マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

自社で商品や料理を撮るなら撮影ボックスよりストロボに傘セットがオススメ




 

カメラマンではないけど、仕事で商品写真等を撮影しなければいけない。そんな時によく購入されるのが撮影ボックス。撮影ボックスとは下記のような箱型の撮影セットです。

 

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この中に商品を入れて撮影するだけで、簡単に綺麗な写真が撮れるという品物で、ボックス1つ2万円〜4万円程で売られていることがあります。しかし、個人的にはこのボックスはあまりオススメしません。その理由を順番に解説していきます。

 

撮影ボックスは大きさが限定される

先ほどの画像からも分かるように、撮影ボックスはどちらかというと小物撮影向きです。大きなものでも横幅約1mぐらいのものしかないので、撮影するものが小物限定!という場合はまだいいのですが、小物でもいろいろ並べて撮影したいという場合は対応しにくいです。

 

撮影ボックスでは撮れる写真のクオリティがなかなか上がらない

撮影ボックスで撮影した写真を使えば、オークション等で落札価格は上がります。その理由は、一般の方が簡単に撮影した写真よりも綺麗に撮れるからです。しかし、それは商品がまともに写るようになったという話であり、写真が良くなったとは言えません。

 

とりあえずオークション等でまともに写ればいい、という場合は撮影ボックスを購入されてもいいかと思いますが、ブランド力を表現したい、クオリティが高い商品であることを伝えたい、自社のイメージを下げたくないという場合はやはり写真のクオリティを上げないといけません。そうなると、光の自由度が低く、光の質も良くならない撮影ボックスでは限界があります。

 

被写体のサイズに影響されず、クオリティを上げるには?

では、自社で撮影しその写真のクオリティを上げるにはどうすればいいか?個人的にオススメしたいのは、スピードライトをワイヤレスで発光させるという方法です。スピードライトとは下記画像のような一眼カメラに取り付けるタイプのストロボです。

 

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出典:カメラアクセサリー エレクトロニックフラッシュ FL-600R | External Flashes | オリンパス

 

近年のカメラは、このスピードライトをワイヤレスで発光させる機能が備わっています。そして、このスピードライトを固定するスタンドと、光を拡散させるアンブレラを揃えてしまいます。イメージとしてはこんな感じです。

 

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出典:40インチトランスルーセントアンブレラ(グラスファイバー) | エンジョイカメラ.jp

 

ちなみに、これらのセットは約10,000円(アンブレラ約2,500円、スタンド約4,500円、アンブレラをつけられるようにするホルダー約2,500円)ぐらいの予算でAmazonで購入できます。

 

【UNPLUGGED STUDIO®】 43インチ トランスルーセントアンブレラ

【UNPLUGGED STUDIO®】 43インチ トランスルーセントアンブレラ

 

 

【UNPLUGGED STUDIO®】 アルミ製ライトスタンド LS-070A

【UNPLUGGED STUDIO®】 アルミ製ライトスタンド LS-070A

 

 

クリップオン用アンブレラホルダー BL-DII-aa

クリップオン用アンブレラホルダー BL-DII-aa

 

 

アンブレラとスタンドはエンジョイカメラさん、アンブレラホルダーはプロ機材.comさんがオススメです。これらの機材で実際に撮影した写真がこちら。

 

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これは先ほどのアンブレラをつけたストロボ1つで撮影しています。ストロボの位置は左斜め後ろやや上から、そして、向かって右側に銀レフを置いています。銀レフとは、表面がアルミホイルみたいに少しキラキラした光をよく反射する板です。板と言っても、折りたたみ式のものがほとんどです。

 

丸レフ板100cm【銀白】折りたたみ可能 (22776)

丸レフ板100cm【銀白】折りたたみ可能 (22776)

 

 

 

 

アンブレラは光をより柔らかくする効果がありますが、アンブレラ越しの光だけでは光源と反対方向に影が落ちます。その影がきつすぎる場合は、銀レフ等を使って影を調整します。銀レフだと光が強すぎるなら、紙素材の板でも構いません。紙素材の板はホームセンターに行けば1m × 1m、1m × 2mのサイズで購入できます。小さな被写体なら厚紙に白い紙やアルミホイルを貼るだけでOKです。

 

続いてこちら。アンブレラ付きのライトを左やや奥から当てて、右側と左手前には銀レフを置いています。

 

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右側の銀レフは、厚紙にアルミホイルを貼ったものを2枚繋げて自作したものです。小さい銀レフは手作りでも十分ですね。左手前の銀レフは山になるように置いてます。そうすることで、左斜め奥やや上からのライトを効率良くカメラ正面へ反射させることができます。

 

続いてこちら。先ほどのアンブレラを右斜め奥に移動させて光を当ててます。

 

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左から弱めの光を当ててますが、これは銀レフでも同じことができるのでストロボ1灯と銀レフでも同じような写真を撮ることができますね。

 

アンブレラ+銀レフのメリットは自由度の高さによるクオリティの良さ。でもコストは?

買うにしろ自作にしろ、ボックスのデメリットは自由度の低さです。被写体がその都度変わる場合は、メインの光の位置も、影の調整をするレフ版の位置も変わっていきます。アンブレラを使えば直径約1m弱ぐらいの面光源を自由に動かせますし、銀レフを使えばその都度微調整しやすいのでどんな被写体でも対応しやすいです。

 

さて、気になるのがコストですが、撮影ボックスで検索をするとトップに約4万円の撮影ボックスが表示されていました。その撮影ボックスで撮られたクオリティとこの記事で紹介した写真のクオリティを比べると一目瞭然だと思いますが、ストロボ、アンブレラ、ホルダー、スタンド、銀レフの5つを合わせても4万以下にすることができます。

 

まず、先ほどすでにご紹介したアンブレラ、ホルダー、スタンドは約10,000円でAmazonで購入できます。そして、ストロボも約2万円弱で買うことができます。

 

Canon フラッシュ スピードライト 430EX II SP430EX2

Canon フラッシュ スピードライト 430EX II SP430EX2

 

 

2万以下で買えるのがキヤノンの430EX Ⅱ です。昔僕も愛用していました。今は後継機のⅢ型が発売されていますが、中古で約18,000円で買えるⅡ型でも十分です。銀レフは先ほど紹介した長辺90cmのものが1,400円で購入できるので、約3万円でストロボ、スタンド、アンブレラ、ホルダー、銀レフが揃います。小さな銀レフなら数百円で厚紙とアルミホイルが買えるので予算に入れなくてもいいぐらいですね。

 

肝心のストロボをワイヤレスで発光させることができるカメラですが、キヤノンは古い機種から対応していて、EOS kiss X5という二世代前のカメラでワイヤレス発光の撮影に対応することができます。そしてこのkiss X5はとっくに型落ちのカメラなので、中古なら約30,000円でレンズキットが購入できるんです。

 

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X5 レンズキット EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II付属 KISSX5-1855IS2LK

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X5 レンズキット EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS II付属 KISSX5-1855IS2LK

 

 

つまり、今からカメラと撮影セットを揃える場合でも、約6万円あればこの記事でご紹介した写真を撮ることができます。

 

もし僕がスタッフ用に撮影セットを一から購入するなら、撮影ボックスを4万円で買って残り2万円の予算でコンパクトカメラを買うよりも、6万円の予算で一眼レフ、ストロボ、アンブレラ、スタンド、ホルダー、銀レフを買います。なぜなら、プロが撮影しているセットを6万で再現できるからです。

 

流石に、コース料理のようにお皿がいくつも並ぶような場合は、ストロボとスタンドがあつ2、アンブレラがあと2つ、と大きな銀レフ(先ほど紹介した2つ目のディフューザーになるタイプの銀レフ)が1つ、ホルダーが3つ必要になりますが、それでも6万円+65,000円ぐらいでちょっとしたコース料理等も撮影できてしまいます。

 

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もちろん、機材を揃えれば誰でもクオリティの高い写真が撮れるというわけではありません。しかし、撮影ボックスではどうしても限界があります。もし同じ予算で撮影セットを揃えるのであれば、自由度が高く、クオリティを上げられる可能性があるセットの方がいいと思うのは僕だけではないはずです。自社で撮影セットを揃えてしまいたいという方は是非検討してみてください。

 

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