マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

マイクロフォーサーズユーザーにオススメしたいMFレンズ3選




 

少し前は全てAFレンズで揃えていた機材ですが、今はマニュアルレンズが3本あります。その3本のレンズはプライベートでは必ず持ち歩き、仕事でもよく使います。なぜマニュアルレンズが増えていったのか?その一番の理由は、やはりE-M1の電子ファインダーの使い勝手の良さです。

 

 

こちらの記事でも紹介していますが、ピーキング機能は背景の輝度調整をオンにすることでピント合わせがかなり楽になります。拡大機能も組み合わせることで、どんな被写体でも正確なピント合わせが可能です。

 

では、実際に僕が使っているマニュアルレンズはどんなものなのか?完全に僕のスタイルに合わせたレンズですがご紹介したいと思います。

 

LAOWA 7.5mm

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最近発売になったこのレンズは、35mm判換算15mmにも関わらず卵サイズの超広角レンズ。フードを外せば卵よりも小さくなります。このレンズの特徴としては大きく3つでしょうか。

 

小型軽量で超広角レンズとしては安価

マイクロフォーサーズの超広角レンズの選択肢としては、

 

  1. OLYMPUS 7-14mm F2.8 PRO
  2. OLYMPUS 9-18mm F4-5.6
  3. Panasonic 8-18mm F2.8-4
  4. Panasonic 7-14mm F4

 

この4つになりますが、フィルターが使えるのは②と③のレンズ。②のレンズはLAOWA 7.5mmと同じく卵サイズですが、35mm判換算で18mmになってしまい写る範囲が少し狭くなります。③のレンズにすれば35mm判換算16mmでフィルターが使えますが、値段が高い(約11万円)。

 

その点、LAOWA 7.5mmは35mm判換算で15mmでありながらフィルターが使え、値段も63,000円程なので、マイクロフォーサーズ用の超広角レンズとしてはかなり安い方です。

 

F2の開放絞り値

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マイクロフォーサーズの超広角レンズとしては、LAOWA 7.5mmが一番明るいレンズになります。オリンパスの7-14mm F2.8 PROにしろ、パナソニックの8-18mm F2.8-4にしろ、一番明るくてF2.8です。なので、超広角レンズで一番明るいという意味でも貴重なレンズになりますね。

 

明るいレンズの特徴は背景がボケること。マイクロフォーサーズのF2のボケ量は35mm判換算でF4になってしまいますが、それでも接写すれば結構ボケてくれます。

 

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流石にF2では周辺の解像度が鑑賞距離でも分かるぐらい少し落ちてしまいますので、絞り開放で隅まで解像するのを求めるならあまりオススメできないです。とは言え、F2で撮る時は主役の被写体を端っこに配置することはほとんどない人はあまり気にならないと思います。 

 

絞った時の解像度

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絞り開放で背景をボカしても撮れますし、絞れば解像度はどんどん上がっていくので遠景も撮ることができます。周辺まで解像させるなら理想としてはF8ですね。F8まで絞れば周辺も鑑賞距離で十分解像するレベルまで解像度が上がります。とく中央付近の解像度はかなり高く、オリンパス 7-14mm PROよりも解像している感じです。

 

通常のスナップでは四隅までの解像度まで気になることはないと思いますので、F5.6ぐらいまで絞れば十分です。

 

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ノクトン 25mm F0.95 

 

F0.95の開放絞り値

この25mm F0.95の一番の特徴は開放絞り値でしょう。マイクロフォーサーズであっても35mm判換算でF2のボケ量になるので、個人的にはここまでボケれば十分です。また、絞り開放では高解像度ではなくほんの少しだけソフトフィルターがかかっているような優しい描写をします。

  

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 35mm判換算でF2のボケ量だとポートレートの距離感ではかなり被写界深度が狭いです。つまりピントの合う幅がかなり狭いので、ピーキング機能を使った時にはわりと簡単にピント合わせができます。 冒頭で触れた記事で紹介しているように、背景の輝度調整をオンにしておくとピントの山の移動が見やすくなるので、実際の撮影でMFだから困るということはほとんどないと思います。

 

また、MFでピント合わせをするということはAFエリアを選択する必要がないので、ファインダー内でピントリングだけの操作に集中できます。ミラーレス一眼はコントラストAFなのでAFエリアが広いのが特徴ですが、移動させる手間はどちらにせよ必要になりますので、その手間がない分ピント合わせに時間がかかるということもないです(ただ、レスポンスを求めるのは厳しいです)。

 

ちなみに、1段絞るだけでソフトな描写が抜けてクリアな描写になり、2段絞ればよりクリアになります。さらに絞っていけばどんどん解像度は高くなり、ほぼ画面全域でオリンパスのPROレンズ以上の描写になります(本当の四隅だけ絞っても若干甘い)。なので、高解像度な写真が必要な写真の時などは、あえてPROレンズではなくこのレンズで撮ることもありますね。

 

ハーフマクロになる最大撮影倍率

後に紹介する42.5mmも同様ですが、25mm F0.95の特徴の1つとして最大撮影倍率が35mm判換算で0.5倍であることが挙げられます。0.5倍まであると通常の撮影では不便になることはありません。マクロの世界を切り取るような写真ばかりを撮るならマクロレンズが必要になりますが、通常の撮影では問題ないでしょう。

 

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最大撮影倍率が0.5倍ということは約7cmのものがフレームに収まるということになります。7cmより小さな被写体を画面一杯に写したい時は等倍で撮影できるマクロレンズがオススメになりますが、普段7cmより小さな被写体ばかり撮影する人は稀です。通常の撮影という定義を語りだすと難しい話になりますが、多くの人にとっては最大撮影倍率0.5倍というスペックは必要十分でしょう。

 

ノクトン 42.5mm F0.95

先ほどの25mm F0.95と同じシリーズの42.5mmです。このレンズも25mmと大体同じ傾向になります。

 

 

F0.95では柔らかい印象に 

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25mmと同様に絞り開放では柔らかい描写になります。これは現代のレンズにない特徴なので逆に貴重なレンズですね。おそらく最新のレンズでこのような描写をするレンズは他にないと思うので、ポートレートで優しい雰囲気で撮りたいならオススメのレンズです。

 

とくに高感度撮影では、フルサイズの優位性は相殺されマイクロフォーサーズとの差が無くなるケースがあります。実験:α7ⅡでISO800以上で撮るならISO感度を2段落とせるE-M1のISO200の方が低ノイズ?という記事で詳しく解説していますが、自分が求める被写界深度が得られるマイクロフォーサーズ用レンズがあるなら、高感度撮影はフルサイズとマイクロフォーサーズで差が無くなります。

 

42.5mm F0.95はフルサイズで85mm F2と同じボケ量になるので、フルサイズの85mm F2のボケ量で十分というなら、マイクロフォーサーズのE-M1系やGH系のカメラにソフトな描写の42.5mm F0.95の方がポートレート向きになるかもしれませんね。

 

商品撮影でも使える絞った時の高解像度

絞り開放の描写とは打って変わって、絞ればどんどん解像度が高くなります。25mm F0.95でも触れていましたが、このレンズも絞った時の解像度はかなり高いです。通常の商品・料理撮影では、アオリ機能が使えるTS-E 45mmを使いますが、アオリ機能が必要ないと分かっている場合は45mm F0.95で撮ることもあります。

 

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オリンパスのPROレンズももちろん良いレンズなんですが、40-150mm F2.8 PROは40mm側が一番ウィークポイントなので42.5mmを使う方が解像度は高くなります。12-100mmは中間の焦点距離で十分な解像度を誇りますが、このレンズは鏡筒が伸びるので万が一レンズに体等が当たった時のことを考えると42.5mmの方が安心です(商品撮影の現場はカメラの周りを行き来することがよくあります)。

 

あと、最大撮影倍率は25mmと同様に35mm判換算で0.5倍です。なので、小さな花もわりとアップで撮ることができます。25mmも同様ですが、とくに接写時はソフトな描写が強調されるので花撮りにはもってこいなレンズかもしれませんね。

 

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MFレンズを活かせるボディ選びを

マイクロフォーサーズでフルサイズのF2のボケ量を実現しようとするとMFレンズ限定になります(25mm F1.2 PROは、ノクトン25mmと大きく変わらないボケです)。なので、そのMFのし易さを実現できるカメラ選びを行う必要があります。オリンパスであれば、OM-Dシリーズのカメラを使うのが理想です。PENシリーズではピーキング機能は簡易的な設定しかできなかったり、PEN-Fは操作性が悪かったりとストレスが溜まります。

 

詳細設定ができるOM-Dシリーズを使えば、MFでもストレスなくピント合わせが可能になります。もちろん、オリンパスのエントリーモデルのカメラも最低限のピーキング機能が備わっているので小型軽量を優先させるのであればその選択も有りでしょう。パナソニックの場合は一番最新のハイエンドモデルであるGH5が一番ピーキングの設定項目が豊富になっていますが、他の機種でも大きな問題はないと思います。

 

他には、カメラが小型すぎると操作性が悪かったりもするので、ある程度ボディが多いい方が使い易いです。個人的には、オリンパスのE-M1をずっと使っているとPEN-Fは使いにくかったです。ボタンをカスタマイズしてピーキングや拡大機能を使うのであれば、オリンパスならOM-Dシリーズ、パナソニックならGHシリーズやGX8などがオススメですね。

  

また、途中でも触れたことですが

 

  • マイクロフォーサーズは背景がボケない
  • 高感度撮影に弱い

 

とよく言われますが、それは間違った認識です。正しくは、

 

マイクロフォーサーズはフルサイズに対して、同じ被写界深度を得ようとした時に絞り値を約2段分開けることができる(APS-Cに対しては約1段分開けることができる)。

 

ということです。なので、論点になるのは《自分が求める被写界深度のレンズが存在するか?》という点です。そして、フルサイズに対して2段絞りを開けられるということは、フルサイズに対してISO感度を2段落とすことができるということです。自分が求めるレンズがあるなら、フルサイズやAPS-Cとマイクロフォーサーズを比較しても高感度撮影時の画質の差が相殺されるケースが多いですね。

 

その他のMFレンズのチェックはこちらから

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出典:Four Thirds | マイクロフォーサーズ | 製品紹介(レンズ)

 

上の画像は、マイクロフォーサーズの公式サイトで、MFレンズを含むマイクロフォーサーズ用のほぼ全てレンズが紹介されています。AFレンズも全て紹介されているので、マイクロフォーサーズ用のレンズはまだよく知らないという方は是非一度チェックしてみて下さい。