マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

画像のノイズを上手く消すフォトショップのRAW現像・レタッチテクニック




 

今回は、他では解説されていないフォトショップを使ったノイズ軽減テクニックをご紹介。RAW現像をする人も、現像後の納品画像をレタッチする人も、是非覚えておきたいテクニックです。では早速解説します。

 

ステップ①:まずはCAMERA RAWで画像のノイズだけを小さくする

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CAMERA RAWは、フォトショップのプラグインとして組み込まれているRAW現像ソフトです。CAMERA RAWはフォトショップに内臓されているので、フォトショップでRAWデータを選択すると自動的に立ち上がります(Bridgeという閲覧ソフトからは【コマンド+R】でダイレクトにCAMERA RAWが立ち上がります)。

 

このCAMERA RAWは、RAWデータだけでなくTIFFデータやJPEG画像も展開できるので、納品画像を受け取った人も積極的にこのソフトを使ってみて下さい。

 

設定するだけでノイズだけが小さく

さて、このCAMERA RAWを使ったノイズリダクションの設定は簡単です。

 

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いろいろ試した結果、ディティールをほぼそのままにノイズだけ軽減する場合はこの設定がベストです。ただ、鑑賞距離からでは分からないぐらいのディティールを犠牲にできるなら、ノイズ軽減の【輝度】をもう少しプラスに(30ぐらいに)しても大丈夫です。

 

高感度ノイズにはマスクを使おう

もし、ISO感度を上げて撮影した写真のように高感度ノイズが多い場合は、マスクという項目を50前後にするのがオススメです。これを0にしておくとディティール80が全てのピクセルに適応されますが、マスクの数値を上げることでエッジの強いところのみに適応され、エッジが弱い部分のノイズが無駄に目立つのを防げます。

 

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ちなみに、RAW現像後のJEPG、又はPSDからCAMERA RAWを立ち上げて下記の設定でシャープネスを施すと、ノイズは増やさずに自然な形でシャープネスをかけることができるのでオススメです(被写体によって微調整は必要です)。

 

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ステップ②:フォトショップの《ディティールを保持2.0》を使う

CAMERA RAWでノイズだけ小さくした後は、さらに《ディティールの保持2.0》という2017年10月に登場した新機能で処理します。

 

これは、マイクロフォーサーズのノイズ耐性を約1段アップさせるフォトショップの新機能という記事で詳しく手順を解説しましたが、ここでもざっくり解説しておきます。

 

《ディティールの保持2.0》は、例えば2000pixelから3000pixelに拡大処理した際に、フォトショップの人口知能が自動的に判断し、ディティールを維持して拡大してくれます。これがかなり実用的なんです。

 

そして、ノイズを消せばディティールも無くなり、ディティールを強調させるシャープネスをプラスするとノイズも一緒に多くなるという特徴があります。

 

つまり、《ディティールの保持2.0》でディティールが増した分、ノイズを軽減してもディティールは元に戻るだけでノイズだけが消えていきます。

 

さて、実際の手順は簡単です。まずは、擬似的に高画素にしてやります。僕が普段使うE-M1の長編は4608pixelなので8000pixelまであげていきます。長編のピクセル数で約1.7倍ぐらいです。下の画像でオレンジ色で書いているように、画像サイズで言うと約3倍ぐらいです。

 

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高画素にできたら、そのままCAMERA RAWフィルターを使ってCAMERA RAWを立ち上げます。 

 

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そして、

 

  • ノイズ軽減を40
  • 輝度のディティールを80〜85

 

に設定します。(長編を約1.7倍ぐらいにした場合)輝度のディティールが80ならノイズ軽減優先、木の表面や苔などのディテイールを優先するなら85。全体的なバランス重視なら82ぐらいが丁度いいぐらいに仕上がります。ディティールを最優先なら

 

  • ノイズ軽減25〜30
  • 輝度のディティールを85

 

ぐらいがオススメです。

 

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高感度ノイズはノイズの粒自体が大きくなるので、そのノイズも強調されてしまい効果が薄くなっていきます。マイクロフォーサーズならISO800、フルサイズならISO3200ぐらいが活かせる目安になりますが、それ以下のISO感度のノイズや暗い場所を明るくした時のシャドウノイズなどには有効ですね。

 

ステップ③:スマートシャープの《ノイズを軽減》機能を使う

フォトショップにはスマートシャープという機能があります。

 

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画像をそのまま印刷してしまうとモヤっと感が出てしまうことがあるので、

 

  1. Labカラーに変更
  2. チャンネルを選択しL(輝度)だけを選択
  3. アンシャープマスクを150〜200を適応後RGBに戻す

 

という方法で仕上げることで紙でもキリッと綺麗に仕上げられるのですが、スマートシャープは上記の方法のような面倒な手順なしに同じ効果が得られる便利な機能です。そして、スマートシャープの特徴の一つにノイズ軽減機能があります。

 

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このスマートシャープのノイズ軽減アルゴリズムが通常のノイズ軽減機能と同じものなのかは分かりませんが、スマートシャープの量を10%、ノイズ軽減を8%で適応させることでディティールはほぼそのままにノイズだけ軽減できます。

 

もし必要であれば、シャドウとハイライト部分で適応量を帰ることも可能なので、シャドウノイズだけ低減という選択肢もあります。

 

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このスマートシャープの一番のメリットは手軽なことです。フォトショップには、作業手順を記憶させてそれを複数の画像に自動的に処理を施すというバッチ処理を行うことができますが、この作業を記憶させておけば画像が多くても一気に適応させることがでいます。

 

このスマートシャープも高感度ノイズになる程効果は半減していきますが、ISO800〜2000ぐらいで先にCAMERA RAWでノイズを小さくしておけば効果が期待できます。

 

高感度のノイズはステップ①のCAMERA RAWが一番活躍する

さて、途中の解説でも触れたように、ステップ②のディティールを保持2.0とステップ③のスマートシャープは、高感度ノイズになる程効果が半減してしまうので、そんな時はステップ①のCAMERA RAWのノイズ軽減を少し強調させてやります。

 

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紹介したように、CAMERA RAWのノイズ軽減のところにあるマスクの機能を使うことで、ディティール80が全てのピクセルに適応されるのを防ぐことができます。高感度ノイズの場合はシンプルにこの機能でディテイールとノイズのバランスを調整する方がいいでしょう。

 

ただ、低感度から中間感度まではどのやり方も効果的です。とくに暗い場所を明るくした時のシャドウノイズには効果てきめんなので是非お試し下さい。

 

全ての作業を行ったサンプルがこちら

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オリジナルサイズはこちら

 

こちらはディティールの損失を最小限にノイズだけ消えるように調整してみた比較です。ディティールを優先させるかノイズを優先させるかで微調整ができますし、レイヤーのコピーを作っておけばマスクを使ってさらに微調整もできます。是非試してみて下さい。