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写真上達でお悩みの方の駆け込み寺

初心者の方、独学や教室で上達しないとお悩みの方を専門に指導を行う写真講師のブログです

カメラマンの多くが写真上達の正しい指導ができない3つの理由

写真上達

先日、日本でも多くの受講生がいる大きな写真教室で講師を担当しているカメラマン3人の対談動画を見ました。その対談は標準レンズについて話されていたのですが、僕が受けた印象は「プロの講師ではなくやはりカメラマン」です。

 

どういうことかと言うと、カメラマンとして写真を撮るのは上手だけど、写真上達の指導は上手ではないということです。まず一番に感じたのは、皆さんがご自身の感覚を一生懸命言葉にされている点です。

 

 

●標準レンズは癖がないから自然な感じで撮れる。

 

●写真の力は被写体の力。そして被写体の力を引き出すには標準レンズが最適。

 

●標準レンズの力を知ることが、写真の力になる。

 

●自分の見て感じた被写体の魅力を描写できる。

 

●標準レンズの遠近感は肉眼と一緒

 

●標準レンズを使えば上達の近道になる

 

 

などなど。ほとんどが漠然としたイメージでしか受け取ることができません。これでは、標準レンズが大事なのは分かるけど、なんで大事なのかがしっかり理解できないでしょう。また標準レンズの遠近感は肉眼と一緒というのは間違っています。正しくは、背景の写る角度が肉眼に近いということであって、遠近感が一緒になるのは85mmから90mmの中望遠レンズです。

 

この辺りは言葉のあやの範囲かもしれませんが、感覚を言葉にしている点は講師の役目を果たせてはいません。なぜなら、漠然としたイメージでしか伝わらないからです。ではなぜ、感覚を言葉にすることしかできないのか?それは、カメラマンとして学んできた環境にあります。

  

カメラマンが正しい指導ができない理由① 

現代でもそうなのですが、多くのカメラマンは自身が上達してきた道のりや撮影ノウハウを論理的に説明できません。なので、見て覚えろ。体験して覚えろという指導法の中で育ちました。そのような指導法で、感覚的に理解しノウハウにできた人がカメラマンになっていったのです。そんな感覚的に覚えたカメラマンが人に教えようとしたらどうなるか?誰でも理解できる論理的な言葉で説明するのではなく、自分自身の感覚を一生懸命言葉にするしかないのです。

 

写真教室で、上達する人と上達しない人の二極化が起こる原因は、カメラマンが上達の正しい指導ができないのも大きな理由の一つでしょう。 感覚を言葉にして、それで理解できる人は上達するけど理解できない人は上達しないということです。

 

現に、僕が先ほど挙げた言葉で、具体的にどうしたら上達するか分かりましたか?標準レンズが上達の近道という理由が分かりましたか?分からない人の方が多いのではないでしょうか?このような指導は、受講生が自分で撮って感覚的に理解していくしかありません。

 

ちなみに、標準レンズが上達の近道というのも今では時代遅れです。僕からすれば遠回りでしかありません。それはまた別の機会に書きたいと思います。

 

カメラマンが正しい指導ができない理由②

名選手、必ずしも名監督にあらず。という言葉がありますが、これは有能な野球選手でも名監督になれるとは限らないということです。つまり、プレイヤーと指導者は違うということですね。カメラマンは写真を撮る為の練習をしてきていますが、指導の練習をしてきているわけではありません。

 

さらに、①でお伝えした感覚で理解し上達してきたカメラマンが、指導の練習もなしにいきなり講師を担当したところで、伝えられるのはカメラの使い方とテクニックぐらいです。カメラの使い方は、上達のスタート地点に立つ為の条件。テクニックは、上達の土台ができてから表現の幅を広げる為のもの。つまり、上達の土台ができる前にテクニックなどを教わってもテクニックを活かした写真しか撮れません。写真の土台を作れるのは、知識でもテクニックでもなく基礎練習なのです。

  

カメラマンが正しい指導ができない理由③

講師の役目は、自分のノウハウを伝えることではありません。自分のノウハウをこれでもかというぐらいに噛み砕いて、誰にでも理解ができ実践できるカリキュラムを作ることです。誰が実践しても上達する(上達する確率が高い)。そのようなカリキュラムを作るのが講師の役目ですが、この講師の役割を理解していない講師は非常に多いです。自分のノウハウを自分の言葉でただ伝えるだけでは、トークショーに招かれたゲストでしかありません。

 

それでも、このような指導を受けて上達していく人はいます。ですが、その人は少しカメラの使い方を教えてもらえば誰の指導でも上達するような人です。また、初心者の人はテクニックを教えてもらい、そのテクニックを活かした写真を撮ることで上達したと錯覚します。実際にはテクニックを活かした写真しか撮れませんが、受講生は喜びます。

 

もちろん、写真を楽しむきっかけを与えることで、意欲的に取り組んでもらう目的であれば問題ないと思います。しかし、ただテクニックを伝えるだけなのにあたかもそれが上達の秘訣であるかのように伝えるのは講師失格であると僕は考えています。

 

僕の受講生さんには、口うるさくこんなことを言っています。

 

テクニックを知ることは悪いことはありませんが、テクニックはあくまで表現の幅、選択肢の幅を広げるもの。表現の幅を広げるということは、広げる元になるものが必要。それが基礎スキルです。テクニックで撮った写真を見て上達したと錯覚しないようにしてください。

 

少々厳しい言葉になりますが、上達したと錯覚している時間が勿体無いです。それこそ、上達の遠回りになります。

 

 

 

以上が、僕が考えるカメラマンの多くが写真上達の正しい指導ができない3つの理由です。もちろん、このようなカメラマンばかりではないです。きちんと指導してくれるカメラマンもいらっしゃいますが、そのような方は少ないです。

 

もしあなたが写真教室に通われるなら、良き講師に出会えることを願っています。

 

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