マイクロフォーサーズの手引き

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数年後の一眼カメラ市場 〜 ニコンが転けてペンタックス・ソニーは飛躍するのか《2018.8.26_更新》




前置き

カメラ業界全体を見てみると、まだまだ伸び代がある世界とは言え市場としては成熟してきています。下記のグラフは、フィルム時代からの一眼カメラとコンパクトカメラの市場規模です。

  

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出典:http://www.cipa.jp/stats/documents/common/cr1000.pdf

 

緑がコンパクトカメラ、ねずみ色が一眼カメラ、ピンクがレンズになります。カメラ全体がデジタルに以降した2000年前半から市場は大きくなっていきますが、2008年頃をピークに市場は右肩下がり。この頃、カメラ市場が成熟してきただけでなく、スマートフォンが急速に普及したことも大きく影響しています。

 

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出典:http://www.cipa.jp/stats/documents/common/cr1000.pdf

 

コンパクトカメラとレンズ交換式カメラを分けて見てみると、とくにコンパクトカメラはスマートフォンの影響を大きく受けています。一眼カメラの場合は、スマホの影響も少なからずあると思いますが成熟期に入った影響の方が大きいのではないかと思います。この頃のカメラなら、正直今でも仕事でそこそこ使えてしまう性能になっていますので。

 

ちなみに、レンズ交換式のカメラを使う場合はレンズを何本も買い足すので、レンズの市場は大きくは減っていません。おそらく、少し減少はしていくもののレンズ市場はまだしばらく安定していくと思われます。メーカーとしては、なるべくカメラのシェア率を高め、交換レンズの販売に繋げていきたいところでしょう。

 

一眼レフが衰退しミラーレス一眼が繁栄する時代に各社がどう動くか?

さて、ここからが本題です。現在、一眼レフメーカーは

 

  • キヤノン
  • ニコン
  • ソニー
  • ペンタックス

 

この4社ですが、昔はこれに加えてオリンパスやパナソニック、富士フイルムも一眼レフを販売していました。しかし、この3社は一眼レフに見切りをつけて一眼レフの開発を止め、ミラーレス一眼の開発に集中するようになりました。

 

一眼レフもミラーレス一眼も開発する体力が無かったのか、体力云々関係なく一眼レフの将来性と自社の強みの活かし方を考えた結果、ミラーレス一眼に集中する判断を下したのかは分かりませんが、現在の3社を見てみるとその判断は正しかったのではないかと思います。

 

下記のグラフを見て下さい。

 

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出典:http://www.cipa.jp/stats/documents/common/cr1000.pdf

 

このグラフは2012年から2016年までの一眼レフとミラーレス一眼の出荷台数です。ここ5年の間にレンズ交換式カメラの出荷台数が緩やかに下がってきていますが、ミラーレス一眼のシェア率は少しずつ伸びています。

 

ミラーレス一眼が初めて発表されたのが2009年。それから2012年までは、一般の人が気軽に趣味で少し楽しむ程度。又はカメラマンがプライベートのお散歩カメラとして所有する性能のカメラでしたが、2013年の後半以降は各社フラッグシップモデルが登場し、カメラマンも徐々にミラーレス一眼を仕事で使うようになっていき、僕もその一人となりました。そして現在では、第二世代のフラッグシップモデルのミラーレス一眼が発売となり、動体撮影を含むその他の機能、性能が飛躍的に伸び、さらに被写体を選ばずに撮影できるようになりました。

 

とくに、ミラーレス一眼のメリットとしてピント精度が挙げられます。一眼レフに比べて、止まっている被写体ではピントが外れることは少ない為、ポートレートを撮影する人などはミラーレス一眼に変える人が多くなっています。

 

ソニーのフルサイズミラーレスが最近シェアを伸ばしていますが、フルサイズミラーレス一眼の主なユーザーは風景と人物を撮影する人です。風景なら大きく重い一眼レフよりも小型軽量のミラーレスの方が向いています。人物を撮る際も、一眼レフのAF精度に不安に抱きながら撮影するより、ミラーレス一眼の高精度なAFで撮影する方が精神的にもいいです。さらに、α9α7RⅢの登場により基本性能が底上げされ、動体撮影も含め性能面で一眼レフを選択する理由がほとんど無くなりました。むしろ、人物の瞳AFの追従性は他社では真似できない程の精度で、人物を撮る人はソニーのカメラを選択しない理由はないと言っても過言ではありません。

 

ただ、この情報はカメラに詳しい人なら誰でも知っていることですが、そのような人はおそらく出荷台数に対してまだまだ数少ない人達です。ミラーレスの使い勝手を理解している人は、次々に一眼レフからミラーレス一眼へと機材を変えたり追加で購入したりしていますが、知識のない大多数の人は一眼レフとミラーレス一眼の違いもよく分からずなんとなくの印象で一眼レフを購入することも多いはずです。

 

カメラマンであっても、自分の使っているキヤノンやニコンの一眼レフしか詳しくないという方も多いぐらいなので、一般の人ではその比率はもっと大きくなるでしょう。

 

しかし、ミラーレス一眼のメリットが知れ渡りシェアが大きくなるのは時間の問題だと思います。そしてその傾向が今後も伸びていくとなると、先見の目を持たない一眼レフメーカーは存続が危ぶまれる可能性が高くなります。

 

そこで、少し各社と今後の一眼レフ市場の予想をしてみます。

 

キヤノンは既存のEFマウントでのミラーレス化?

マーケティングが上手いキヤノンはどのメーカーよりも市場の動向を意識しているはずです。個人的な予想では、他のメーカーがミラーレス市場を成長させ、ミラーレス市場が一眼レフ市場を上回るぐらいのタイミング(おそらく数年後ぐらい)に既存のEFマウントもミラーレス化していくと思います。光学ファインダーが採用された一眼レフがすぐに消えてなくなるとは思いませんが、キヤノンはミラーレス市場が成長するのを待つ間に、デュアルピクセルCMOS AFという技術を開発、成熟させてきました。これにより、今では何時でも既存の一眼レフのマウントのままミラーレス化にすることができます。

 

また、すでにミラーレス一眼であるEOS Mシリーズもあり、ミラーレス市場でもそこそこのシェア率を維持しています。個人的には最新のM5でも詰めが甘いなと感じますが、おそらく次ぐらいで開発陣が代わるか何かで良いカメラが出てきてさらにシェアを獲得していくでしょう。

 

※過去記事参照

 

ソニーは一眼レフのトランスルーセントミラーシステムを成熟させられるか?

ソニーはすでに他社のようなミラーではなく、もっと透明度の高いミラーを採用し、ミラーの動きを必要としない特殊な一眼レフを開発しています。そのおかげで、電子ファインダーを採用し、AF速度というメリットがある位相差AFと精度のメリットがある像面位相差AFの両方を採用できています。これにより、α99Ⅱでは35mm判換算85mmでF1.4という被写界深度であっても、人物の目にピントが合った写真を量産することができます。

 

現在では最上位機種のα99Ⅱにしか採用されていませんが、おそらく近いうちに発表のあるα77Ⅲで位相差AF + 像面位相差AFが搭載されるはずです。そうなると、手軽なミドルクラスのカメラでも安定したAF精度で撮影することができます。

 

ソニーはミラーレス一眼でもシェアを大きく伸ばしており、そこで培った像面位相差AFの技術を一眼レフにも応用することで、一眼レフでも高精度なAFを実現しています。とは言え、それは最近発売になったα99Ⅱでやっと実現した機能です。今までミラーレス一眼の方に注力してきましたが、一眼レフ用のレンズは最低限のレンズは揃っているもののもう少しラインナップを揃えていかないと(とくにAPS-C用単焦点レンズを)シェア拡大の足枷になるかもしれません。

 

現在はミラーレス一眼システムの開発に注力しているソニーですが、これからどれほど一眼レフに力を入れていくのか。今後の展開に注目です。

 

α9とα7RⅢ、そしてα7Ⅲでキヤノン・ニコンのプロユーザー層だけでなくアマチュアカメラマンのフルサイズ市場のシェアを狙う

先ほども触れたように、α9では電子ファインダーのブラックアウトを無くし、読出し速度の高速化による歪みを抑えた電子シャッターを実現させ、20コマ/秒のAF・AE追従という性能です。これは、スペックだけ見れば一眼レフを超えており、実力も多くの人が体験済みで実際の撮影でも一眼レフに劣ることはなく、炎天下の競技場でも使い続けられるという報告もあります。

 

α9と同時に発表された100-400mmは、テレコンをつけた場合でもC-AFの追従性に変化がないという性能。さらに、400mm F2.8の開発発表がありました。α7RⅢもα9ほどの性能ではないにしろ、秒間8〜10コマで動体撮影が実用的になります。ソニーは本気でキヤノン・ニコンのプロユーザー層のシェア獲得を狙っているでしょう。カメラのデザインを見ても、相当よく考えてきたのが分かり、とても使いやすそうです。

 

実際に実写レビューが多数出てきておりそれらを見ていると、キヤノンやニコンが使うプロユーザーの機材がすべてα9に変わるとまではいきませんが、ポテンシャルは高く現在の一眼レフではできないよなファインダーのブラックアウトフリーという撮り方もできる為、適材適所でα9を導入するプロも少なくないという印象です。また、ポートレートにおいては常に被写体の目を捉え続ける瞳AFの性能が抜群に良いようなので、ポートレート撮影では一眼レフよりもα9、α7RⅢの方が大きなメリットがあることは明白となりました(下記記事参照)。

 

 

さらに、2018年2月27日にフルサイズミラーレス一眼のベーシックモデルのα7Ⅲが発表になりました。ただ、ベーシックモデルにしてはハイスペックで、瞳AFやバッテリー、操作性などの基本性能はプロフェッショナルモデルに近い性能になっており、ニコンのD850キヤノンの5D MarkⅣと肩を並べるぐらいのカメラなっています。D850や5D MarkⅣはどちらも30万円を超えて登場したモデルで、それぞれプロ市場の中でも一番愛用されているシリーズです。

 

プロ市場で浸透しているシリーズと比べても引けを取らないどころか、それ以上のポテンシャルを秘めているカメラが約20万前後で登場することを考えると、フルサイズのベーシックモデルのレベルがグンと引き上げられました。この価格帯でのフルサイズを選択するなら、多くの人がα7Ⅲをオススメするはずです。個人的には、ニコンやキヤノンのフルサイズのベーシックモデルを買う理由は一つも見当たりません。

 

これは、2018年にフルサイズミラーレスを発表すると噂されているキヤノン・ニコンへの牽制になるはずです。このタイミングに、この性能のカメラをこの価格で登場させるとなると、キヤノン・ニコンものんびり構えているわけにはいかないでしょう。同じ性能のものを出しても、値段が高ければすでにシステム的に仕上がってきているソニーの方が魅力的です。また、α7Ⅲの登場の影響でキヤノン・ニコンのフルサイズミラーレスの発表が遅くなればなるほど、その間にソニーのフルサイズ一眼カメラのシェアは加速していきます。

 

キヤノンとニコンに残された選択は、ソニーと同等の性能・値段のフルサイズミラーレス一眼を早急に準備することです。性能と値段さえ張り合うことができれば、既存ユーザーのレンズ資産が活かせるのでシェア率の低下を最小限にできます(新しいマウントでも必ずアダプターが用意されるのでとりあえずレンズには困りません。既存のマウントならそのまま現在のレンズ資産を活かせます)。

 

ソニーのα7Ⅲの登場は、競合メーカーにとっては悪い意味で衝撃な話です。α7Ⅲで王手をかけたと言うのは言い過ぎですが、キヤノン・ニコンの次の一手次第では、ソニーがフルサイズ一眼カメラ市場でトップに躍り出る可能性は十分になってきました。

  

ニコンは新マウントのミラーレス一眼と既存の一眼レフの2本柱だが...

少し前に騒がれたニコンニュースと言えばこれです。

 

 

ただ、いろいろ調べていくと2つのポイントが見えてきます。

 

①会計基準の変更

現在の会計基準であればリストラは特別損益で経常利益から引かれる為、営業利益は確保したまま赤字に出来るが、来季に変更される会計基準IFRS適応後だと営業利益に含まれてしまうので、少人数づつリストラしていくと長期に渡って営業利益を圧迫してしまう。社長が今やらないと数年後に確実に赤字になると言ったのは、会計基準の違いから来るリストラの影響度が大きくなると言う意味もある。営業利益は確保されているのでIFRS適応後は堅実に黒字だろうと予想され、株価の下落も限定的だと思われる(デジカメinfoのコメントを参照)。

 

②一連の改革で、18年3月期に年間200億円の固定費削減効果が見込める

 

以上のことから、ニコンの赤字報道に関してはとくに騒ぐ必要はないかと思います。社長も短い間にも市場は厳しさを増している」と発言しているようで、縮小していく市場で少しでも無駄なコストを減らし、開発や発信に力を入れられるようにする為の改革でしょう。実際、「今期業績予想を上方修正」というニュースが2018年8月にありました。ただ、構造改革の効果とD7500・D850の好調さで伸びたものの、ニコンから発表された新型ミラーレス一眼が早速躓いたような形となり、先は明るいとは言えなくなりました。

 

さらに問題なのが2点。

 

つ目は高級コンパクトカメラ中止やアクションカメラの不信にも繋がったバグです。高級コンパクトカメラの販売中止は、画像処理用のICの不具合改善に時間がかかっている間に市場は縮小し、利益を見込めなくなった為です。またアクションカメラもスマホとの接続性が悪いと評価され、販売台数も予定の半数程度だそうです。

 

その他、あまり表に出てこないものの、キヤノンよりも一眼レフのAFが暴れたり、撮影した画像が壊れている等のバグをちらほら耳にします。カメラ事業を立て直すにしろ、またバグが発生してしまえば元も子もありません。もし体質化しているのであれば早急に改善しないといけません。

 

つ目は市場の動向は見えていても、対策が正しいかどうかです。言い方を変えれば、昔から言われているマーケティングが下手というニコンがどこまで変われるか?ということですね。先日の記事のコメントで、

 

利用者視点での条件設定など商品化プロセスを見直し、利用者ニーズとの乖離をなくす。

 

という発言がありましたので、社長自身マーケティングが上手くないというのは認識はしていると思います。ただ、今後は一眼レフのミドルクラス、フラッグシップモデル。そしてミラーレス一眼に注力していくそうですが、その内容次第では10年後の一眼レフ市場でニコンが一人取り残される可能性も出てくるのではないかと思います。

 

僕の予想ではありますが、おそらくキヤノンは既存のマウントでミラーレス化をしてくると思います。既存のEFマウントであるEOSシリーズで培ったノウハウと、ミラーレスのメリットを上手く融合させ、既存のレンズ資産を市場で生かしたままユーザーがミラーレスのメリットを活かした撮影ができる。つまり、一眼レフでのピント精度の不安を無くせることになります。

 

ソニーはすでにその問題をほぼ解決しており、あとはカメラとレンズのラインナップを構築し、システム全体を成熟させるだけです。これはタイムリミットがあるものの時間の問題だけしょう。

 

つまり、一眼レフメーカーは何かしらの対策で一眼レフの弱点を克服できるようなシステムを考え行動しています。もちろん、ニコンが何も考えていないというつもりはありませんが、【一眼レフは一眼レフ】という概念に縛られないか心配です。この対策が遅れた場合、近い将来のシェア争いが大きく変化するかもしれません。

 

 

また、ニコン特有の発信の仕方も改善されないと今後の展開に響くかもしれません。デジカメinfoでまさにこの問題を指摘するコメントを見つけたのでご紹介しておきます。

 

ニコンは開発者の小難しい理屈をユーザーに押し付けすぎで、新ジャンルに参入しても、新規のユーザー(若い世代、女性、ライトユーザー)が寄り付かない。ニコン1を投入したときには「これはミラーレスカメラではない。レンズ交換式アドバンストカメラだ」なんてことを言った。キーミッションを投入したときには「これはアクションカメラではなく、ユーザーに新しい映像体験を提供するデバイスだ」みたいなことを言っていた。そんな理屈をこねず素直に「ニコンが自信を持って作ったミラーレスです」、あるいは「ニコンでなければ作れなかったアクションカメラです」とわかりやすくPRしていれば、もっと多くの人に興味を持ってもらえたはず。わかりづらい理屈を押し付けても、ユーザーにそっぽを向かれて売れないことに、いい加減に気づくべき。

 

ニコンの経営不振にはいろいろな理由があると思いますが、自分が感じてるのはエントリー層に対する認知度の低さだと思います。初めてカメラを買う人はほとんどイメージが先行すると思います。そこで考えると初心者向けのカメラとしてキヤノンにはkissシリーズ、オリンパスにはPENシリーズと絶対的エースがいます。しかし一方、ニコンの場合D3000、D5000シリーズは、初心者にとって、エントリーカメラとはすぐ分からず、とっつきにくいと思います。新しいユーザーが増えないとニコン全体のユーザー数は確実に減って行きます。

 

とくに、ニコンユーザーは年配の方が多いです。今後、年配の方が増えていくと思いますが、その分ユーザーの数が減るのも早いでしょう。その危機感を感じ、ミラーレス一眼で若いユーザー層を獲得しようという気になったのはいいものの、売り出し方が下手であまり売れていなかったりします。

 

ニコンはキヤノンに続いてレンズ交換式カメラでシェア2位のメーカーですが、今後の他社次第では3位以下へなってしまう可能性も十分あると思います。とくに、ソニーのα9、α7RⅢ、α7Ⅲの実力はどんどん認知されている中、新しいミラーレス一眼で早速悪運が立ち込める状況となってしまいました。

 

ニコン自体がカメラ事業に頼っているメーカーなので、まだ利益が出せているうちに今後の一眼レフ市場・ミラーレス市場の市場争いに耐えらられる投資と、ニーズを拾い上げ確実に価値を提供をしていけるかが鍵となるでしょう。

 

ペンタックスは独自の特許技術で一眼レフのシェア獲得を狙う?それとも Kマウントのままミラーレスに?

ペンタックスも、2016年頭ぐらいにAEセンサーでコントラストAFを行うという特許を出願しています。これは、光学ファイダーを利用した一眼レフであっても、ピント精度の高いコントラストAFを併用できることを意味しています。そうなると、一眼レフであってもピント精度がミラーレス並に高いカメラになります。この仕様がペンタックスのカメラ全てに搭載されたら、今すぐにでもペンタックスのカメラとレンズを揃えたいぐらい魅力的になります。

 

ペンタックスはカメラやレンズ自体はいいのですが、AFが一番の難点です。ここさえ克服できれば、シェアは大きく伸びる可能性が出てきます。また、ペンタックスなら一眼レフであっても電子ファインダーで撮影できるようなハイブリット一眼カメラなどを開発してしまいそうで、さらに勢いづくかもしれませんね。

 

ちなみに、ペンタックスからは既存の一眼レフであるKマウントを採用したミラーレス一眼であるK-01を販売していました。基本性能がしっかりしていて、コンセプトとしては最先端をいっていたのではないかと思います。PENTAXは小型軽量で良いレンズが多く、パンケーキレンズのラインナップも準広角、標準、中望遠と揃っていて、K-01との組み合わせではコンパクトで良いシステムになります。

 

K-01ならペンタックスが苦手なAF精度を克服できるので、ペンタックスこそ一番に既存のKマウントのミラーレス一眼の開発を進めてほしいところですが、後継機の開発を急がないということは一眼レフでコントラストAFを行う機能の搭載の目処が立っているということかもしれませんね。

 

4社を見比べてみると

キヤノンはマーケティングが上手いのでおそらく失敗することはないでしょう。カメラの出荷台数が減っていけば、収益を望めるのは交換レンズになります。その為にも、今のうちにシェア拡大を図らないといけないと判断したキヤノンはここ数年でシェア拡大の為に舵を切りました。その判断のおかげで、世界を見渡せば現在はニコンと少し差をつけてシェアNO.1になっています。また、交換レンズの収益性を考えると既存のEFマウントでミラーレス化を図るのではないかと思います。そうすれば、ボディも適度に小型化でき、ユーザーも既存のレンズをそのまま使えるのでレンズの売上低下を最小限にできます。

 

その他のメーカーは、市場が縮小しきる前にソニーがシステムの構築を図り、ペンタックスが近いうちにAF精度を改善し完成度を高めPRすれば、ニコンにとってはかなり大きなプレッシャーとなるはずです。そのプレッシャーを感じたのか、焦って発表したミラーレスは良いところよりも悪いところが目立つ形となってしまったので、どう転ぶか本当に分からない状況となりました。

 

 

 

レコードの時を思い出して下さい。フィルムの時を思い出して下さい。

 

既存の製品は生き残る

すぐに駆逐されることはない

 

そのような声が多くあったとしても、新しい商品の性能が良ければあっという間に世代交代していくのを皆が目の当たりにしてきました。ミラーレス一眼の出荷台数が一眼レフよりも上回る時代になり、実際にミラーレス一眼が一眼レフと同等以上に高性能になってきた今、一眼レフがフィルムやレコードのようになるのはそう遠くないのではないでしょうか。

 

カメラメーカーは業界の大きな転換期を迎えています。この時代に躓けば、それがそのままメーカーの運命を左右しかねません。各社がどう動くのか、とくにキヤノンとニコン、ペンタックスの動向は要チェックですね。