長年写真をやっていると、時々こんな言葉を聞きます。
「最近のカメラは性能がいいからね。誰が撮っても良い写真が撮れるでしょう。」
こんな風に思っている人は多いはず。しかし、カメラの性能が良くなって撮れるのは綺麗な写真であって良い写真ではありません。大事なことなのでもう一度言います。カメラの性能が良くなって綺麗な写真は誰でも撮れるようになりましたが、誰でも良い写真が撮れるようになったわけではありません。
綺麗な写真と良い写真は全く違う
僕が定義する綺麗な写真と良い写真は、下記のような違いがあります。
- 綺麗な写真:写真の明るさ、色合いが適正で、ピントが外れていない写真。
- 良い写真:写真の良し悪しを決める要素がしっかりと考えられて、撮影者の意図した表現がされている写真。
つまり、綺麗な写真はただ見た目が綺麗なだけな写真。良い写真は、ちゃんと考えて撮られた写真ということです。考えてみれば、当たり前ですよね。もちろん、初心者の人がただ撮っただけの綺麗な写真でも良い写真だと感じる場合もありますが、それはマグレで撮れただけか、被写体が良かったのどちらかです。
決して「カメラが良くなったから良い写真が撮れる」なんてことはないのです。多くの人はカメラを変えて綺麗な写真が撮れるようになったことで感動し、やっぱり良いカメラでないと良い写真が撮れない!と、綺麗な写真と良い写真を混ぜて考えてしまいます。
また、写真が趣味の人やカメラマンの
「やっぱり良いカメラは違うね」
「良いカメラは画質がいいね」
という、発言者が綺麗な写真について言及した言葉を、初心者側は「良いカメラだと良い写真が撮れる」という間違った捉え方をするのだと思います。
写真の良さを変えてくれるのは、撮影者の腕だけ
僕が「良いカメラだから良い写真が撮れるとは限らない」と断言する理由は、僕自身が間違った体験したからです。僕が写真を始めて、まだカメラマンになる前の初心者の頃の話です。
当時の僕は、良いカメラやレンズを買えば良い写真が撮れるんじゃないかと思い、いろいろな機材を買っては売り買っては売りを繰り返していました。その結果、約100万円程損をしてしまいました。その経験が講座を行う際に役にたっているとは言え、今振り返ってみても痛い出費です。
しかし、某メーカーのカタログ写真で載っていたサンプル写真が、なんと一番安いエントリーモデルで撮影されていると知ったのがきっかけで目が覚めました。腕があればカメラの良し悪しは関係ないんだ!と思い、その日から試行錯誤を始め、今講座などでお伝えしている「写真教室や独学で挫折しかけた人でも、8年かかるプロのスキルを最短半年で習得する方法」を見つけ僕自身が実践していったのです。
おかげで、僕は今自分が撮りたい写真を撮ることができています。画質面で不利なマイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼カメラを使っても、多くの人から賞賛を頂く写真を撮ることができています。写真の良し悪しは、カメラに左右されないのです(暗い場所での動体撮影等、特殊な撮影を除く)。
もしあなたが、カメラやレンズの性能ばかり気になるなら、この機会に考えを改めてみてください。もしかしたら、今日が人生のターニングポイントになるかもしれませんよ。