マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズ(MFT)を中心に解説します

オリンパスのPROレンズは単焦点とズームでコンセプトが違う





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オリンパスのPROレンズのコンセプトは、高い光学性能はもちろん、防塵防滴、堅牢性、質感など道具としての完成度を高さを追求し、どんな撮影環境でも最高の画質を提供するというものです*1

 

そんなPROレンズは、ズームレンズだけでなく単焦点レンズも揃い出し、現在は9本のラインナップとなっています。

 

 ※◯がついているのは僕自身が所有しているレンズです。

 

僕は9本のPROレンズのうち4本を所有し、仕事でもプライベートでも使っていますが、とくに使用頻度が多いのは7-14mm PROと12-100mm PROです。この2本があれば超広角から35mm判換算200mmまで防塵防滴・高画質で撮影でき、且つ35mm判換算24-200mmの間はレンズ交換なしで、しかも全域ほぼハーフマクロで撮影できます。お祭りやイベント撮影等のスナップ系の撮影では瞬時に画角を変えて撮ることが多い為高確率でこの組み合わせで撮影します。

 

ズームレンズはクリアな描写に重点を置いたレンズ

さて、ズームレンズのPROレンズを使っていて感じるのは、クリアな描写性ということです。良くいえば、どのレンズも非常に抜けが良い綺麗に写るということですね。ただ、悪く言えばどのレンズもクリアな描写性が似ているのでレンズの味というのはあまりないです。

 

レンズによっては、40-150mm PROよりも12-40mm PROや12-100mm PROの方がボケが綺麗なことが多いとか、そういった違いはあります。ただ、全体的な写り方は非常に似ていますね。

 

これは、オリンパスのインタビュー記事を見ていても分かります。

 

  • PROレンズのコンセプトは、極限まで収差をゼロに追い込んで、ピントの合ったところの高解像を追求するというスタンス。
  • 二線ボケやうるさいボケは設計で出さないよう第一に配慮する。
  • 基本的にはボケの形状や二線ボケの傾向などをスポットダイヤグラムの追跡(レンズを通った光がどのように焦点面に到達するか計算し、収差の出方を見る)でチェックしています。そのため、「ボケもまた性能のひとつ」と考えるのが、弊社のボケに対する基本スタンスであると言えると思います。

出典:インタビュー:M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO - デジカメ Watch

 

PROレンズの描写性のコンセプトは、基本的に各収差が可能な限り0になるように追い込んで高解像度を目指す。それでいて、ボケも性能の一つと考えてボケ方や二線ボケの傾向も調整し、ボケ味がうるさくならないよう配慮するというもの。これは、どのレンズを使っていても実感できます。40-150mm PROだけは若干ボケがうるさくなることがありますが。

 

※40-150mm PROで撮影

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単焦点はボケ味を追求したレンズ

ズームレンズは収差を0に近づけて高解像度を目指したレンズですが、単焦点レンズは目指す先がボケ味という点に注目です。8mm F1.8 fisheyeレンズは例外ですが、

 

  • 17mm F1.2 PRO
  • 25mm F1.2 PRO
  • 45mm F1.2 PRO

 

この3本のレンズに関しては、ボケ味を徹底的に追求したレンズになります。実際にこの3本を紹介している特別ページでは、

 

F1.2大口径単焦点シリーズの設計思想

ポートレート撮影に活用されることの多いF1.2の大口径単焦点レンズ。大口径単焦点レンズならではのボケの大きさだけでなく、ボケの質感にまでこだわった描写性能であれば、被写体をより印象的に浮かび上がらせることができる…その想いで追求したのが、「ボケの質」。

 

そして、生み出されたのが「美しくにじむボケ」です。「美しくにじむボケ」とは…ピントがあった箇所からアウトフォーカス面にかけて、にじむように溶けて、人物などの主要被写体に、より一層の立体感を感じさせるボケのことをオリンパスは「美しくにじむボケ」と名付けました。

 

オリンパスのF1.2大口径単焦点シリーズは、この「美しくにじむボケ」を創りだしながら、高い解像力との両立を実現し、これまでにない新たな価値を提供いたします。

出典:M.ZUIKO PRO F1.2 Prime Lenses“ボケを極める”F1.2大口径単焦点シリーズ | デジタル一眼カメラ | オリンパス

 

という文章が紹介されています。少し前までは、解像度を高めるとボケ味が悪くなり、ボケ味を追求すると解像度が犠牲になるというのが一般的な認識でしたが、オリンパスの単焦点PROレンズはボケ味と高解像度を両立しています。これは、長年顕微鏡開発で培った高精度計測技術によって開発された、超精密収差測定器によって実現したものです。収差測定器によって収差をコントロールすることで、収差を絶妙なところであえて残すという設計方法が可能となり、美しくにじむボケ味が誕生しました。

 

 

僕自身は25mm F1.2を使っていますが、美しくにじむボケというのは実写でももちろん実感します。しかし、それまで使っていたノクトン 25mm F0.95との比較をした時により実感しました。

 

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こちらは、オリンパス25mm F1.2 PROはノクトン25mmF0.95以上のボケ味という記事でご紹介している25mm PROとノクトン 25mmの絞り開放での比較です。

 

ノクトン 25mmの方が半段ボケ量が大きいにも関わらず、ノクトンでは写っているフレームのボケが25mm PROではボケの中に溶け込んで消えている部分があります。また、球面収差がより大きく残っている(ピントが合っている場所もよりソフトな写りなのに)ノクトンよりもボケ質が良いのが分かります。

 

これは、背景がボケにくいというデメリットを設計技術でカバーしていることになります。部分的ではありますが、半段分も背景がボケるレンズよりもボケているように見える箇所があるということは、F1.2という設計以上にボケ量の多さを感じるはずです。マイクロフォーサーズのF1.2はフルサイズでF2.4と同等のボケ量なので、フルサイズでF2〜2.2ぐらいのボケ感と思えば、単焦点PROレンズの魅力がより伝わるのではないでしょうか。

 

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ズームのPROレンズは単焦点レンズ以上の解像度

単焦点PROレンズは、ボケ味を追求しながらも解像度も両立しています。絞ればカリカリにという写りにはなりませんが、必要十分な解像度です。ただ、解像度で言えば12-100mmや12-40mm、40-150mmなどのズームの方が高いです(25mm F1.2 PROに関しては)。僕自身、絞った時の解像度重視の時は25mmは使わず12-100mmなどを積極的に使います。

 

オリンパスは長年顕微鏡の開発を行っていて、レンズに使う硝材も自社で生産しています。その為、レンズ設計技術は非常に高いのが特徴のメーカーですが、単焦点レンズよりもズームの方が高解像度という事実からもその設計技術の高さを感じています。

 

その辺りの技術的な話は意外と知らないオリンパスとパナソニックの思想と技術という記事でご紹介しているので併せてご覧下さい。

 

 

さて、オリンパスのPROレンズがどんなレンズなのか?この記事をご覧になると大体のイメージを掴んで頂いたかと思います。あとは、実際に手にとってその写りを体験してみて下さい。どのレンズを手にしても後悔はないと思いますよ。