マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

レビュー記事有:E-M1 MarkⅡは高感度とDR改善、全点クロス像面位相差はAF追従18コマ。




E-M1 MarkⅡがもう間もなく発売となりますが、個人的に注目しているポイントをご紹介していきます。

 

 

 

開発発表に関してはこちら

 

オリンパス ニュースリリース: AF/AE追従で最高18コマ/秒の高速連写を実現 ミラーレス一眼カメラ「OLYMPUS OM-D E-M1 MarkII」を開発

 


 

新イメージセンサーによる高感度性能とダイナミックレンジの改善

まず注目したいのが、開発発表時に触れられていた新しいイメージセンサーの高感度が1EV改善されているということ。Dxomark基準で許容できるE-M1の高感度は約ISO800だったので、本当に1EVの改善ならISO1600ぐらいまで許容できるレベルになります。

 

こちらの記事にオリンパスの片岡氏へのインタビューの内容が掲載されていますが、

 

E-M1 Mark II はスピードと画質の点で、伝統的なAPS-C一眼レフに優っている。特に、ISO6400前後の中間域では、ノイズリダクションと解像力が良好で、ライバルよりも優れている。

 

というかなり自信のある回答をされています。こちらの記事でも、高感度は1EV改善していると明言されていますね。他社のAPS-Cと比べて同等ではなく優れていると明言していますが、APS-Cの中でトップクラスと言えばニコンのD7200やD500です。この2つの高感度性能をDxomarkで見てみると約1300ですが、本当にE-M1 MarkⅡが1EV改善されていれば1300を超えて1600程まで伸びることになります。これは、少し古いフルサイズのカメラに匹敵する数値で、ここまで伸びてこれば実用上高感度ノイズで悩むことはほとんどなくなります。

 

1EVの改善は正直半信半疑でした。しかし、上記のインタビューで相当な自信がある回答になっており、E-M1 MarkⅡの初期設定の常用感度はLOW〜6400(E-M1は1600まで)と2EVも伸びていることも考慮すると、本当にAPS-Cのカメラよりも良い性能になっているのかもしれません。

 

《追記》

下記の記事で初代とⅡの高感度が比較されています。JPEG撮って出しなのかRAWデータを素のままJPEGにしているのかの記載がないので参考になるか分かりませんが(比較するなら必ず明記してほしい...)、確かに高感度ノイズが少し少ないように思えます。そして、注目したいのが解像感に差があるということです。ノイズ量が少し少なくて解像感が高いということは、初代と同じ解像感に合わせた場合よりノイズが少なくなるということです。

 

画像を見た限りJPEG撮って出しだと思いますが、RAWデータでも同じ傾向があるんじゃないかと思います。ただ、今すぐ買い換えたいかと言われたら微妙な差かもしれません。

 

 

 

f:id:photographerti:オリンパスE-M1 MArkⅡの高感度ノイズ

※引用元:Nikon D500 vs Nikon D7200 vs Olympus OM-D E-M

 

また、E-M1のダイナミックレンジはISO200で12.7EVでしたが、ダイナミックレンジも改善されているようです。

 

 

こちらの記事で具体的な数字が出ていますが、

 

ISO200のダイナミックレンジはE-M1 Mark II は4.2 Stepsで、これはE-M1(3.8 steps)、7D Mark II(3.5 steps)、X-T1(3.5 steps)よりも良好だ。

 

とあります。DxomarkでE-M1と7D MarkⅡを比較してみると、

 

f:id:photographerti:オリンパスE-M1とキヤノンの7D MarkⅡのダイナミックレンジ比較

 

E-M1 12.7EV、7D MarkⅡ 11.8EVとありますので、上記の上記のE-M1 3.8 stepsと7D MarkⅡ 3.5 stepsとの比率から計算するとほぼ当てはまります。この比率でE-M1 MarkⅡのダイナミックレンジを計算すると、約14.0EVになりますね。

 

比較計算式  E-M1 MarkⅡ : E-M1

4.2steps :?EV = 3.8steps :12.7EV

4.2 × 12.7 ÷ 3.8 = 14.0

 

14EVとなればニコンのD500と同じになります。各感度毎のダイナミックレンジを見てみないと総評はなんとも言えませんが、E-M1 MarkⅡのイメージセンサーはE-M1に比べて明らかな性能アップであることは間違いないようです。

 

全点クロス121点の像面位相差AFとAF追従で18コマ

f:id:photographerti:オリンパスE-M1 MarkⅡは全点クロス121点の像面位相差AF

※引用元:OLYMPUS - photokina press event LIVE from Cologne, Germany [recorded] - YouTube

 

ミラーレス一眼の像面位相差でクロスセンサーを搭載されたのは初めてでしょうか?ミラーレスの像面位相差が一眼レフに劣ると言われる理由の一つとしては、像面位相差のセンサーは全てラインセンサーであることが理由に挙げられると思います。各社の像面位相差AFの説明を見てみても、クロスセンサーを採用と謳っているのは見たことがありません。

 

しかし、今回のE-M1 MarkⅡは全点クロスセンサーが採用されています。AFエリア範囲もE-M1に比べて大きく広がっていて、動体追従のアルゴリズムも新しくなっているようなので、E-M1に比べて明らかな動体AFの性能アップが期待できそうです。

 

また、今までのE-M1なら一般的な動体撮影に対応できるようになったとは言え、馬などの被写体は上手く追従できないという話をよく耳にしていました。しかし、下記の動画を見ると馬に対してもよく追従しているようです。

 

www.youtube.com

 

像面位相差の欠点とされる暗所の動体撮影がどの程度改善されているか気になりますが、E-M1 MarkⅡからは一眼レフ並に動体撮影が得意と言えるようなカメラに仕上がっているかもしれません。

 

実際にデジカメWatchに動体撮影のレビューが掲載されていますが、この記事を見る限り歩留まりもかなり良くなった印象です。40-150mm F2.8を専用テレコンで使い、E-M1のグループターゲットで撮影すると後ろにピントが抜けることが多かったのですが、MarkⅡならグループターゲットも少し狭くなり、5点のグループターゲットも選択可能なのです。35mm判換算400mm程で動体撮影が実用的になると、動体撮影を主に行う方もマイクロフォーサーズで撮影する選択肢が現実的になるかもしれませんね。

 

dc.watch.impress.co.jp

 

電子シャッターが実用的に

また、AF追従で18コマというのはこの動画をご覧頂ければ確認できますが、これは電子シャッターでのスペックだそうです。電子シャッターで動体撮影を行うと被写体が歪むという現象が発生するのが一般的な認識ですが、メーカーHPで公開されている記事では、

 

サッカーや自動車ぐらいの撮影では歪みは気にならない

 

 

と明言されているので、余程早く動く被写体でなければ十分実用的な性能になっているそうですちなみに、AFなしの電子シャッター時は秒間60コマの連写。メカシャッター時はAF追従で10コマ、AFなしで15コマの連写だそうです。

 

その他のポイント

手ぶれ補正

他には、お家芸であるボディ内手振れ補正が5.5段に改善されています。E-M1は約4段、後発のE-M5 MarkⅡは5段の補正能力だったので、これでE-M1が手振れ補正でトップになりました。また、今回同時発表となった12-100mm F4 PROのレンズ内手振れ補正と合わせることで約6.5段の補正能力になります。レンズ内手振れ補正は、少し前に発売された300mm F4 PROも採用されているので、望遠レンズでの手ぶれ防止に更なる磨きがかかりました。E-M1の4段の手振れ補正でもかなり助かっている部分があるので、さらに1段半補正が強くなると想像するとちょっとワクワクします。

 

ダブルスロット

E-M1 MarkⅡからダブルスロットに対応している点も嬉しい改善点です。残念ながらUHS-Ⅱに対応しているのはスロット1のみですが、ダブルスロットになっただけでもありがたいですね。

 

電子ファインダー

電子ファインダーも120fps、最短表示タイムラグも6msecとなっており、より快適に撮影ができそうです。

 

 AFシングルターゲット、5点・9点のグループターゲット

AFエリアが拡大した為、1つ1つのエリアが小さくなっています。グループターゲットも少し小さめになっているので、使いやすくなっていますね。また、9点のグループターゲットに加えて上下左右と真ん中の5点のグループターゲットも選択できるようになっています。

 

バッテリー 

新開発のバッテリーは従来のものに比べて37%容量が増え、カメラでの表示も残り何%かを確認できるようになりました。新型の充電器は従来のものに比べて50%も充電時間を短縮されたそうです。また、バッテリーカバーは充電済みか使用後なのかが分かるように工夫されているのも、地味ですがとても嬉しい改善点ですね。

 

手持ちハイレゾはなし

手持ちハイレゾショットに関してはE-M1 MarkⅡではまだ不可能と、上記リンクのインタビューの中で明言されていますが、将来的には手持ちで行えるようになることを期待しています。

 

その他、細かい仕様などはこちらでご確認できますので、気になる方はご覧になってみてください。

 

オリンパス ニュースリリース: AF/AE追従で最高18コマ/秒の高速連写を実現 ミラーレス一眼カメラ「OLYMPUS OM-D E-M1 MarkII」を開発