マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

マイクロフォーサーズで35mm判換算12mmで撮影する方法《2017.12.5_更新》




 

僕が普段から使っているマイクロフォーサーズは、焦点距離が2倍になります。なので、35mm判換算で50mmで撮影したい場合は25mmを。35mm判換算85mmで撮影したいなら、42.5mmのレンズの使わなければいけません。

 

もちろん、メーカーはその点を考慮し様々なレンズを開発販売していて、今ではマイクロフォーサーズのレンズ群は隙のないラインナップになっています。しかし、そんな中でも揃っていないレンズが2つあります。それが、アオリレンズと35mm判換算14mmより広角のレンズです。

 

アオリレンズに関しては、先日の記事でご紹介したので下記リンクよりご覧ください。

 

 

マイクロフォーサーズで35mm判換算14mm以下を実現する方法は2つ

1つはアダプターを使ってAPS-C用の8-16mmを使う

さて、マイクロフォーサーズの超広角レンズとして代表的なのは、パナソニックとオリンパスから販売されている7-14mmのレンズです。

 

 

パナソニックの方は、小型軽量で絞り開放がF4ながらも開放からよく写る良いレンズです。一方、オリンパスの方は防塵防滴で絞り開放はF2.8。名称もPROという名がつき、オリンパスの中でも最高グレードのレンズになります。

 

マイクロフォーサーズユーザーにとってはどちらにするか悩ましい問題ではありますが、開放絞りに拘らない、防塵防滴でなくてもいいという場合はパナソニック。小さな被写体もなるべくアップで撮りたい、距離目盛を使って瞬時にパンフォーカスにして撮影したいという場合はオリンパスがオススメです。どちらも使ったことがある身としては、写りは両者共にかなり良いので、どちらを買っても写りで後悔することはないでしょう。

 

ですが、マイクロフォーサーズの35mm判換算14mmの水平画は約94度ぐらいです。これは、3:2のフォーマットのカメラで使う場合の16mmか17mmぐらいになります。マイクロフォーサーズなら上下が広く写りますが、横幅は少し狭くなってしまうんです。

 

もちろん、これをメリットととるかデメリットととるかは人それぞれですが、7mmよりも広角なレンズも選択できるにこしたことはありません。しかし、現状で選択できる一番広角のレンズは7-14mmです。

 

 

そんなことを考えている時に見つけたのが、35mm判換算で12mmの撮影が可能になるアダプターです。そのアダプターがこちら。

 

f:id:photographerti:20160315135822j:plain

 

このアダプターは台湾にあるメタボーンズというメーカーが開発し、日本ではデジタルホビーさんが代理店として販売しています。

 

メタボーンズのメーカーHPはこちら

 

このアダプターはマイクロフォーサーズのカメラでキヤノンEFマウントのレンズを0.71倍の焦点距離で使えるようになるもの。つまり、焦点距離2倍ではなく1.42倍で使えるようになります。しかも、例えば50mm F1.4のレンズを装着すれば、開放絞りが一段明るいF1が選択できるようになります。つまり、

 

71mm F1.0

 

として使用できます。

 

言い方を変えると、マイクロフォーサーズのカメラがAPS-C感覚で使えるようになるということですね。絞りも一段明るくなり、それだけISO感度も抑えることができるのもありがたいです。

 

※50mm F1.4を使用した場合、絞り値はF1.0を選択できたとしても背景のボケ量が増えるという意味ではありません。背景のボケ量は、F1の時にF1.4相当。F1.4の時にF2相当となります。

 

このアダプターの良いところは他にもあって、まずマスターレンズの性能がほとんど落ちません。周辺が若干甘くなりますが、それでも十分実用的です。TS-E45mmでも試してみまいたが、写りがほとんど変わらずに撮れるのに驚きました。

 

また、組み合わせ次第になりますが、メタボーンズのメーカーHPを見てみるとなんとAF対応みたいです。

 

f:id:photographerti:20160316103404p:plain

 

こちらの画像はメーカーHPで公表されているAF対応表です。メーカーHPは全部英語で、グーグルさんに翻訳をお願いしている為所々日本語がおかしいですが、これを見るととくに比較的新しいレンズは普通に使えるみたいですね。

 

 

さて、ここからが本題です。

 

このアダプターを使えば、シグマの8-16mm(キヤノン用)を使うことでマイクロフォーサーズでも35mm判換算12mmで撮影できるのではないか?と思い、実際に購入してテストしてみました。もし、綺麗に写って仕事でも使えたら嬉しいなという期待を抱きつつテストした結果...

 

f:id:photographerti:20160229101714j:plain

 

ご覧のような結果になりました。かなり歪曲が大きいです。ですが、Photoshopを使えば簡単に、かつ一括で全ての画像を補正できます。補正した画像がこちら(シグマの12-24mmの現行型のプロファイルを選択し、画像のように手動の補正をかけています。8-16mmのプロファイルを選択するよりも、12-24mmのプロファイルの方が綺麗に補正ができます)。

 

f:id:photographerti:20160316110110p:plain

 

一括補正では完璧には補正できないので、被写体によっては最後に手動で歪み補正を行う必要があるかもしれませんが、スナップや風景なら十分に使えるんじゃないかと思います(尚、8-16mmは3:2のフォーマット用に開発されているので、マイクロフォーサーズで使う時も3:2でトリミングする形となります)。

 

ただ、建築撮影等で使えたら嬉しいなという淡い期待は残念ながら叶いませんでした。補正できるとはいえ、建築系は線が真っ直ぐに写っていないといけないので、ちょっと仕事で使うには厳しいです。仕事で12mmで撮りたい時は、潔く別マウントで撮るとします。

 

個人的には少し残念な結果になりましたが、マイクロフォーサーズユーザーにとって別マウントのカメラを買わずに35mm判換算12mmで撮影する唯一の方法になるでしょう。とくにスナップや風景に使うのであれば、十分実用的になると思います。

 

ただ、ネックなのが値段です。アダプターを新品で買うと108,000円します。ですが、マスターレンズの性能をほぼ維持できるのはこのアダプターだけのようです。他にも似たようなアダプターがありますが、他のアダプターは値段の安さゆえに写りが悪いみたいですね(下記の記事を参照)。

 

 

値段は若干高いですが、すでにキヤノンEFマウントのレンズを多数持っている人、マイクロフォーサーズユーザーで、35mm判換算12mmで撮影したい人、70mm F1.0等マイクロフォーサーズ対応レンズにはない仕様で撮影したい人にはオススメですよ。

 

2つ目は8mm F1.8 Fisheye PROを使う

 

こちらの記事で紹介されているんですが、8mm F1.8 PROは周辺部の描写性に拘った結果、フィッシュアイ独特の歪みを補正しても解像度の低下が最小限に抑えられる為、35mm判換算9~12mmでの撮影が可能となるそうです。

 

3:2のアスペクト比で11mmの写真になるそうなので、RAW現像してからOLYMPUS Viewer 3でフィッシュアイ補正を行うという手間をかけられるなら純正レンズである8mm F1.8 PROを使う方がいいかもしれませんね。