マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

上達する為に知っておきたい「質×量」の概念




 

写真に限らず言えることですが、何かで上達する際には量をこなすことは避けては通れません。ただ、量をこなすことに意識がいきすぎて質が疎かになっていては、上達のスピードは遅くなってしまいます。なぜなら、量と質の掛け算で上達速度が変わるからです。

 

上達=量×質を体験する出来事

僕はずっと野球をやっていました。野球と言えば素振りです。学生時代、何十万回と行った素振りですが、人生で初めて「量×質」という概念が出来上がったのはこの素振りでした。

 

当時、野球部では素振りを皆で行っていましたが、周りを見ていると素振りに手を抜いている部員がいるのが分かりました。手を抜いていると言っても、もしかしたら本人は気づいていなかったかもしれません。

 

僕の素振りのやり方は、スイングを行う体がブレないギリギリまでフルスイングすることでした。力任せにスイングすることは誰にもできます。しかし、体がブレずにスイングすると、どうしても少し力を抜かなければいけません。その抜き加減が、僕から見れば抜き過ぎているように見えたのです。

 

この、体がブレないギリギリまでフルスイングするというのが、素振りにおいて質になります。さらに言えば、ストライクゾーンで自分から一番離れた場所を想定して腕を少し伸ばしてのスイングなども、体がブレないギリギリのフルスイングで行います。

 

素振りでこれを繰り返すことで、自分から一番離れたストライクボールでもしっかりバットが振れるようになります。どんな場所でも可能な限りスイングスピードを上げられるということは、それだけボールを見極める時間が長くなります。そしてボールを強く叩けることで、ヒットになる確率も上がります。適度な筋トレも組み合わせ、基本的なスイングの質を追求することで実践でも結果が出始め、2年になる頃には左中間などの遠い場所にもホームランを打てるようになりました。

 

スイングの質を追求した結果、量をこなせばこなすほど打球の飛距離はどんどん伸びていき、打率も上がりました。一方、同じぐらいの練習量をこなしていた他の部員の中には、1年から3年まで打球の飛距離があまり変わらない人がいましたが、その違いはやはり練習時のスイングの質です。一般の人が見たら違いを見つけるのは難しいかもしれませんが、スイングの質が良い部員は全員飛距離を大きく伸ばしていました。

 

初心者は質の悪い1000回より質の良い100回を

時々、初心者はまず数をこなせという言葉を聞きます。確かに、数をこなさないと分からないこともたくさんあります。しかし、量をこなすと同時に質を意識して取り組めば、量だけこなすよりも結果が良くなります。

 

写真で想像してみて下さい。カメラの仕組みも分からない、絞り値の意味も分からない人が独学でとりあえずたくさん撮るというパターン①と、定期的に教えてもらいながら取り組んでいくパターン②。

 

間違いなくパターン②の教えてもらいながら取り組む方が上達は速いです。初心者のうちはとくに何も分からないので、自分で撮ってそこから学習するということ自体が難しくなります。なので、きちんと学ばずに数だけこなしても、そこから学ぶスキル自体が乏しい為経験値を得るスピードは想像以上に遅くなります。

 

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量を最重視するのは質を維持できるようになってから

量をこなすことに意味がないと言っているのではありません。冒頭で触れたように、上達する為には量をこなすことは避けて通れません。しかし、初心者のうちは量をこなす前に量を経験値に変えるスキルを身につけようということです。その為に、練習の質を向上させる必要があります。

 

練習すればする程自分の経験値が増える。言い換えれば、自分の取り組みから自分で学習できるようになるということです。その為には、やはりある程度の基礎知識が必要ですし、何の為に何を意識してどう取り組んでいるかをある程度は自分で説明できるぐらいにはならないといけません。量をこなせばこなす程上達する、という状態にすること自体に知識と経験によるスキルが求められるのです。

 

量と質、どちらも欠けてはならぬもの

練習を積み重ねる時、量派なのか質派なのかという話も時々耳にしますが、それは愚問です。量と質はどちらが欠けても足を引っ張るので、質を良くして量をこなす。これに尽きます。

 

僕の写真講座ではテクニックの解説はほとんどせず「質」にフォーカスした解説をしますが、その理由はこの記事に書いた通り、量も質も欠けてはならないものだからです。量をこなしても上達しないなら、十中八九「質」に問題があります。では質を改善する為にはどうしたらいいのか?

 

シンプルですが、基礎を徹底することです。イチローさんも毎日基礎の繰り返しです。フィギアスケーターの羽生選手も、メダルをたくさん獲った後さらにステップアップする為に取り組まれたのは徹底した基礎練習です。トッププロが徹底していること。それこそが、上達の一番のヒントであり一番の近道ではないでしょうか。