えします。上の画像は、左がα7ⅡのISO800で、右がマイクロフォーサーズのISO200です。比べるとα7Ⅱの方がノイズが多いので、α7ⅡでISO800以上で撮れる環境で且つマイクロフォーサーズで絞り値を2段分開けられるなら、マイクロフォーサーズの方が低ノイズになります。

 

ただ、α7RⅡになると同等になります。

 

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出典:Studio shot comparison: Digital Photography Review

※画像はdpreviewからRAWデータをダウンロードし、Photoshop CCで明るさだけ微調整し統一して、画像の縦のピクセル数をE-M1の3456pixelに揃えて切り取り並べました。フルサイズはISO800、X-T2はISO400、E-M1系はISO200です。

 

スマホから見てみるとかなり分かりづらいかもしれませんが、ノイズが多い順から

 

1:α7Ⅱ

2:X-T2

3:α7RⅡ・E-M1・E-M1Ⅱはほぼ同等

 

となります。グレーチャートだけでなく写真全体のサンプルを見たい場合は、出典のリンクをクリックして下さい。

 

冒頭でお伝えした通り、フルサイズでF4で撮影するならマイクロフォーサーズはF2で同じ被写界深度になります。絞り値で2段分開けられるので、自ずとISO感度も2段分落とせます。もちろん、フルサイズでISO800以下で撮影するならフルサイズの方が良くなるのは明白です。とくに、三脚を使って風景を撮られるような方はフルサイズの方が広いダイナミックレンジと低ノイズによるRAW現像耐性が優秀なのは疑いの余地がないので、風景写真を撮られる場合はフルサイズをオススメします。

 

ただ、風景写真のような高いRAW現像耐性を必要としないのであれば、マイクロフォーサーズの低感度でも十分だったりします。実際、鑑賞距離では十分なので仕事で使っていても不満に感じたことはほとんどなく、フルサイズの4つのメリットに当てはまらない方はマイクロフォーサーズも魅力的に感じるはずです。とくに、E-M1Ⅱのボディ単体での5.5段の手ぶれ補正、レンズ内手ぶれ補正を含めた場合の6段を超える補正は、静物を撮る人にとっては非常にありがたいでしょう。

 

X-T2は予想通りのイメージだけどトータルの安定感には未だに憧れる

Dxomarkには富士フイルムのスコアが載っていないので先日の記事では比較しませんでしたが、SNSで富士フイルムユーザーの方に指摘されたので、富士フイルムのX-T2のRAWデータがダウンロードできるdpreviewでデータを揃えて比較してみました。結果としては、元々フルサイズに近いAPS-C以上という印象がありましたが、予想通りといった感じでしょうか。

 

 

ただ、富士フイルムは高感度時の色再現は優秀という声を聞きます。オーロラ撮影をされる写真家さんが富士フイルムのカメラを使う理由として、どのカメラよりもオーロラの色再現が良いそうです。それだけ色に拘っているのでしょうね。

 

富士フイルムの中でも、トップからは

 

  • 色には徹底的に拘れ
  • ユーザーの声は徹底的に聞け

 

という方針らしいので、安定した色再現という意味では富士フイルムは優秀なんだと思います。ユーザーからも、他のカメラにはない味があるという表現をよく目にしますが、単にノイズだけでなく色なども含めトータルで考えた画質を重視しているのか、富士フイルムの独特の良さがあるのでしょう。

 

個人的には、富士フイルムからX-T1が出る前から富士フイルムに注目していましたが、ボディ内手ぶれ補正がないこととアオリレンズがどうしても中途半端な焦点距離になることから導入を見送り続け現在に至ります。オリンパスにする時も富士フイルムも同時に検討していましたが、静物の撮影が多い僕にとってはどのレンズでも手ぶれ補正が効くオリンパスのボディ内手ぶれ補正は非常に魅力的です。アオリレンズも45mmが90mmと丁度良い焦点距離になるので、現在はオリンパスだけで撮影しています。

 

マイクロフォーサーズは、自分が望む「35mm判換算のボケ量」を得られるかがポイント

今回、SNSでの指摘で実写での比較を見てみましたが、個人的には良い意味で驚きました。Dxomarkのスコアだけで見れば、α7ⅡとE-M1の高感度性能の差は1.5段なので、被写界深度分の2段を考慮すると0.5段E-M1が有利になります。今回の比較では、Dxomarkのスコア通りに近い結果になるんだなという印象がより強くなりましたね。

 

ただ、これはフルサイズでISO800以上で撮る環境であり、且つフルサイズに対して絞り値を2段開けられるというのが前提条件となります。つまり、35mm判換算のボケ量を考慮した際に、選択できるレンズが存在していないといけません。例えば、35mm判換算で50mm F2.8のボケ量が欲しいなら、マイクロフォーサーズ用の25mm F1.4のレンズで同じ感覚で撮影できます。

 

ですが、35mm判換算50mm F1.4のボケ量が欲しい場合はマイクロフォーサーズには選択肢すらありません。マイクロフォーサーズで一番ボケるレンズは、25mm F0.95で、35mm判換算50mm F2のボケ量になります。

 

自分が使いたいレンズがあり、且つフルサイズでISO800以上で撮るような環境が多いなら、又は低感度の画質が許容範囲であるなら、マイクロフォーサーズで撮るという選択肢も十分ありかと思います。とくに、E-M1 MarkⅡなら、α7RⅡと比較しても差が1.3段になりますので、被写界深度差の2段を上手く活用できるならE-M1 MarkⅡの方が良くなります。

 

マイクロフォーサーズはフルサイズと比べて背景がボケないというのも間違いではありませんが、見方を変えれば【同じ被写界深度を得るのに絞り値を2段開けられる】というメリットも存在します。なので、

 

 

  • マイクロフォーサーズは画質が劣る

 

という固定概念に縛られているなら勿体ないです。低感度の画質が許容でき、静物が多く、且つ被写界深度の2段分の差を上手く活かせるのであればマイクロフォーサーズはあなたにとってぴったりなシステムになるかもしれませんよ。

 

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