- プロになっても基礎の繰り返し
- 具体的に取り組む基礎練習のヒントは「写真とは何か?」考えてみること
- まずはカメラの使い方を知ろう〜マニュアル撮影
- マニュアル撮影で設定する3つの項目のうち2つは予め決める上に、設定のパターンは大きく分けて2つしかない
- なぜマニュアル撮影から始める必要があるのか?
- 写真の良し悪しを決める光の質と向き
- 描き方
- 撮影における一連の流れ
この記事では、僕が過去6年間有料の写真講座でずっと伝え続けてきた、写真が上達する為の基礎練習についてお伝えしたいと思います。
プロになっても基礎の繰り返し
早速結論からお伝えしていきたいと思いますが、写真が上達する為には基礎練習の繰り返しが必要です。どの業界のプロであっても、基礎の繰り返しを行い基礎スキルを向上させることが不可欠なんです。メジャーリーガーのイチロー選手であっても、日頃の素振りや走り込み等の基礎練習は欠かしません。
では、写真の基礎練習とは一体何なのか?ここで定義する写真の基礎練習とは、
- イメージ力を磨くこと
- イメージしたものを写真に落とし込むスキルを磨くこと
この2つです。
()して、「どこから撮ればどう写るかが分かるスキルを磨く」とありますが、具体的にお伝えすると、例えば撮影する場所に足を運んだとします。その撮影場所で、辺りを見渡せば「どこから撮れば良い写真が撮れるかが分かる」ようになるスキルです。基礎練習を繰り返し基礎スキルを身につけるということは、頭の中でイメージできるようになり、カメラのシャッターを切らなくてもどこで撮れば良い写真になるかが分かるようになるということです。
この基礎スキルが身についていなければ、辺りを見渡してもどこから撮れば良い写真になるか分かりません。なので、闇雲に撮るしかないんです。闇雲に撮って、後で良い写真があれば選ぼうという撮り方になります。ですが、そのような撮り方では良い写真はほとんど残りません。
しかし、基礎スキルが身についてこれば、例えば100枚撮影したら10枚、20枚、30枚と良い写真が残る確率がどんどん高くなっていきます。
良い写真をまぐれではなく、意図して撮れるようになる為には、基礎練習の繰り返しによる基礎スキルの向上が不可欠です。そして、基礎練習は例えプロになっても続いていきます。
さて、ここまでご覧になって、基礎練習の繰り返しによる基礎スキルの向上が大事というのはご理解頂いたと思います。では、実際にどんな取り組みを行っていけばいいのか?
これから少しずつ、掘り下げていきたいと思います。
具体的に取り組む基礎練習のヒントは「写真とは何か?」考えてみること
具体的にどんな取組みをしていけばいいのか?まだあまりピンときていないと思いますが、そのヒントは
写真とは一体何か?
と考えてみることです。写真とは、
撮影者がイメージしたものを、カメラという道具を使って、光で描くものです。
大事なポイントなのでもう一度繰り返しますね。
写真とは撮影者がイメージしたものを、カメラという道具を使って、光で描くものです。
つまり、
- イメージできるようになること。
- カメラという道具を扱えるようになること。
- 光について知ること。
- 描き方を知ること。
この4つが、基礎練習として具体的に取り組むべきことなんです。
これは実際の撮影の流れを見ても分かります。
この図は、実際に撮影を行う際の流れをまとめたものです。①から②という流れになりますが、①の枠の中には、
- 「撮りたい写真を頭の中でイメージ」
- 「被写体と出会う」
とあります。
そして、真ん中に左右の矢印があるのは、2パターンあるという意味です。写真を撮る場合、撮りたい写真をイメージして、そのイメージした写真を撮る為に被写体に出会いに行くというパターン。もう1つは、先に被写体に出会ってから、どんな写真を撮ろうか?とイメージするパターンです。どちらにせよ、イメージと被写体の条件を満たせて初めて②のステップへと移っていきます。
②のステップでは光、背景、構図、画角の選択をして、その後にカメラの設定を行っていきます(光、背景、構図、画角については後ほどご説明します)。
ここで、先ほどの写真とは一体何か?ということを振り返ってみると、しっかりと当てはまっているのが分かりますよね。
写真とは、撮影者がイメージしたものをカメラという道具を使って光で描くものです。
①の枠の中でイメージすることが出てきます。カメラという道具は、最後の「カメラの設定」です。光というのは、②の枠内の上の項目で出てきます。そして、描くというのは黄色のアンダーラインで書いている、背景、構図、画角です。これは表現方法ですね。
ここまでご覧になれば、写真の基礎練習として何を行えばいいかがより明確になったと思います。先ほどもお伝えしましたが、具体的に行うことは
- イメージできるようになること。
- カメラという道具を扱えるようになること。
- 光について知ること。
- 描き方(表現方法)を知ること。
この4つです。そして、一番最初に基礎練習とは
- イメージ力を磨くこと
- イメージしたものを写真に落とし込むスキルを磨くこと
とお伝えしましたが、イメージしたものを写真に落とし込むスキルを磨く為には、先ほどの
- ②カメラという道具を扱えるようになること。
- ③光について知ること。
- ④描き方(表現方法)を知ること。
この3つがポイントとなります。
※最後にもご案内しますので、とりあえず読み進めてみて下さい。
さて、話を戻しますが、ここで改めて確認しておきたいのが、イメージしたものを写真に落とし込むスキルを磨くというのは、どこから撮ればどう写るかが分かるようになる為に表現方法を知るということです。
それぞれの表現方法を知れば、自然とイメージを写真に落とし込む方法が分かってきます。後は、その精度を一生かけて高めていくことです。そして、表現方法が分かれば、最初のステップのイメージするということもより容易になります。イメージすることと、そのイメージを写真に落とし込むということは表裏一体です。イメージを写真に落とし込む方法が分かれば、自ずといろんなイメージが湧いてきます。
ただ、表現方法が分かればそれだけでいいというわけでもありません。イメージ力を磨く為には、実際にいろんな人が撮った写真をたくさん見ることです。そうすることで、自分では思いつかないような表現方法やアングルなどを知ることができ、それが自分のイメージ力の引き出しにもなっていきます。
とくに、普段の生活の中で目にする写真はよく観察してみてください。普段の生活の中では、プロが撮られた写真を目にする機会は多いですが、意識しなければ視界に入ってもスルーされていきます。人は、意識をしていないものの情報は頭に入ってこないんです。
普段の生活の中で見る写真を意識して、その写真の光、背景、構図、画角を観察することを習慣化する。良いお手本が、身の回りにたくさんあります。
また、写真だけでなく絵画であったり映像であったり、物のデザインであったり音楽であったり、いろんなものを見聞きして自分自身の感性に刺激を与えることも大事です。自分が見聞きして何かを感じたものは、自然と写真での表現に活きてきます。
ちなみに、一般的に◯◯の撮り方というテクニックは、②、③、④のそれぞれの中のどこかに当てはまりますが、テクニックは表現方法の1つです。なので一部分のテクニックばかり熱心に学んでもなかなか上達しません。むしろ、テクニック等は普段の撮影で使わないことが多いです。特定の被写体を特定の環境で撮り続けるようなスタイルなら、テクニックを学ぶのが手っ取り早いですが、様々な被写体であったり様々な環境で撮影する場合は、光、背景、構図、画角、カメラの設定等を適切に選択するという基礎スキルが一番重要になってきます。
それさえできれば、どんな被写体でもどんな環境でも良い写真は撮れるようになるので、各要素を適切に選択することができる基礎スキルを鍛えることを忘れないでください。
以上が、写真の基礎練習になります。
繰り返しますが、これはプロになってもずっと続いていくものです。上達する為の魔法の知識なんてものは存在しません。無意識でも意識的にでも基礎を積み重ねた人だけが上達していくんです。
まずはカメラの使い方を知ろう〜マニュアル撮影
さて、続いてはここまで解説してきた中で触れた具体的な取り組みである
- ②カメラという道具を扱えるようになること。
- ③光について知ること。
- ④描き方(表現方法)を知ること。
この3つについて解説していきたいと思います。
カメラの仕組み
基礎練習を行う為にも、まずはカメラを扱えるようにならなければいけませんが、この記事では一番重要であるマニュアル撮影について解説していきます。まずは、マニュアル撮影ができるようになる為に、一眼カメラの仕組みを解説していきます。
この図は、一眼レフを横から見た図です。まずは、レンズ先端から光が入ってきます。黄色の線が光が通る道ですが、レンズを通った光がミラーに反射し、上の方にあるペンタプリズムという鏡の箱に再度反射してファインダーに像がやってくる、というのが一眼レフの仕組みです。
そして、シャッターを切ると
ミラーが上がり、シャッターが空いて一番奥にあるイメージセンサーに真っ直ぐ光が届きます。そして、イメージセンサーに当たった光によって電気信号が発生し画像になります。
光の量を調整することで写真の明るさをコントロール
ここで重要なのは、光はレンズの中にある「絞り」の中を通り、「開いたシャッター」を通っていくということです。ここからマニュアル撮影時に設定する項目の話になります。
絞りを前から見るとこんな感じです。
続いてシャッターですが、これはシャッターの開く時間によって入ってくる光の量が変わります。シャッターが長く開けばより多くの光が。シャッターが短い時間しか開かなければ少ない光しか入りません。シャッターの開く時間は「シャッター速度」と言われ、1秒に対して何分の1かで表記されます。一般的に選択できるシャッター速度は30秒〜1/4000の間です。バルブ機能を使えば、シャッターを押している間なら数十分とシャッターを開けておくこともできます。また、上位機種になると1/8000まで対応していることが多いです。
このように、カメラに入ってくる光は、絞りの穴の大きさと、シャッターの開く時間、この2つだけで調整し、入ってきた光の量で写真の明るさが決まります。つまり、絞りとシャッター速度を調整することで、写真の明るさを調整するんです。
分かりやすい例として、こちらの図をご覧ください。
これは、絞りの穴の大きさは変わるけどシャッター速度は一定という例です。真ん中の段の設定で適正な明るさの写真が撮れた場合、上の段のように絞りの穴がより大きくなれば入ってくる光も多くなるので写真の明るさも明るくなります。逆に下の段のように絞の穴の大きさが小さくなれば入ってくる光も少なくなるので、写真も暗くなっていきます。
↑
次の図では先ほどの反対ですね。絞りの大きさは同じですが、今度はシャッター速度が違います。同じように真ん中の段の設定で適正な明るさの写真が撮れた場合、上の段ではシャッター速度が1/50とより長くなりより多くの光が入ってくるので、その分写真も明るくなります。下の段ではシャッター速度が1/200と速くなり入ってくる光も少なくなるので、写真も暗く写ります。
このように、絞りとシャッター速度で入ってくる光を調整します。
↑
この図は、赤枠の設定で適正な明るさの写真で撮れた場合、縦の組み合わせなら明るさが変わりませんという例えです。絞りの変化で増えたり減ったりした光は、シャッター速度を変えることで補っているということですね。
絞りとシャッター速度を変えることで得られる表現
どちらか一方の設定が変っても、もう一方で調整することで写真の明るさは一定に保たれます。それぞれの設定が変わっても、入ってくる光の量に違いがなければ写真の明るさは同じです。しかし、入ってくる光が適正になればそれぞれの設定は適当に行えばいいというものではありません。
例えば、絞りの数字は小さくなればなる程より背景がボケます。逆に、絞りの数字が大きくなれば全体的にピントが合います。
またシャッター速度が速くなればなるほど、動いている被写体が止まったような写真に。シャッター速度が遅くなればなる程、動いている被写体はブレていきます。適度なシャッター速度で撮ることで、走っている人の手足だけ少しブレたような写真を撮ることもできます。
その為、背景のボケはどれぐらいにするのか?被写体ブレはどこまで表現するのか?ということを考えながら絞りとシャッター速度を決めていきます。被写体ブレは関係ない写真の場合は、まず絞りを決めて後はシャッター速度で調整という撮り方になりますね。
しかし、絞りとシャッター速度だけの調整では写真が撮れなくなる時間帯がやってきます。どういうことかと言うと、絞りの穴の大きさには限界があります。シャッター速度も、手持ちで撮影する場合は1秒も2秒もシャッターを開けていたらブレブレの写真になるので限界があります。レンズの選択や個人差にもよりますが、標準ズームレンズの場合大体1/100です(望遠になればなるほどブレやすくなるので、シャッター速度を1/200、1/400と速める必要がある場合もあります)。
なので、日が落ちていけば必ず撮れなくなる時間帯がやってくるんです。そんな時には、イメージセンサーの感度を高めることで解決できます。
先ほどのカメラの仕組みでも触れたイメージセンサーですが、このセンサーの感度を高めることで取り込む光が少なくなっても写真の明るさを適正に保つことができます。例えば100の光で適正になるけど、絞りとシャッター速度の限界で10の光しか入ってこない場合は、どんどん感度を上げることで100にしてしまうことができます。
これが、マニュアル撮影の仕組みです。
絞りとシャッター速度で入ってくる光を調整し、暗い環境ではイメージセンサーの感度を上げることで写真の明るさを適正に保つ。これだけです。
暗い環境でもISO感度を上げることで適正な明るさで撮れる
イメージセンサーの感度のことをもう少し詳しく解説します。センサーの感度のことはISO感度と言われ、基本的にはISO100がベース感度になります。メーカーによってはISO200がベース感度になることもあります。屋外等の明るい環境ではベース感度で撮影し、暗い環境になれば、ベース感度からどんどん上げていく感じです。
ISO感度は100から始まり、
- 100
- 200
- 400
- 800
- 1600
- 3200
- 6400
- 12800
と上がっていきますが、メーカーによってはもっと上まで選択できるものもあります。ただ、ISO感度は上がれば上がる程、画質が悪くなります。悪くなる度合いはカメラによって違いますが、感度を上げることで画質が悪くなっていくのはどのカメラでも共通することです。
絞りの場合は、画像の下にあるグレーの枠で書いてあるように、中途半端な数字です。中途半端なんですが、実はこれが絞り値のきりの良い数字なんです。これは撮れば撮るほど自然に覚えていくと思います。
そして、きりの良い数字で切り替わることを1段刻みと言います。一般的にはカメラの明るさは1/3か1/2刻みで変えていくので、1/3刻みに設定してある場合は、0.3段、0.7段、1段、1.3段、1.7段、2段と言います。1/3刻みということは、ダイアルを3回回せば1段になるので、絞りの数字を最初に覚えきれない間は、ダイアルを何回回したかで確認してください。
シャッター速度の場合は、単純に2倍する、又は2で割れば1段の変化です。1/125、1/250、1/500、1/1000、1/2000という感じです。
ISO感度も2倍、又は2で割れば1段の変化です。100から始まり、200、400、800、1600、3200、というのは先ほど説明したのと同じですね。
↑
さて、ここでもう一度画像をご覧頂くと、上から絞り、シャッター速度、ISO感度が並んでいます。
例えば、一番左のF2.8、1/100、ISO100で適正な明るさになった場合、ここで絞りをF4に変えてみます。Fの数字が2.8から4に大きくなったということは、入ってくる光は1段少なくなったということです。なので、シャッター速度かISO感度で1段分の光を確保しなければいけません。
ただ、シャッター速度は1/100を下回ると手ブレの危険性がどんどん高くなるので、シャッター速度は変えられません。そこで、ISO感度を200に上げてやります。そうすることで、絞りを変えても写真の明るさは適正のまま保たれる、というわけです。こんな風にして、どれかの設定を変えたら他の設定で補っていきます。
マニュアル撮影で設定する3つの項目のうち2つは予め決める上に、設定のパターンは大きく分けて2つしかない
ここまでご覧頂ければ、写真の明るさが決まる仕組みやマニュアル撮影についてご理解頂いたかと思います。そこで、実際に撮影する時にどんな順番で設定していくのかを解説します。
設定を決める場合、まずは大きく分けて2つのパターンあります。それが、明るい環境での設定と暗い環境での設定です。まずは明るい環境での設定を見ていきます。
明るい環境では絞りをまず決めます。一眼カメラでもコンパクトカメラでも、より背景がボケ、画質を損なわないようより多くの光を取り込む為にF値は1番小さな数字にします。
次に、ISO感度は1番低く。明るい環境ではベース感度で撮影します。
最後に、シャッター速度で調整です。晴れた屋外なら、1/500以上になります。少し曇ってきても1/200以上になると思うので、望遠で撮らない、余程雑に撮らない限りは手ブレの心配はありません。
では、続いて暗い環境の設定の流れを見てみます。
まずは、絞りを一番小さくします。続いて、先に手ブレしないシャッター速度1/100を設定してしまいます。子供やペットなど、動く被写体の時は1/250から1/400ぐらいにすることもありますね。シャッター速度が設定できたら、最後にISO感度だけで明るさを調整します。
どうでしょうか?マニュアル撮影は3つの設定がありますが、最初の2つは基本的に撮る前に予め決めてしまいます。そして残った設定項目で明るさの調整をします。そう考えると、マニュアル撮影はとても簡単に感じると思います。
最初の2つを決めて残り1つで明るさを調整するので、難しいことはありません。あとは、設定をする動作に慣れてしまえば、そこまで意識しなくてもささっと設定できるようになります。
ちなみに、最後の項目で明るさを調整する時は、露出レベルバーを見て確認します。
この露出レベルバーは、ファインダーやモニターを見て確認できて、今の設定ではどれぐらいの明るさなのかを教えてくれます。
もし撮影する場合に明るい環境なのか暗い環境なのかが分からない場合は、先に明るい設定の順番で決めていってください。そして、シャッター速度が1/100になっても露出レベルバーがマイナスを示しているなら暗い環境という意味なので、露出レベルバーがプラスマイナス0ぐらいになるようにISO感度を上げます。
一般的には、プラスマイナス0では少し暗めに写ることが多いので、僕は何時もプラス0.7ぐらいにして撮っています。ただ、あくまで一般的な話です。カメラによって違うのでプラスマイナス0で丁度良いケースもあります。被写体や背景によってはもっとプラスになったりマイナスになることもあります。
そして、この調整を露出補正と言います。露出とは写真の明るさのことです。マニュアルモードで露出補正をする、ということは、絞り、シャッター速度、ISO感度のいずれかを調整して《カメラに入ってくる光の量=写真の明るさ》を変えるという意味です。
マニュアルモード以外にも絞り優先AEや、シャッター速度AEという半オートモードもありますが、半オートの場合は先に露出補正値を決めて、その補正値にカメラが従い各設定を決めてくれます。
例えば、絞り優先は絞り値を自分で決めてシャッター速度はカメラが決めてくれるというモードです。このモードで、例えば
- 絞りをF4に決める
- 露出補正をプラス0.7に
- ISO感度もオートに
- シャッター速度が設定した速度より遅くならないようにする低速限界設定を1/100に決める
という設定にしておけば、カメラを向ける先が変わっても瞬時にカメラが設定してくれるので、自分は光、背景、構図、画角の選択に集中することができます(シーンによっては露出補正はその都度調整)。
カメラを向けた先が明るければ、ISO感度を落としてシャッター速度を速くしてくれますし、暗い環境ならシャッター速度を1/100で保ちISO感度を上げてくれます。カメラに任せておけば、その設定はリアルタイムに変わっていくので、シャッターチャンスも逃しにくくなるので非常に便利です。
なぜマニュアル撮影から始める必要があるのか?
ただ、マニュアル撮影の仕組みをしっかりと頭の中で理解してスムーズに設定できるようになるまでは、マニュアルモードだけで撮影してください。なぜなら、ちゃんと理解せずに半オートで撮っていると自分が理解する機会をカメラに奪われるからです。
マニュアル撮影がちゃんとできるようになってから、用途に合わせてオートも使い分けてください。
実際にマニュアルモードにする方法は、カメラの肩にあるダイアルをMに合わせるだけです。時々肩にダイアルがないカメラもありますが、その場合はメニューから変えられます。
絞り、シャッター速度、ISO感度の設定の仕方はカメラによって違うので、分からない場合はお持ちのカメラの説明書を見てみてください。それでも分からないという場合は、カメラの機種名を教えて頂ければこちらで調べてお伝えしますので、このブログトップのメニューにある「お問合せはこちら」からご相談下さい。
写真の良し悪しを決める光の質と向き
では続いて、光について解説していきたいと思います。
まず、光の質に違いについてです。
直射光は、鋭く濃い影が出ます。一方、拡散光になればなる程影もでなくなります。もちろん、直射光と拡散光の中間もあります。中間の場合は、鋭い影ではなくグラデーションのかかった影になります。
このように、被写体の影は出るけど鋭い影ではありません。
写真は、光の質が変わることで写真の雰囲気も変わっていきます。また、光の向きも重要になります。
被写体に対して光が正面から当たっているのか、斜め前なのか、横なのか、斜め後ろなのか、真後ろなのか。それぞれで影の出方が違うので、写真の雰囲気も変わります。なので、被写体によって光の向きも考えて撮影していきます。
例えばこちらの写真。
職人さんの雰囲気を出したかったので、影を少しきつめに出す為に向かって右側、被写体に対して真横から直射光気味の光を当てています。真横から、直射光気味の光を当てることで影ができ、その影が職人さんの雰囲気を表現してくれます。
続いて、こちらの写真。
こちらの写真は、女性らしい柔らかい雰囲気を出したかったので、左斜め奥からの逆光をメインに撮りました。なるべく影を出さないようにして、全体的に明るい雰囲気にすることで、女性の雰囲気に合わせています。
続いてこちらの写真。
こちらの写真は、カメラ位置から見ると左斜め奥と左斜め前からの窓の光が当たっています。ただ、太陽の位置はカメラ位置から見て左斜め奥にあったので手前側に影が落ちています。
3枚の写真をご覧頂いたように、光の向き、影の出方で雰囲気がガラっと変わります。これは、人物に限らずどのような撮影でも意識しなければいけません。自分がイメージする写真の雰囲気はどんな光で撮影するのがいいのか?これを常に考えて、光を選択してきます。
少し補足しておくと、屋外で自然や建物を撮る時には撮る時間帯が非常に重要になってきます。なぜなら、時間帯によって太陽の位置が決まっているからです。とくに、青空と自然や建物を一緒に撮ろうとすると、太陽は被写体に対して正面気味か、できれば真横ぐらいにないと撮れません。半逆光ぐらいでもギリギリ撮れないことはありませんが、逆光になってしまえば被写体に影が出ずにメリハリのない雰囲気になってしまい、被写体に明るさを合わせれば空は真っ白になります(影より空の方が明るい為)。
今後、イメージ力を高める為にいろんな写真を見ていってほしいのですが、その時も「どんな光でどんな表現をされているのか」を常に観察して自分の引き出しをどんどん増やしていってください。そうすることで、こんな雰囲気・イメージの時は光の質と向きはこうだなと、イメージがすぐに湧くようになってきます
描き方
写真上達で悩む人のほとんどが見落とす画角による写り方の変化
では続いて、描き方(表現方法)についてお伝えします。まずは画角について。
画角とは、写る角度です。
このように、カメラのレンズは広く写ったり狭く写ったりします。この写る角度によって、広角、標準、望遠と言われていますが、この写る角度で写り方が変わります。具体的に言うと、背景の写る角度と遠近感が変わるんです。
実際に見てもらうと分かりやすいので、まずはこちらをご覧ください。
バラの大きさは同じなんですが背景の写る角度が違う写真が4枚並んでいます。
- 28mmが広角
- 35mmが準広角
- 50mmが標準
- 70mが中望遠
になります。左になればなる程画角が広いんですが、同時に背景の写る角度も広くなります。一方右になればなる程画角も背景の写る角度も狭くなります。
また、言い方を変えると、画角が狭くなるということは背景が大きく写り込みます。この4枚の写真を見てもらっても分かると思いますが、70mmの背景のバラが一番大きく写っていると思います。
続いて遠近感の違いです。
真ん中やや左下にある落ち葉なんかを見てもらうと、落ち葉の大きさは変わっていないのが分かると思います。しかし、手前が大きく後ろは小さくといった遠近感のつき方が違うのも分かるはずです。28mmの広角になればなる程遠近感は強調されていき、70mmの中望遠になればなる程遠近感はなくなっていきます。
実際に、広角、標準、中望遠で撮影した写真があるので、見比べてみてください。
被写体の大きさが若干違いますが、このように写る角度によって写り方が変わります。写真を撮る時は、まず自分のイメージを確認し、そのイメージを写真で表現する為にはどの画角で撮るのが良いのかを考えなければいけません。背景の写る角度が広い方がいいのか、狭い方がいいのか。遠近感を強調させたいのかさせたくないのか。背景の写る角度と遠近感は表裏一体ですが、どんな撮影においても画角の選択というのは必ず行うものです。感覚的に覚える為にもとくに意識をして練習してみてください。
ちなみに、大抵の撮影では背景の写る角度を一番に考えて画角、つまりレンズを選択していきますが、時にはこちらの写真のように、遠近感を強調させようという目的で広角レンズを使うこともあります。
↓
一般の方はあまりないかもしれませんが、カメラマンの場合だと商品撮影では遠近感をある程度無くしたいということで中望遠レンズで撮るというケースもありますね。
背景の選択
では続いて、背景について。背景の選択で考えるべきポイントは大きく分けて2つです。
- 絵作り優先の背景選び
- 何時何処で何をしているのかが分かる記録優先の背景選び
一般の方の場合は、ついつい絵作り優先だけが先行してしまいがちです。もちろん、プロでも絵作り優先だけを考えて撮るケースもありますが、何時何処で撮られたかが分かると物語性が生まれやすくなります。よりリアルに感じる物語性は、その写真の良さにも繋がっていきます。
記録とまではいかなくても、何時何処で撮られたのかが分かるような背景選びを行うのも1つのポイントになってきますので、忘れないようにしてください。
実際の撮影では、良い被写体を見つけたら光と背景を同時に考えていきます。なぜなら、光は良いけど背景はダメ。背景は良いけど光がダメという環境になることも多々あるからです。光と背景のバランスを見て、どの場所でどの方向で撮ればより良くなるかを撮影環境を観察しながら考えなければいけません。
どちらを優先するか迷う場合は、まずは背景優先で撮ってみてください。これは僕個人の感覚になりますが、どちらかというと背景の方が優先だと感じています。
写真の印象を大きく決める被写体の配置の仕方
では続いて、構図です。
構図に関しては基本的に自由ですが、構図のバランスをとることに慣れていないうちは三分割法を利用してみてください。これは、構図のバランスをとる為の目印みたいなもので、構図を均等に三等分した線の上、又は線の交差点上に被写体を配置することで、自然でバランスのとれた構図に見えるというものです。
他には、縦と横の線がもう少し全体的に内よりになる黄金比率で撮る構図もあります。
黄金比というのは縦横が1:1.6という比率で、人がバランス良く感じる比率だそうです。よくこんな風に縦と横が1:1.6ぐらいの長方形に螺旋が書かれている例が多いですが、一般的なデジカメの3:2のフォーマットで黄金比の線を引くと、三分割した線よりやや内側になります。
中には4:3のフォーマットのカメラもありますが、その場合でも三分割した線のやや内側になるイメージです。
この比率は、DNAの螺旋構造、人や動物の体の比率、木の枝や植物などの形など自然界にも多く存在します。また、人が人工的に創り出したもので有名なものも黄金比であるケースが多々ありますね。よく例に挙げられるのが、パルテノン神殿やモナリザです。他には、iPhoneやMacBookでも有名なアップルのあのリンゴのマークやツイッターのマークも正確な黄金比です。
黄金比の他にも白銀比などいろんな比率がありますが、良い写真はいろんな比率に当てはまっているケースが多いようです。僕も、自分の写真を見返して良いなと感じるものは黄金比になっていることが多いですね。
もちろん、これらの比率に従わないといけないなんてことはありませんが、覚えておくと構図に迷った時の参考になるので便利ですし、とくに初心者のうちはこの三分割法や黄金比を意識しながら撮影してみるといいかと思います。他の人の写真でも、良いなと思う構図はチェックをしてどんどん真似していきましょう。
撮影における一連の流れ
さて、ここまで基礎練習は何なのか?ということ。そして、その基礎練習で理解しておかなければいけない、カメラの扱い方、光、描き方についてお伝えしてきましたが、如何でしょうか。
最後に撮影の一連の流れをお伝えしておきます。
実際に被写体に出会ったら、まず光と背景を考えていきます。背景と画角は表裏一体なので、光と背景と画角を一緒に考えていくことになりますね。。そして、ある程度決まれば構図を考えます。最後に、各設定を調整です。慣れてくると最初にササッと設定を先に決めてしまうこともありますが、全体的な流れとしてはこのような感じになります。
多少各要素が前後することがありますが、これらはどんな撮影においても考えるべきことです。どんな撮影においても共通するということは、これが基礎になるということでもあります。
念のために繰り返しますが、写真の基礎練習とは、
- イメージすること
- そのイメージを写真に落とし込む為のスキルを身につけること
この2つです。日頃からイメージできるようになる為に、いろんな写真の光、背景、構図の要素を観察します。そして、イメージを写真に落とし込む為に、
- カメラという道具を扱えるように
- 光を見極められるように
- 背景、構図、画角という描き方の要素について理解できるように
日頃から意識して練習していきます。今後、他でもいろいろ学ぶ機会もあるかもしれませんが、撮影についてはどこでどんなことを学んでも基本的にこの3つのどれかに分類されるので、自分が何について学んでいるかがすぐに分かるようにもなります。何について学んでいるかが分かれば、練習での取り組みで迷うことも無くなります。
写真が上達するには、基礎練習を繰り返すことです。知れば上達する魔法の知識は存在しません。まずは、基礎練習とは何か?ということをしっかりと理解し、実践していってください。より多く実践してもらえれば、それだけ上達スピードも早くなっていきますよ。
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