マイクロフォーサーズの手引き

E-M1ユーザーのカメラマンがマイクロフォーサーズを中心に書いていきます

超広角レンズは像面歪曲を考慮しないと画質が落ちる




カメラのレンズには各収差があります。

 

【色収差】

・軸上色収差

・倍率色収差

 

【ザイデル収差】

・球面収差

・コマ収差

・非点収差

・像面湾曲収差

・歪曲収差

 

各メーカーがレンズを設計する時、この収差をいかに無くせるかと試行錯誤しています。各収差を無くすと、それだけ良い写りをするからです。さて、今回はこの中でも像面湾曲収差について触れていきたいと思います。

 

ピント面が平面にならない像面湾曲収差

像面湾曲収差が大きいと、ピントの面が平行にならずに下記の画像のようにカーブしてしまいます。

 

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※引用元:像面湾曲 - Wikipedia

 

この収差はどんなレンズでも大なり小なり存在しますが、とくに超広角レンズでは顕著に表れることがあります。僕が使っているオリンパスの7-14mm F2.8 PRO、シグマの8-16mmも例外ではありません。

 

そして、この像面湾曲収差が理由で、必ず最初にテストしなければいけなくなります。そのテストとは、画面全域の画質のバランスが良くなる絞り値と距離目盛の組み合わせを探すというものです。なぜそんなことをしなければいけないのか?その理由は、収差の影響により中央にピントを合わせると周辺がボケ、周辺に合わせると中央がボケるという現象が起きるからです。

 

先ほどの画像をご覧頂いた通り、像面湾曲収差があるとピント面がカーブします。このカーブによって、画面中央と周辺でピントが合わなくなってしまうんです。ですが、絞り値を大きくすればピントが合う幅、つまり被写界深度が深くなり、カーブしていても中央と周辺がピント幅の中に収まるようになります。

 

なので、まずは絞りをF5.6かF8ぐらいにして、距離目盛を少しずつ動かして何枚も撮影し、遠景で画質のバランスが良い組み合わせを探します。

 

僕の手元にあるオリンパスの7-14mmのレンズで7mmを使用した際、F5.6で下記の目盛のところで一番バランスがいいです(遠景だけならもう少し遠くに合わせます)。

 

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8-16mmのレンズで8mmを使用した際は、F8でこの目盛です。 

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ちなみに8-16mmは2本目で、最初のレンズも同じように中央に合わせたら周辺がボケ、周辺に合わせたら中央がボケたので、絞りと距離目盛の組み合わせをテストして一番バランスが良いところを探しました、1本目は「0.8」の8の数字が真ん中にくるぐらいが一番バランスがよかったので、個体差があるようですね。

 

F16ぐらいに絞れば像面湾曲収差のことは気にしなくても全体的にピントがくるかもしれませんが、無駄に絞ると今度は回折現象の影響で画面全体がボケてきます。なので、超広角レンズをお持ちの方で周辺の画質に不満がある方は、是非F8もしくはF11以下でベストな画質になるように調整してみてくださいね。