マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

ステップアップでフルサイズ一眼?本当に必要?




 

世間一般的に、写真を趣味にしている方の間では

 

いつかはフルサイズ

ステップアップでフルサイズ一眼レフを

 

という傾向がありますが、僕はそうではなく適材適所で使い分けるという考え方をすべきだと考えています。なぜそう考えるのか?順番に解説していきます。

 

高価なカメラ=ステップアップではない 

フルサイズというのは一眼レフの規格の一つで、イメージセンサー(光が当たって画像に変わる、フィルムの役割をするもの)の大きさを示す言葉です。

 

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このように、MFTよりもAPS-C、APS-Cよりもフルサイズの方がイメージセンサーが大きくなり、イメージセンサーが大きくなればなる程画質が良くなって背景が大きくボケる傾向があります。そして、イメージセンサーが大きくなるにつれて生産コストが上がるので、どうしてもカメラ本体の価格も高くなります。

 

なので、フルサイズ一眼カメラのランク付けはミドルクラスからプロフェッショナルモデルのものばかりです(キヤノンの場合、下記画像の6Dや5DMarkⅢ 、1DXがフルサイズになります。それ以外は全てAPS-Cです)。

 

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出典:http://cweb.canon.jp/ir/library/pdf/2015/mp2015-2017-script.pdf

 

しかし、5D MarkⅢの隣に7D MarkⅡがあることに注目してみてください。メーカーが同じ位置づけとして扱っている7D MarkⅡはAPS-Cサイズです。エントリーモデルは全てAPS-CでありAPS-Cのプロフェッショナルモデルが存在しないことから、APS-Cの上位機種がフルサイズというイメージにもなりがちなのですが、APS-Cとフルサイズは本来別々の特徴があるので、自分の用途に合わせて選択する必要があります。

 

フルサイズの優位性は実際の撮影では相殺されるケースも多い

ところで、フルサイズとAPS-Cの特徴の違いは一体何でしょうか?フルサイズがAPS-Cよりも優れているところを考えるてみると、画質の差が挙げられます。ですが、画質の差を実感するのは暗い環境でISO感度を上げた時です。ISO感度を上げた高感度時はフルサイズの方が良いという傾向があります。ただ、僕はフルサイズからMFTにカメラを変えましたが、鑑賞距離だと大きな差を感じなかったりします。下記の画像は、画質面で一番不利なMFT(オリンパスのE-M1)とフルサイズ(キヤノンの5DMarkⅡ)のISO5000の画像を拡大して切り取ったものです(鑑賞距離程度にリサイズして長編を揃えてます)。

 

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フルサイズの方は機種が古いとは言え、E-M1よりも画質が良いとされるカメラです。イメージセンサーの比較を行っているDxomarkで許容できるISO感度は、E-M1は約800。5DMarkⅡは1800となっているので約1段ちょっとの差があります。

 

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出典:Olympus OM-D E-M1 vs Canon EOS 5D Mark II

 

しかし、 実際に過去に撮影した5D MarkⅡの写真と今使っているE-M1の写真を比べると、大きな差がありません。よーく見たら差が分かるかと思いますが、これぐらいなら十分検討しているのではないでしょうか?

 

また、実験:α7ⅡでISO800以上で撮るならISO感度を2段落とせるE-M1のISO200の方が低ノイズ?という記事でも解説していますが、フルサイズの高感度性能の優位性は凡そ2段ではあります。しかし、フルサイズとマイクロフォーサーズの被写界深度の差は2段です。なので、マイクロフォーサーズは常に絞りを2段開けて撮影することができ、ISO感度を2段落として撮影できることが多いのです。それに加え、マイクロフォーサーズは強力な手振れ補正により、フルサイズに比べて高画質で撮れることが多々あります。

 

もちろん、三脚撮影や動いている被写体の動きを止めるような撮影をするならフルサイズの優位性が目立つようになりますが、そのような撮影をしない僕にとってはフルサイズで撮るメリットはあまりありません。

 

実際に、5D MArkⅡからE-M1に変えた時は、画質面で劣っていると感じたことはほとんどありません。

 

本当にフルサイズが必要なシチュエーションを考えてみる

フルサイズの優位性が目立つシチュエーションは、

 

  • 三脚撮影ができる時
  • 望遠で動いている被写体を止める撮影をする時
  • フルサイズでF1.4で撮影したい時
  • F2.8通しのズームレンズを使う時

 

などです。そのような撮影をする場合は、フルサイズの選択肢が有力になります。

 

ですが、そうでない方はフルサイズにする方がデメリットが大きくなる可能性が高いです。世間では、フルサイズ=ステップアップというイメージがありますが、今の時代ステップアップでフルサイズは間違った認識です。

 

シチュエーションによってはフルサイズの方がデメリットになることもあるので、用途に合わせて機材を選択しないといけません。

 

また、イメージや見栄・憧れで購入を検討していると意識が写真に向かないので上達の妨げになる可能性もあります。もっと自分が撮る写真、撮りたい写真に集中して、自分に必要な機材を冷静に見極めたいですね。もちろん、冷静な判断故にフルサイズという選択なら何も問題ありません。所有欲を満たした方が撮影に集中できるという気持ちも分かるので否定はしませんが、安易な考えでフルサイズと考えてしまのであれば、この機会に一度《自分にあったカメラとは?》と考えてみて下さい。