写真は感性と科学の融合。
そんな言葉を聞いてピンとくる人は多いかもしれません。そうです、世界的にも有名な写真家であるケント白石氏が以前から発信されている言葉です。このブログをご覧の方は気づいていらっしゃるかと思いますが、僕もずっと同じようなことを考えていて、度々このブログでも触れています。
写真上達のポイントは科学的に逆算してみること
自分が撮影したその写真が、どのような環境で、どのようなカメラ・設定・レンズで、どのようなシャッターチャンスで撮られたのか理論的に理解し、且つそれを説明できるか?
それができるようになれば、写真は自然と上達していきます。つまり、そこから逆算して考えてみると写真上達のヒントが見えてきます。自分が撮影した写真が、なぜこのように撮れたのか?それが分からないうちは、全ての写真がたまたま撮れた写真にすぎません。しかし、写真を構成する要素が、どう変化すればどのように写真が変わるのか?ということを理解しておけば、被写体を目の前にした瞬間に
・どのようなカメラで
・どのようなレンズで
・どのような設定で
・どのような環境で
撮影すれば自分のイメージ通りになるかを瞬時に思いつくことができます。そしてその写真は(環境にもよりますが)かなりの精度で再現することができ、またそれを説明することもできます。
ちなみに、このことを僕の講座では基礎練習と言っており、その基礎練習で基礎スキル(どう撮ればどう写るかが分かるスキル)を鍛える為の考え方、取り組み方をお伝えしています。この基礎スキルがないと、テクニックを学んでも活かしきれなかったり、テクニックを活かした写真しか撮れなくなりますので、僕の講座では基本的にテクニックの話には触れません。
撮影スキルと同じぐらい現像スキルを求められる
先日、ケント白石氏がブログでこんなことを書かれていました。
ケント白石の写真講座は科学!じゃなくて科学する写真講座です。 - Kent Shiraishi Photo Studio
「写真は才能だ、センスだ」とか、そういう事言う人いますけど、そういう人に限って頭が悪いんです。知識が無い。つまり科学する頭が最初からない。そもそもカメラはもちろん、周辺機器も、そして現像ソフトもPCも、何もかも殆ど全ての機材が科学技術で生れたものです。それを使って撮るのが現代の写真であり、写真家を名乗るなら当然科学的な発想を持つでしょう、と僕は考えている次第です。まあもっとも他人様がどう考えようと自由ですから勝手にされて下さい。
少々口調がきついように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ケント白石氏の言葉はまさにその通りだと僕も考えています。
自分がイメージした写真を実際に撮影する為には、どのようなカメラを使って、どのようなレンズを使って、どのような設定で、どのような現像をすればいいのか?それが分からなければ、意図した写真は撮れません。
とくに、ケント白石氏のブログで度々触れられているのは現像の重要性です。このブログではあまり触れていないかもしれませんが、現像のスキルは撮影スキルと同じぐらい重要だと僕も考えています。
写真は撮影後の仕上げ(RAW現像)で印象が大きく変わりますが、これは料理と同じです。料理も、食材が良くても料理人の腕がなければ台無しになります。もちろん、逆もありますよね。料理人なら、普通の食材でも美味しい料理を作れるはずです。
写真も、撮影直後の写真(食材)とRAW現像(調理)次第で大きく変わります。なので、写真上達を意識するならRAW現像は切っても切れないものです。もちろん、食材もそのまま食べて美味しいものがあるように、写真にもRAW現像をしなくてもいい写真になることがありますが、やはりできることに越したことはないです。
例外はあるものの原則は変わらない
とは言え、日本で有名なフォトグラファーの方で、その方が年配の方の場合は機材のことはよく分からないという方もいます。その方は、カメラやレンズ、設定はアシスタントに任せてあるという話を聞いて、僕も初めは驚きました。
ただ、そういう方であっても最終的に撮りたい写真のイメージは頭の中にあります。普通なら、その写真が撮れるように自分でレンズを選び設定を決めていきますが、その役割をアシスタントさんが担っているということでしょう。こういう写真が撮りたいという要望を伝えて、その要望に対応するのが自分ではないだけだと思います。ただ、それが通用する写真とそうでない写真があるとも思いますので、あまり鵜呑みにはできません。それに、一般の人はそもそもアシスタントはいません。
なので、基本的には自分自身が【写真が撮れるまでの理論的なこと、イメージしたものを写真に落とし込む方法、理論】をしっかりと理解しておく必要があります。
絵画なら少し話は別かもしれません。しかし、ケント白石氏も仰るように、全ての機材が科学技術で生まれたものを使って表現するなら、その機材を科学的に理解し扱えるようにならなければいけない。そう考えることは、不自然なことではないはずです。
ちなみに、感性とは情報です。人々は様々な情報を元に、「良いもの・素敵なもの」の判断を行います。その情報は文字だけでも受け取ること、学ぶができます。もちろん、自分の目でみないと受け取れないものあります。なので、様々なものを見て聞いて、自分の感性をどんどん育てる必要があります。
ですが、どれだけ優れた感性があっても、その感性を写真で表現する方法を知らなければいけません。そして、その感性を写真で表現するものが科学なのです。
ちなみに、この記事はケント白石氏にもFacebookやTwitterでシェア頂き、ご自身のブログでも取り上げて頂きました。世界的にも有名な写真家の方にシェア頂けて光栄ですね。