- 6DⅡのウィークポイントは低感度のダイナミックレンジ
- 画質は据え置き?でその他の機能はグレードアップ
- ライブビュー撮影の使い勝手の向上こそがこのカメラの最大のポイント
- 来年のミラーレス一眼が予想できる?
- 6D MarkⅡがバランス重視になったのはイメージセンサーのコストの為?
- 最後に
最近発売となった6D MarkⅡが良くも悪くも注目されています。画質面や機能面での賛否両論があり、僕もよくこのカメラのことを聞かれるので、6DⅡに対する僕の見解を解説したいと思います。
6DⅡのウィークポイントは低感度のダイナミックレンジ
6DⅡが悪い意味で注目されている理由は、低感度のダイナミックレンジです。デジカメinfoの記事でその特性が発覚し、高感度性能は初代6Dとほぼ同じ、低感度のダイナミックレンジはほんの少し悪くなっていることが確認できましたが、その低感度のダイナミックレンジ等を比較してくださっている記事を見つけたのでご紹介します。
詳細な比較レビューは記事をご覧頂きたいのですが、要約すると
- kiss X9、E-M1 MarkⅡとのダイナミックレンジでの比較は、露出補正-3・増感3EVという条件ではE-M1 MarkⅡが一番優秀(増感5EVでも同様。但し、E-M1 MarkⅡの感度はISO64)
- kiss X9とE-M1 MarkⅡとの高感度比較では、ISO6400以降は6DⅡが高感度になるにつれて6DⅡが他機種を引き離す。E-M1 MarkⅡはISO6400程度までなら6DⅡに劣るもののよく健闘している。
- α7Ⅱ、K-1との高感度比較では、ISO6400では全機種ほぼ一緒。ISO12800以降はK-1の良さが目立ってくる
という結果となっています。
一世代前の5DⅢぐらいまでは、キヤノンのカメラはダイナミックレンジが少し狭いカメラがほとんどでした。
出典:Olympus OM-D E-M1 Mark II vs Canon EOS 6D vs Canon EOS 5D Mark III
上の画像は、
- E-M1 MarkⅡ
- 6D
- 5D MarkⅢ
のダイナミックレンジを比較したグラフです。E-M1 MarkⅡはハイライト側のダイナミックレンジを広くする為に暗部ノイズが少し増すようになっているので、シャドウ部を大きくプラス補正しないのであればハイライト側のダイナミックレンジの広さが効き、一世代前のキヤノンよりも良いと考えることもできます。その特性が無くなるISO64で考えても、一世代前のキヤノンのカメラと同等ぐらいなので、E-M1系はそこそこ優秀なダイナミックレンジであると言えます。
つまり、ダイナミックレンジだけ見れば6DⅡの低感度はマイクロフォーサーズと同程度ということになるので、低感度性能を求めるならこのカメラは非常に悩ましい選択になります。もちろん、実用的かどうかと問われれば十分実用的ではありますが、実用にする為にはRAW現像を見据えた露出決定などのダイナミックレンジのコントロールがある程度求められるのも正直なところです。少し失敗してもリカバリーできる懐の深さを求めるなら、5D MarkⅣやソニーやニコンのカメラがオススメとなります。
ただ、常用感度は5D MarkⅣよりも高い40000になっていたり、画像処理エンジンがDIGIC7が採用されていたりするので、JPEGでの撮影では6Dからの進化を感じることができるかもしれません。ちなみにメーカーの方は、DIGIC6と7では性能の差というより性格の違いという解説をされていますが、5D MarkⅣのDIGIC6+は6よりもさらに進化した画像処理エンジンになっているので、DIGIC7はDIGIC6+よりかは性能的に劣るエンジンなのかなという印象です。
画質は据え置き?でその他の機能はグレードアップ
さて、今回発売された6DⅡの一番の特徴は使い勝手の向上です。
- ファインダー撮影時最大6.5コマの連写。ライブビュー時は最大4コマ。
- 連写枚数の増加(RAW:14枚→18枚。RAW+JPEG:7枚→17枚)
- AFエリアは狭いもののオールクロス45点のAFセンサー
- モニターでも快適な撮影ができるデュアルピクセルCMOS AF
- ライブビュー撮影における測距輝度範囲が向上(EV:1〜18 → -2.5〜18)
- 撮影枚数の増加(ファインダー撮影:1090枚→1200枚・モニター撮影:220枚→380枚)
- タッチパネル機能
- NFCやBluetoothなどの搭載による使い勝手
- 4Kタイムラプス動画(4K動画は非対応)
- カメラ内現像の機能が充実
- フリッカーレス機能の搭載
- 電源オフで露出補正の自動解除機能
調べた結果、僕が良いなと感じた点は以上になります(僕は動画の知識はないので動画の機能は割愛しています)。全体的に見てみると、正直目立った機能はありません。ミラーレス一眼にすれば、6D MarkⅡよりももっと快適にモニター撮影ができ連写もできるカメラはあります。ただ、既存のキヤノンユーザーにとってはこの使い勝手の向上は間違いなく喜ばしいことです。それでいて、可動式モニターを搭載した一眼レフとしては世界最軽量ボディとなっています。
ライブビュー撮影の使い勝手の向上こそがこのカメラの最大のポイント
ライブビュー撮影での最大4コマは少し物足りないと思われるかもしれませんが、僕も普段の連写は5コマに押さえて撮ることを考えると実用的ではないかと思います。ちなみに、今回いろいろ調べている中で下記の動画を見つけました。これは6D MarkⅡのAFの特徴紹介という動画です。まずはご覧になってみて下さい。
キヤノンの被写体を追従するアルゴリズムが優秀なのがよく分かる動画じゃないかなという印象ですね。動いている被写体を検知しそのままロックオンというところまでカメラが自動で判断していているのが分かりますが、これは6D MarkⅡで搭載されているスムーズゾーンAFだと思います。この動画を見ていると、離れた被写体を追従する場合はけっこう使いやすいのではと期待してしまいますが、どなたかスムーズゾーンAFの詳しいレビューをしてほしいですね。
連写は、この動画を見ている分には十分に感じられます。先程も触れたように、僕も普段は5コマに押さえて撮っているぐらいです。ただ、素早い被写体の一瞬を撮るのには最大4コマでは物足りないので、自分がどのような被写体を撮るのかをよく考えないといけませんね。
来年のミラーレス一眼が予想できる?
そして、今回の6D MarkⅡでモニターでの撮影可能枚数が220枚から380枚にアップしてることが何気に注目です。デュアルピクセルCMOS AFが初めて搭載されたのが70Dですが、この時点でモニターでの撮影可能枚数が350枚から230枚に大きく落ちています。そして80Dでは340枚とさらに増えており、今回の6D MarkⅡは80Dよりイメージセンサーが大きいという条件でも撮影枚数が380枚に増えています(5D MarkⅣもデュアルピクセルCMOS AFを搭載していますが撮影枚数は300枚です)。
この流れから、デュアルピクセルCMOS AFにおける省電力性が課題だったのが見えてきます。そして、6D MarkⅡでフルサイズ一眼のモニター撮影におけるAF性能と撮影枚数を実用的にしてきたのが今回のポイントではないでしょうか。そういう意味では、一眼レフの中でも快適にライブビュー撮影ができる貴重な一台と言えます。
6D MarkⅡがバランス重視になったのはイメージセンサーのコストの為?
ところで、キヤノンが画質よりも機能性とのバランス重視で開発した理由が気になっていたのですが、個人的な予想では
- 《デュアルピクセルCOMS AF搭載のイメージセンサーのコストと、市場のニーズを天秤にかけた結果》
ではないかと思います。
少し前に公開された1DXⅡの開発者インタビューで
フルサイズという大きなセンサーで、デュアルピクセル構造の画素性能を全領域で同じように保ちながら製造するのは、かなりハードルが高かったです。
という発言が確認できることから、フルサイズのデュアルピクセルCMOS AF搭載のイメージセンサーは、通常のイメージセンサーと比べてコストが高くなるのではないでしょうか。
おそらく、デュアルピクセルCMOS AFは無しで考えるなら、画質も向上させ基本性能もアップさせたカメラになると思いますが、そうなるとモニター撮影における快適性は犠牲になります。
そこで、6Dが担う市場のニーズを考慮した結果、画質の向上よりもモニター撮影における使い勝手の向上ということでデュアルピクセルCMOS AFが採用になったのではないでしょうか。この選択は、将来のミラーレス一眼へのフィードバックという点でもキヤノンにとっては最善の選択であったと思います。
6D MarkⅡにデュアルピクセルCMOS AFが搭載され、全体的に実用的になったことから、来年発表が噂されるキヤノンのEFマウント?のミラーレス一眼がなんとなく想像できますね。
最後に
フルサイズには、
- フルサイズのF1.4の被写界深度で撮影できる。
- フルサイズでF2.8通しのズームレンズが使える
- 被写体の動きを止めるなら、高感度性能の高いフルサイズ
というメリットがあります。そして、普通なら低感度における広いダイナミックレンジやシャドウノイズの少なさも挙げることができますが、6D MarkⅡは例外です。低感度の画質を求めるなら、個人的には他のカメラをお勧めしたいです。
ただ、低感度のダイナミックレンジの広さをそこまで求めない、キヤノンの一眼レフ用レンズの資産があるという方は、6D MarkⅡはとても良い相棒になると思いますよ。