写真上達の本質を考えてみる

写真講師を続けてきたカメラマンの思考を記事にしていきます

カメラ選びの悩みが解消?フルサイズが必要かどうかが分かる4つの質問


 

写真・カメラの世界では、

 

  • ステップアップにフルサイズ。
  • 高画質を求めるならフルサイズ。

 

そう言われることが多いですが、これらの考え方は半分合っていますが半分間違っています。なぜなら、考えないといけないことは《◯◯ならフルサイズ》という◯◯の部分だからです。◯◯の部分をもっと細分化することで、自分にフルサイズが必要かどうかがより明確になります。

 

そして、基本的な4つの質問に答えるだけで、フルサイズが必要なのかどうかが分かります。ではその4つの質問とは何なのか?早速解説していきます。

 

①フルサイズで単焦点レンズのF1.4を使いたいですか?

フルサイズが必要かどうかを考える上でまず最初に出てくる質問は、被写界深度=ボケ量です。一眼カメラには各規格毎にカメラのイメージセンサー(昔のフィルムを担う部分)の大きさが違います。

 

 

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そして、この規格毎に背景のボケる量が違い、イメージセンサーが大きくなればなる程背景はボケやすくなります。ただ、絞りの設定を変えれば同じボケ量を得ることができます。つまり、

 

  • フルサイズのF4
  • APS-CのF2.8
  • マイクロフォーサーズ(MFT)のF2

 

この3つのパターンでは背景のボケ量はほぼ同じになります(フルサイズとAPS-Cの差は約1段。フルサイズとマイクロフォーサーズの差は約2段になります)。なので、自分がどの被写界深度を得たいのかを考えることがポイントになります。具体的に言うなら、あなたが求める被写界深度はフルサイズのF1.4ですか?F2ですか?F2.8ですか?ということです。

 

この質問次第で選択肢は変わります。もし、自分が使いたい焦点距離でF1.4の絞り値を選択したいのであれば、基本的にフルサイズ一択になります。もしF2で大丈夫ということなら、APS-Cやマイクロフォーサーズといった選択肢も出てきます。

 

選択肢に挙がるレンズが存在するかどうか次第ではありますが、APS-CでF1.4のレンズや、マイクロフォーサーズのF0.95のレンズを使えばフルサイズのF2とほぼ同じボケ量になるので、もし求めるレンズがあるなら選択肢は広がります。

 

②フルサイズでF2.8通しのズームレンズを使いたいですか?

先ほどは単焦点レンズの話でしたが、次はズームレンズです。フルサイズでF2.8通しのレンズ(24-70mm F2.8、70-200mm F2.8 etc)を使いたい場合も基本的にフルサイズ一択になります。ただ、シグマからAPS-C用の18-35mm F1.850-100mm F1.8というレンズが販売されているので、このレンズを使うならフルサイズでF2.8通しのレンズと同様のボケ量になります。

 

マイクロフォーサーズでは、フルサイズでF2.8のボケ量で撮れるズームレンズはありませんので、この質問がYESならマイクロフォーサーズの選択肢は消えます。フルサイズにするのか、APS-Cでシグマのレンズを使うかという選択肢になりますね。

 

ちなみに、現行型のマイクロフォーサーズのズームレンズで一番背景がボケるレンズ(14-40mm F2.8 etc)でも、フルサイズでF5.6のボケ量になります。生産終了品でよければ、14-35mm F2というレンズを使うことでフルサイズでF4のボケ量で撮ることができますが、フルサイズの24-70mm F2.8並に重く大きいので、潔くフルサイズかAPS-Cにする方がいいかもしれません。

 

三脚を多用しますか?又は光量が豊富な環境でISO800以下でしか撮らないですか?


こちらの記事でも紹介しているように、マイクロフォーサーズとフルサイズは被写界深度の差が2段分あります。その為、マイクロフォーサーズの方が絞り値を2段分開けることができ、ISO感度を2段落とすことができます。つまり、フルサイズでISO800で撮る時はマイクロフォーサーズはISO200で撮影できるのです。では、フルサイズのISO800とマイクロフォーサーズのISO200のどちらが良好な画質になるか?

 

結論としては、安価なフルサイズであればマイクロフォーサーズの方が良好にになるケースも。高価なフルサイズだとマイクロフォーサーズと同等になります。逆に、フルサイズでISO800以下を多用する場合や、三脚を多用する場合は画質面でのマイクロフォーサーズのメリットは1つもないかもしれません(もちろん、作品を仕上げる時は丁寧に仕上げると思うので、丁寧にRAW現像するならマイクロフォーサーズで風景撮影を行っても大きな問題ありません。ただ、常に暗いところを2EV以上明るく補正するような撮影の場合はフルサイズの方がいいかと思います)。

 

風景を撮られる方は三脚を多用するケースが多いので、そのような撮影スタイルならフルサイズかフルサイズに近い性能を持つAPS-Cのカメラが選択肢となります。三脚を使わない風景撮影であっても、手振れ補正が使えるカメラ・レンズを使うことでフルサイズのメリットがより大きくなるでしょう。

 

④被写体の動きを止める撮影が多いですか?

被写体の動きを止める場合は、シャッター速度を上げる必要があります。シャッター速度を上げる場合はISO感度をあげないといけないことが多くなるので、そうなるとフルサイズもマイクロフォーサーズも同じISO感度になりがちです。同じISO感度になるのであれば、フルサイズの方が選択肢としては有力になります。

 

ただ、望遠レンズはAPS-Cやマイクロフォーサーズの方が小型軽量になることが多いので、画質を取るか機動性・小型軽量を取るかで選択肢も変わります。圧倒的な小型軽量を求めるならマイクロフォーサーズ。適度に小型軽量を図るならAPS-Cでしょうか。

 

本当のステップアップは自分に合った機材を選択できるようになること

如何でしょうか。 ここまで4つの質問をご紹介しました。

 

  1. フルサイズの単焦点レンズでF1.4を使いたいですか?
  2. フルサイズでF2.8通しのズームレンズを使いたいですか?
  3. 三脚を多用するか?又は光量が豊富な環境でISO800以下でしか撮らないですか?
  4. 被写体の動きを止める撮影が多いですか?

 

これらの質問に1つでもYESと答える項目があるのであれば、基本的にフルサイズがオススメです(②・③の項目だけがYESの場合はAPS-Cという選択肢もあるかもしれません)。逆に、YESと答える項目が無ければAPS-Cやマイクロフォーサーズという選択肢の方が有力になるでしょう。とくに、高感度撮影を行う際はAPS-Cやマイクロフォーサーズの方が絞り値を開けられるので、フルサイズとの差が相殺されます。手振れ補正が強力な機材で静物を撮るなら、マイクロフォーサーズで撮る方が良い結果になるケースもあるぐらいです。

 

単純に高感度撮影はフルサイズということではなく、シチュエーション別・各イメージセンサー毎で設定する絞り値の差まで考慮しなければいけません。また、ここまでご覧になって頂くとお分かりになるかと思いますが、ステップアップにフルサイズというわけではなく、自分に合うか合わないかの問題になります。

 

カメラだけに限りませんが、何においても適材適所です。様々な商品も然り、人材も然り。全ての人の要求を満たせる万能な商品・人は滅多にありません。ステップアップすれば、自分自身の用途が明確になるはずです。その用途に合わせて、自分に最適な道具を使う。それが、本当の意味でのステップアップとなるのではないでしょうか。

 

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