- ①最初に考える画角で写真構成の7割が決まる
- ②撮影の簡略化:主役と背景が決まればあとはその他の要素を決めていけばいい
- ③基準となる思考過程を持つことで、自分の思考回路のキャパを目一杯《被写体に集中》させることができる
写真を撮影する時、重要なポイントはいくつかあります。
- 光
- 背景
- 構図
- 画角
- ボケ量
- 配色
- 被写体の動感
- シャターチャンス
これらは優劣をつけるものではなく、全ての要素が写真の構成に関わる大事なポイントです。その中でも、写真上達に悩む初心者の方に一番最初に考えてほしいのが画角です。なぜなら、画角を決めることで写真構成の7割が決まり、且つ撮影手順を簡略化することで理解しやすくでき、上達の段階を順調に踏むことができるようになるからです。
①最初に考える画角で写真構成の7割が決まる
こちらは、被写体を同じ大きさにして画角を変えて撮影したもの。1つは標準の50mm。もう1つは超広角の15mm。被写体の大きなは同じでも、背景の写り方がまるで違います。これが画角による背景の写り方の違いです(詳しくは「この記事だけで写真上達の本質と基礎が分かる!を目指してみた」で解説しているのでご覧下さい)。
写真を構成する要素は冒頭にも挙げましたが、その中でも画角の選択というのは一番最初に考える要素です。なぜなら、この画角の選択で背景の写る範囲がコントロールできるからです。「最初に考える画角で写真構成の7割が決まる」と見出しで書きましたが、正直なところ7割は言い過ぎかもしれません。ただ、それぐらい画角の選択が撮影におけるファーストステップであり、重要な要素となるということです。
上級者の方の中にはこの考え方に反論をされる方もいらっしゃるかと思いますが、それは上級者の方々が無意識でこのファーストステップを常に行なっているぐらいのスキルを持ち合わせている証拠です。上級者はレンズの選択に悩むことがほとんどありません。それは、レンズによる画角の違いが体に染み付いているので、
このシーンでこういう写真を撮る時はこのレンズを使えばいい
というのがいちいち撮らなくても分かるからです。そして、基礎の部分を当たり前にこなしているからこそ、他の要素に意識を向けられ、写真の完成度をさらに高めることができるようになります。
上級者の方にとっては、わざわざ言う必要がないぐらい大前提として認識されている要素ですが、それこそが初心者にとって上達する為の要素になってくるんです。
ちなみに、ズームレンズはいくつもの画角が選択できるレンズ。つまり、1本なのに数本のレンズの役割をするレンズという理解ができるはずです。そうすると、ズームを使う場合は1回1回焦点距離を合わせるようになってきます。自分が立っている場所でズームを調整するのではなく、表現に合わせて焦点距離を選択し被写体との距離は自分の足で調整する。そんな撮影を心がけてみて下さい。
②撮影の簡略化:主役と背景が決まればあとはその他の要素を決めていけばいい
背景が決まれば、あとはその他の要素である
- 光
- 構図
- ボケ量
- 被写体の動感
- シャッターチャンス
- 配色
などを考えていきます。主役と背景が決まれば、あとはどういった光で撮るのか?午前がいいのか午後がいいのか?曇りがいいのか晴れがいいのか?
もちろん、光が良い環境を見つけ、その中で最適な背景を探して撮るケースもあります。どちらの好条件を優先するかはケースバイケースですが、基本的な思考過程を自分中の軸としてもっておくと臨機応変に対応ができますね。
光と背景が大方決まれば絞り値で背景のボケ量をコントロールする
光も良し、背景も良しとなれば、次はボケ量です。カメラとレンズを決めたら、背景のボケ量は絞り値の選択でコントロールできます。この時、そのレンズで一番ボケる絞り値を選択してもまだボケ量が足りないと思うなら、カメラのフォーマットを
- マイクロフォーサーズならAPS-Cに
- APS-Cならフルサイズに
する必要があります。同じ画角・絞り値であっても、レンズの焦点距離が長ければ長い程背景がボケるからです。
例えば、標準レンズの画角は対角線で約45度です。この対角線45度は
- マイクロフォーサーズなら25mm
- APS-Cなら約35mm
- フルサイズなら50mm
となります。写真の世界でフルサイズが支持されてきたのは画質の良さに加え背景がボケやすいからです。ただ、最近は各社のシステムのクオリティが良くなっているので、単純にフルサイズを選択するのではなく自分の用途に合わせてカメラを選ぶという時代になってきています。例えば、僕はフルサイズではなくマイクロフォーサーズのカメラを使っていますが、その理由は
- 機材をコンパクトにできる
- 強力な手ぶれ補正でISO感度を上げなくて良いシーンが多い
- 仕事柄あまりボカさない撮影が多いのでボケにくいマイクロフォーサーズの特徴は自分の用途にはマッチしている
などが挙げられます。フルサイズのF1.4のボケ量はマイクロフォーサーズでは不可能なので、人物のポートレートなどでフルサイズのF1.4のボケ量を得たいならフルサイズ以外の選択肢はありませんが、そうでなければ選択肢は広がります。
光、背景、ボケ量が決まれば、あとはシャッターチャンス
レンズの選択、カメラの設定が決まれば、あとはシャッターチャンスです。被写体の一番良い瞬間を狙って待ち、ベストなタイミングでシャッターを切ります。風景なら理想とするタイミングになるまで、時間を待つのか季節を待つのかという選択になりますが、被写体が人物なら撮影者がコミュニケーションをとり、理想の表情や雰囲気を引き出す必要もあるでしょう。
今の時代、ブログやSNSでいろんな写真を見ることができますが、良い写真ほど構成をしっかり組み立ててシャッターチャンスを辛抱強く待って撮られたものが多いです。
③基準となる思考過程を持つことで、自分の思考回路のキャパを目一杯《被写体に集中》させることができる
ここまで、まずは画角を理解し、画角が理解・選択できたら他の要素を決めていくという一連の流れを簡潔に書きましたが、こういった良い意味での流れ作業を繰り返し身につけることで無意識で選択できるようになります。これは、冒頭でもお伝えした上級者にとっての大前提です。
上級者の方は、こういった一連の流れをほぼ無意識で行えるよう繰り返し体に刷り込んでいます。その為、自分の意識を被写体に集中することができるので、自然と良い写真を量産できる撮影スタイルが確率されています。
仕事でも同じですが、慣れないことをやる時は周りに目がいかないものです。ですが、何年も経験を積んで慣れてくると、新人の頃には時間がかかっていた仕事もサクッと終われるようになり、その仕事をしながらも同時進行で別の仕事をしたり周りを見れたりするようになります。
人は、慣れないことをする場合意識がもっていかれます。撮影も同じで、慣れてない設定や設定の選択に迷いがある場合は、そこに意識が集中して被写体どころではなくなってしまいます。画角を決める意識を持ち、撮影の手順を自分の中で簡略化し、その流れに慣れることができれば、自ずと意識や被写体に向きます。この善循環に取り組むことさえできれば、ほとんどの人が自然と上達していきます(ここで定義する上達とは、自分が撮りたい写真が撮れるという意味です)。
もちろん、この考え方だけが正解ということではありません。この記事で書いたことを実践してもらい、その過程で自分の哲学が見えてきたなら自分なりにアレンジすればいいのです。まずは、写真を構成する要素は何なのか?その要素をどの順番で組み立てていけばいいのか?それを自分なりに理解し、慣れることが大事ということですね。