写真上達の本質を考えてみる

写真講師を続けてきたカメラマンの思考を記事にしていきます

室内撮影ならマイクロフォーサーズのコスパが良い3つの理由とそうでない1つの理由


 

僕は約2年間マイクロフォーサーズのE-M1を使っていますが、そんな中でマイクロフォーサーズのメリットデメリットを考察してきました。その一つに、マイクロフォーサーズは室内撮影におけるコスパが抜群いいというものがあります。

 

なぜマイクロフォーサーズは室内撮影におけるコスパが抜群にいいのか?順番に解説していきます。

 

①室内ではISO感度を上げることが多いので、求める被写界深度が得られるレンズがあるならマイクロフォーサーズとフルサイズの画質の差が被写界深度差による絞り値の違いで相殺される


先日のこちらの記事では、フルサイズのISO800とマイクロフォーサーズのISO200の比較をしました。その理由としては、フルサイズとマイクロフォーサーズでは被写界深度の差が約2段あるからです。つまり、同じ被写界深度で撮ろうと考えた時に、マイクロフォーサーズなら常に2段分絞りを開けることができ、ISO感度も2段分落とすことができます。

 

そして、先日の記事で比較をしてみると、α7Ⅱとの比較ならマイクロフォーサーズであるE-M1の方が良好な結果に。α7RⅡのISO800と比較してみると同等になりました。このことから、フルサイズでISO800以上で撮れる環境であれば、マイクロフォーサーズも大きく変わらない画質になるということになります。そして、室内ではフルサイズでもISO800程度に上げることはよくあります。

 

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例えば、こちらの写真を撮影したのは2月の16時頃です。撮影時の設定は、

 

F0.95

SS1/40

ISO200

 

この環境で同じ被写界深度の写真をフルサイズで撮ろうとすると、絞りはF2、ISO800になります。被写体の息子は一瞬テレビに夢中になり動きが止まったのでSS1/40で撮りましたが、通常は最低でも1/100はほしいところです。1/100でも少しの動きはブレるので、動きを止めるなら1/200ぐらいになります。そうなると、室内でのISO感度はあと2段前後上がります。

 

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続いてこちらは5月の13時頃に撮影した窓際での写真です。撮影時の設定は、

 

F0.95

SS1/160

ISO200

 

窓際であれば、晴れている日なら1/200ぐらいになることもあります。それでも、フルサイズで同じ被写界深度のF2で撮るならISO感度は800になります。シャッター速度を1/100に落とせばISO400になりますが、少し窓から離れれば晴れた日でももう少し感度をあげないといけないケースは多いです。

 

 

マイクロフォーサーズのISO200の画質は、正直なところ鑑賞距離でなら必要十分です。RAW現像でシャドウを1.5EV以上明るく補正するような場合はフルサイズの低感度に比べれて劣るのは明白ですが、通常の撮影ならミラーレスで露出を大きく外すことはないはずです。

 

フルサイズの優位性が相殺される条件ならマイクロフォーサーズの方がコスパが良い

先ほどの記事で分かったことは、

 

E-M1とα7Ⅱの差は凡そ1.5段

E-M1とα7RⅡの差は凡そ2段

E-M1 MarkⅡとα7RⅡの差は凡そ1.5〜1.7段

 

ということです。

 

そして、室内撮影でISO感度を上げるような撮影では、マイクロフォーサーズとフルサイズの画質面での差がほぼ相殺されるケースが多いです。そう考えた時、揃える機材の金額に差が出てきます。以下、Amazonで調べた中古価格での比較です。

 

※各機種をクリックするとAmazonの中古品値段一覧が表示されますが、この記事をご覧のタイミング次第で値段は多少変わっているかもしれません。

 

α7シリーズでも、α7ⅡならE-M1との差が1.5段程なので、被写界深度を同じにした場合E-M1の方が良好になります。そう考えると、E-M1と同じぐらいになるα7RⅡという選択肢になりますが、α7RⅡは値段が高すぎます。これにレンズを購入することを考えると、E-M1の方が断然コスパが良いでしょう。

 

E-M1なら、

 

 

どれを選択肢をしても200,000円を超えることはありません。25mm、42.5mmをそれぞれ選んでも、やっとα7RⅡの金額と同等になるぐらいです。

 

とは言え、α7Ⅱで55mm F1.8や85mm F1.8等の安価なレンズ揃えることを考えると値段的に同じぐらいになるので、0.3〜0.5段の差を無視できるのであればα7Ⅱという選択肢もありです。より安価な50mm F1.8を選択するなら、α7Ⅱの方が少し安くなるかもしれません。

 

③ミラーレス一眼としてのコスパ重視のバランスと完成度が高い

ミラーレス一眼を販売するメーカーは、

 

  • ソニー
  • 富士フイルム
  • オリンパス
  • パナソニック

 

この4社になります。

 

どのメーカーも良いカメラはあるが値段が高い。しかも、高感度撮影では実質マイクロフォーサーズとの差がほぼ無くなる

段を気にしないのであれば、良いカメラはどのメーカーでもあります。ソニーからはα9が発表となり、AFエリアがダイレクトに変えられるマルチセレクターが搭載され、各項目・各性能が大幅にアップしました。例えば、子供が動き続ける合間ずっと目にピントを合わせ続けられる性能はトップクラスです。動態撮影等の訴求ポイントが注目されていますが、ポートレートを撮影される方にもピッタリなカメラでしょう。

 

士フイルムのカメラも完成度が高く、描写性の高さはプロも絶賛する方が多いです。ボディ内手振れ補正がないことが残念ではありますが、被写体の動きを止めるような撮影では恩恵は少ないので必要ないケースもあります(次期後継機には搭載するかもしれないという噂があるので是非実現してほしいものです)。画質と写真の色を追求するシステムがコンセプトなので、レンズの描写性は高いです。Xシステムが発表になった当初はAF性能よりも画質重視で開発されたレンズもあるぐらい、画質に拘る方には満足できるレンズが揃っています。オートホワイトバランスの良さも相まって、RAW現像しなくてもJPEG撮って出しの写真が好まれるのは突筆すべき点です。

 

ナソニックはオリンパスと同じマイクロフォーサーズですが、写真よりも動画の方に力を入れています。そういう意味では先代のGH4の時点ですでに高いクオリティであり、操作性の良さはGF4の時代から評判でした。価格.comの評価を見てみても、全ての項目が高い評価なのに驚いたことがあります。もちろん、写真を撮影する時でも、パナソニック純正レンズであれば空間認識AFによって高速高精度でのピント合わせが可能になり、これは正直オリンパスよりも優れる部分です。最近はボディ内手振れ補正も搭載するようになり、小型のG7X MarkⅡ、GX8、G8、そして最新のGH5に搭載されています。

 

 

 

ただ、どれも値段が高いです。ソニーのα9は400,000円越え。富士フイルムのX-T2は中古でも140,000。X-PRO2が135,000円。パナソニックのGH5は20万越え。そしてα9も、X-T2も、被写界深度差でISO感度に差をつけるとマイクロフォーサーズとあまり差がなかったりします。レンズを揃えると値段はソニー、富士フイルムの方が高くなるのに、高感度撮影では画質も背景のボケも大きな差がなくなるのは個人的に少々驚きです。もちろん、マイクロフォーサーズにはない低感度の画質の良さがあるので、低感度を多用するなら値段が高くなる価値は十分にありますが、高感度撮影が多いなら悩みの種になります。

 

マイクロフォーサーズなら値段が安い上に完成度が高い

さて、E-M1を見てみると今は約50,000円程度で手に入ります。そして、僕はこのカメラを2年使っていますが、正直なところ大きな欠点が見当たりません。もちろん、それは僕の撮影スタイル上の話であって、低感度でRAWで撮り1.3EV以上プラス補正する現像が多い方や、本格的な動体撮影をするという方にとってはあまりオススメできないカメラです。

 

ただ、通常の撮影では問題ありません。AFを外したら撮り手の扱いが悪いと言ってもいいぐらい正確にピントを合わせてくれますし、MFのピーキングはかなりやり易いです。人物の目にピントを合わせるのに、ストレスなく快適に行えます。 手振れ補正も強力で、仕様表どおり4段分の補正効果があります(焦点距離200mmでSS1/12ぐらいなら7割が手ブレしません)。完成度が高い操作性は、そのまま最新のE-M1 MarkⅡに受け継がれるぐらいです。

 

パナソニックのカメラも全体的に完成度の高いカメラが多く、GH4は若干値段が高いですが、全体的にそこまで高くない値段で手に入ります。

 

 

5万円の価格帯で考えると、富士フイルムのX-T1が挙げられます。X-T1の画質もとても評判が良く中古なら5万円代とお得なんですが、とくに屋外でのEVFの見え方が悪くなるので個人的にあまりオススメはできません。室内専用にしたとしても、E-M1とX-T1では約1段分の被写界深度差があり、E-M1のISO200とX-T1のISO400を比較した場合はほぼ同等になるので、それならEVFの見え方が自然で使いやすいE-M1の方がオススメです。

 

ソニーならα6000が中古で4万円弱で買えますが、レンズの選択肢があまりありません。F1.4のレンズを選択することを考えると、フルサイズ用の大きく重いレンズしかないです。オリンパスや富士フイルムは、採用している規格専用のレンズを開発し選択肢が豊富ですが、ソニーのα6000が採用している規格のAPS-C専用レンズは選択肢が増えたものの、F1.4以下のレンズは重くて大きく値段が15万円以上のものしかありません。又、E-M1とα6000の被写界深度差が約1段あり、高感度では1段ISO感度を落とせるE-M1の方が僅かに良いぐらいです。

 

そうなると、やはり高感度撮影になりがちな室内撮影においては、ISO感度を2段分落とせるマイクロフォーサーズのコスパが高くなります。

 

問題は求める被写界深度のレンズがマイクロフォーサーズに存在するかどうか

さて、高感度撮影においてマイクロフォーサーズのコスパが良いことはここまで触れた通りです。ただ問題なのが、肝心の

 

  • 望む被写界深度で撮れるレンズがマイクロフォーサーズに存在するのか?

 

ということです。例えば、フルサイズでF2.8通しのズームを使いたいならマイクロフォーサーズには選択肢がありません。フルサイズの単焦点レンズを使いF1.4で撮影したいなら、同じくマイクロフォーサーズに選択肢はありません。マイクロフォーサーズで一番背景がボケるのはノクトンのF0.95シリーズである、

 

 

この4本で、これらのレンズなら35mm判換算でF2のボケ量になります(ノクトンのレンズはMF限定ですが、ミラーレス一眼ならピーキング機能で快適にピント合わせができます)。つまり、35mm判換算でF2のボケ量で満足でき、且つ望む焦点距離が上記の4本の中に入っているならマイクロフォーサーズはオススメとなります。

 

35mm判換算でF2.4のボケ量で満足できるなら、

 

 

という選択肢もあり、この2本はAFで撮ることができます。

 

35mm判換算でF2.8のボケ量で満足できるなら

 

 

という選択肢もあります。

 

その他、マイクロフォーサーズでF1.7や1.8、つまり35mm判換算でF3.4〜F4ぐらいのボケ量で満足できるというなら選択肢はそこそこ豊富になります。

 

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出典:Four Thirds | マイクロフォーサーズ | 製品紹介(レンズ)

 

35mm判換算24mmから150mmまで、小型軽量の単焦点レンズが揃っています。

 

もし自分が望む被写界深度で撮れるレンズがあり、室内撮影等の高感度撮影をよく行うなら、フルサイズやAPS-Cよりもマイクロフォーサーズがオススメになるかもしれません。逆に、使いたいと思うレンズがないのであれば、潔くフルサイズにするのがいいと思います。

 

マイクロフォーサーズは背景がボケない。そう聞くとデメリットにしか聞こえませんが、同時に同じ被写界深度を得ようとした時に絞り値をより開けることができるというメリットが存在します。このメリットは、高感度撮影時にフルサイズの優位性を相殺するので、実際の撮影の現場では大きな差は無くなります。

 

もちろん、低感度でも高感度でも高画質でと考えるならフルサイズ一択になると思いますが、風景写真等のRAW現像でシャドウ側を大きく補正するような撮影でない限り、マイクロフォーサーズでも問題ないでしょう。実際に、僕は仕事で使っていても問題ありません。

 

逆に考えれば、マイクロフォーサーズはフルサイズの低感度の画質を犠牲にしていると言えますが、その分小型軽量のシステムが組めることや手振れ補正がより強力になるというメリットがありますし、静物撮影ならその手振れ補正を活かしてフルサイズよりも高画質で撮れるケースもあります。

 

全ては適材適所なので、自分自身が何を優先するかをよくよく考えたいですね。

 

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