マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

シグマの単焦点レンズの真価を発揮できるのはミラーレス一眼?




少し前に、シグマからマウントコンバーターMC-11が発表になりました。

 

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SIGMA MOUNT CONVERTER | マウントコンバーター | 共通アクセサリー | SIGMA GLOBAL VISION

 

このコンバーターは、キヤノンのEFマウント、シグマのSAマウントの一眼レフ用レンズを、ソニーのミラーレス一眼で使用できるようにする為のものです。

 

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※画像はシグマのMC-11のページより 

 

シグマにとっては、ソニーのミラーレス一眼用のレンズを製造販売するよりも、マウントアダプターを経由して使ってもらった方が、製造開発のコストも削減でき、シグマのレンズの販売促進に繋がります。

 

また、シグマユーザーにとっては、高感度性能が弱いシグマのカメラをメインに、高感度が必要な時はレンズ資産をそのままにソニーのミラーレス一眼を買い足すだけで撮影の幅が広がります。

 

キヤノンの一眼レフユーザーにとっても、レンズ資産はそのままに一眼レフはキヤノン、小型軽量のミラーレス一眼はソニーという使い分けもできるようになるので、ユーザーにとっても嬉しい発表となりました。

 

このように、様々なユーザーがレンズ資産を活かせる状況になりましたが、それ以上に僕が注目したのは、シグマのレンズがミラーレス一眼でまともに使えるようになるというメリットです。

 

一眼レフ用のレンズで問題だったAF精度

この発表で僕が一番注目したのは、前ピン後ピンの問題がミラーレス一眼により解決し、一眼レフで使うよりもシグマのレンズの真価を発揮できるようになることです。シグマのレンズに限りませんが、一眼レフは構造上(AF方式が位相差な為)微妙に前にピントが合ったり後ろに合ったりといった現象が発生します。これは、精密機器を組み合わせるカメラの宿命とも言える現象です。

 

一眼レフで発生する前ピン後ピンの問題は、メーカーに送って調整してもらったり、カメラやレンズの機能を使って調整することは可能です(シグマはレンズ側に調整機能を設けることで、少しでもこの問題を解消しようとしています)。これらの調整で大幅なピントのズレはある程度解消できますが、細かな調整は不可能です。なぜなら、1つの測距点にある複数のAFセンサー毎に癖がある可能性があるからです。そこまでの調整は現時点ではできない為、一般の方の場合完全に解決することは不可能となります(プロカメラマンなら、キヤノン専門のプロ向けサービスで解決可能)。

 

シグマの単焦点レンズはミラーレス一眼で

前ピン後ピン問題の影響を大きく受けるのは、単焦点レンズで背景を大きくボカした撮影です。背景が大きくボケるということは、それだけ被写界深度が狭い(ピントが合う幅も狭い)ということなので、前ピン後ピンの問題が大きければすぐにピントがズレてしまいます。

 

しかし、マウントコンバーターMC-11を使えば前ピン後ピン問題も解決できます。ミラーレス一眼なら、構造上前ピン後ピンの問題が発生しないからです。つまり、シグマの単焦点レンズはミラーレス一眼で使うことで、より安心して撮影することができるようになるのです。とくに、近年のミラーレス一眼の顔認証の精度はかなり高いです。ピントを外すことはほとんどないのでポートレートを撮影される方にとっては検討の価値は高くなるでしょう。

 

現在、シグマのレンズは3つのラインに分かれています。Art、contemporary、Sportsの3つのラインに属するレンズなら、全て問題なく使えます(AF-S限定)。

 

とくに、ソニーのフルサイズミラーレス一眼用の単焦点レンズは値段が高いです。先日発表になった50mm F1.4は16万円台(発表直後で高いですが、おそらく安くなっても14万円前後かと)。

 

 

一方、シグマのレンズなら8万円台です。 

 

 

もちろん、スペックこそ同じでも写り方などに違いがあります。そこまで細かな描写を求める場合は、単純に値段を比べることができないかもしれません。しかし、シグマのこのレンズもかなり評価は高いです。多くの人にとっては検討の価値は十分にあると思います。

 

現在は85mm F1.4がまだ発表になっていませんが、近いうちに必ず発表されます。50mm、85mmと揃えば、これらのレンズの為にソニーのミラーレス一眼を購入するという人も出てくるでしょう。24mm F1.4、35mm F1.4のレンズもあるので、広角レンズでポートレートを撮影される方はすでに導入されているかもしれませんね。

 

コンバーターMC-11のデメリット

 

先ほども触れましたが、コンバーターを使った撮影はAF-S(カメラがピントを合わせたらピント位置を固定)限定となります。ピントを合わせ続けるコンティニュアスAFなどは非対応となっているので、Sportsラインのレンズは一眼レフで使用する方が賢明です。しかし、動く被写体を撮らないという場合は、非常に価値のある選択となります。

 

DMF(AFでピントを合わせた後にマニュアルでピントを調整する機能)は対応していないものもあります。便利な機能ではあるので、もし必要なら対応表をしっかりとチェックしてください。おそらく、ポートレート等なら顔認証AFやコントラストAFでほぼピントを合わせることができるはずなので問題はないかと思います。

 

また、コンバーター非対応のレンズで使用すると像面位相差AFしか作動せず、AF速度は速くても精度に問題あり、なんて報告もあります。精度に問題ありなら、やはりメーカーが対応している3つのラインに属する対応レンズで使うのがベストですね。

 

 

余談ですが、オリンパスのE-M1に一眼レフ時代のレンズをつけると、位相差AFのみで作動します。位相差AFのみの場合はミラーレス一眼であっても前ピン後ピンといった現象が発生するそうなので、オリンパスの方曰く一眼レフ時代のレンズを使って前ピン後ピンが気になるならメーカーに調整依頼をしてほしいと言われたことがあったなと、この記事を書いていて思い出しました。